今回レビューする製品は、Lenovoの13.5インチ Windows 11 PCの「ThinkBook 13x Gen 4」です。CPUにCore Ultra 5 125H、メモリは LPDDR5x 8400MHzの16GB オンボード、13.5インチの液晶は 2.8K 解像度のアスペクト比 3 : 2、USB4を3ポート搭載と、充実したスペックと機能の製品です。
開封して驚いたのが、アルミ製の筐体、ディスプレイの狭いベゼル幅など、全体的に質感が高いこと。キーボードのタイピング感も ThinkPadと同等以上となり、さらにはスピーカーの音質も 一般的なノートPCとは比較にならないほどによいものです。
スペック・機能・質感とバランスのよい製品であり、これまでにレビューしたノートPC以上に おすすめできる製品です。
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今回のレビューは、2024年5月に Lenovoさんからお借りした製品に基づいています。なお、楽天市場 レノボ 楽天市場店では、直販サイトよりも安く販売していることもあります。
ThinkBook 13x Gen 4のスペック
スペックについては以下の記事に掲載していますが、あらためての再掲載です。特徴となる事項に黄色網掛けしていますが、筐体の質感の高さ、快適なキーボード、想像以上に音質のよいスピーカーなど、カタログスペックでは読み取れないメリットが多数あります。
ThinkBook 13x Gen 4のスペック。Core Ultraに高速メモリ、2.8K 解像度 超狭額縁の液晶が魅力の13.5型ノート
▼レビュー機のスペックは以下となりますが、CPUは Core Ultra 5 125H / Core Ultra 9 185H、メモリは 16GB / 32GB、SSDは 512GB / 1TBなど、複数の組み合わせのセットモデルが販売されています。
CPU | Core Ultra 5 125H |
GPU | Intel Arc Graphics |
メモリ | 16GB LPDDR5x 8400MHz (オンボード) |
ストレージ | M.2 2242サイズ、512 GB PCIe Gen 4 SSD |
ディスプレイ | 13.5インチ IPS、解像度 2880 x 1920、アスペク比 3 : 2、100%sRGB、輝度 500nits、非光沢。光沢、マルチタッチパネルのオプションあり |
WiFi | WiFi 6E対応 (11ax/ac/a/b/g/n準拠) |
Bluetooth | 5.3 |
ポート類 | USB4 (Thunderbolt4 対応) x 3 |
サイズ | 約 292.9 x 205 x 12.9mm、約1.17kg |
OS | Windows 11 Home |
その他 | バックライト付きキーボード、アルミ製ボディ、指紋センサー搭載、ステレオスピーカー |
CPU、メモリ以外のスペック・機能の特徴となる事項を補足します。
- 基本スペック以外では、液晶も特徴の一つです。アスペクト比は 16 : 10よりも更に縦の表示領域が広い 3 : 2、2.8K 解像度、広色域の100% sRGB、輝度は500 nitsと、標準モデルにおいても 他製品ではオプション扱いの液晶を搭載しています。
- USB-Aポート、HDMIポートは未搭載ですが、Thuderbolt4に対応のUSB4を3ポート搭載しています。
- 電源ボタンと兼用の指紋認証のほか、顔認証にも対応しています。
- Dolby Atmosを搭載した Harman Kardon スピーカーを装備しています。公式ストアの製品情報では「素晴らしいサウンドも実現します」と記載があるのみですが、かなり良い音質です。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。CPUは Core Ultra 5 125H、メモリは16GB、OSは Windows 11 Homeです。
▼ディスプレイの拡大率の推奨は250%ですが、高い拡大率が好みの私にも 250%は大きすぎ、225%で使用しています。225%でも大きいと感じる方も多いのでは、とも思います。
以降の画像は、下記の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出しています。各種システム情報のほか、CPU温度やバッテリーの劣化度も確認可能な、便利なソフトです。
HWiNFO、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフトの概要。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
フリーソフト「HWiNFO」利用による Windows PC バッテリー劣化度の表示事例
▼システムの概要。クリックで拡大できます。
▼上の概要のCPUの情報を拡大。Core Ultra 5 125Hは、Meteor Lake-H、Pコア 4、Eコア 8、低消費電力 Eコア 2の合計 14コア 18スレッド、TDP 28W
▼メモリはクアッドチャンネルとありますが、デュアルチャンネルです。
▼液晶の型番は「LENOVO LEN135WQ+」とあります。
▼PCIe 4.0 SSDの型番は「SAMSUNG MZAL8512HDLU-00BL2」。ググったところ、国内サイトではヒットしませんでしたが、2242サイズのPCIe 4.0 SSDとなり、後述のベンチマークのとおり、13インチノートとしては かなり高速なSSDです。
外観
冒頭にも記載しましたが、開封して驚いたのが、軽量であることと、想像以上に質感が高いこと。Lenovoの製品では、昔ながらの無骨さもあるThinkPadを多くレビュー、所有していることもありますが、アルミ製の筐体とディスプレイ面の上下左右の狭いベゼル幅により、質感高く、スマートな外観です。
▼右サイドは USB4 (Thunderbolt4 対応、電源対応)、フロントカメラの電子式プライバシーシャッター、USB4 (Thunderbolt4 対応、電源対応)
▼電源ボタンは、程よく出っ張りがあり押しやすいです(Lenovoの製品では、電源ボタンがフラットのものがあり、この場合は手探り状態となり、押下しにくい)。
▲筐体は全般的にアルミ製ですが、サイドはアルミヘアライン調で、質感の高いもの。
▼私の好みの角度より。重ねての記載ですが、サイド・天板ともに質感はかなり高いです。
▼レビュー前には天板のツートンの色の相違が気がかりでしたが、同系色の色で目立ちにくく、違和感はありません。
▲写真ではわかりにくいですが、Lenovoのロゴ・プレートともに上質です。
▼ヒンジ側は一部のみを拡大していますが、サイドと同じくフラットでエッジの加工も丁寧です。
▼天板の全体像。単色だとビジネス向けの地味な印象となる可能性もあり、ツートンで正解とも思います。
▼「ThinkBook」のロゴが やや主張しすぎるように思います。外出先などでの使用を考慮すると、もう少し小さいとよかったです。
▼背面の全体像。ヒンジ側のゴム足は横長、中央やや上に通気口、下の左右両サイドにスピーカーがあります。
▼スピーカーがわかるようサイドより。
▼ヒンジ側に、横長の通気口があります。ベンチマークなどで負荷をかけた場合、CPUファンはそれなりに回転していますが、作業中に熱風が手などに直撃することはありません。
▼付属する65Wの電源アダプターは、ThinkPadの65W アダプターと比較するとコンパクトです。
ディスプレイ
2.8K 解像度、アスペクト比 3 : 2の液晶は、明るく 発色も自然なよい液晶です。ただし、他の100% sRGBの液晶と比較した場合、多少の淡さを感じます
- 最大輝度は500 nitとありますが、目視する範囲では スペックどおりに明るい液晶です。
- 輝度 350 nitの外部モニターに接続して比較すると、本製品が より明るいことが明確にわかります。
- 100% sRGBの広色域の液晶を搭載していますが、実機を見ても、写真などの色の再現性は高いです。
- 色の再現性では、M1 MacBook Airよりも 僅かに劣る程度の間隔です。
- ブラックやグレイの表示では、やや淡さを感じます。ただし、100% sRGBの他の液晶と比較した場合であり、一般的には課題とはなりません。
- アスペクト比 3 : 2と縦に長く、16 : 9の液晶と比較すると、縦の情報量が多いことが即わかります。ブログ記事の編集や、Excelなどの表計算ソフトの長時間の使用にて効率化を図ることができます。
▼ディスプレイ面の上下左右ともにベゼル幅は狭く、野暮ったさは全くありません。なお、ベゼル幅ではなく表示領域までの実測では、上と左右は4mmです。
▲▼当サイトのトップ画面を表示していますが、上のヘッダーなどにおいて、他の液晶が特徴の一つであるノートPC(M1 MacBook Air、液晶をオプションにカスタマイズした ThinkPad E14 Gen 5など)と比較した場合、淡さを感じます
▼ディスプレイを最大限開いた様子。フラットにはなりませんが、一般的には十分な角度です。
▲上と左右の表示領域までの実測は4mm。下の写真は、M1 MacBook Airを並べたものですが、ベゼル幅・表示領域までが狭いことは明らかです。
キーボード
以下の記事にて 直近でレビューした ThinkPad E14 Gen 5 / T14s Gen 4 / Yoga 770iと比較すると、キーストロークが浅い割には しっかりとした打鍵となり、軽快でリズミカルなタイピング感は ThinkPadを上回ります。これまでレビューしたノートPC(Lenovoをメインに、Dell、富士通、中国ブランドの製品など)のなかでも、トップクラスに快適なキーボードです。
ThinkPad E14 Gen 5 実機レビュー、Core i7-1360P / 2.2K 解像度モデルは快速・快適、タイピング感も上質
ThinkPad T14s Gen 4 AMD 実機レビュー、Ryzen 7 PRO 7840Uを搭載しキビキビと動作。E14 Gen 5とのベンチスコア・外観比較も
Lenovo Yoga 770i 実機レビュー、上質なアルミ製ユニボディ、有機ELの鮮やか液晶、快適レスポンスの14型YogaスタイルPC
キーボード、タイピングにおける具体的なコメントは以下です。
- キーピッチ・ストロークは未計測(公式サイトにも明記なし)ですが、ストロークは浅いながらも、しっかりとした打鍵感があります。
- 感覚的には、M1 MacBook Airのキーストロークで 押し込みをやや硬くしたようなイメージ。
- 上記の直近のThinkPadのキーボードほどの押し込みの硬さはなく、軽快に高速タイピングできています。
- キーの配置、主要キーのサイズに特殊なものはなく、私の場合、製品を受領して即 違和感は全くなく、快適にタイピングできています。
- 写真は未掲載ですが、バックライトの明るさ・キーの視認性も良好です。
▼キーボードの全体像。最下段の右に「Copilot」のキーがありますが、それ以外に変則的な配置・サイズのキーはありません。
▼キーの中央が窪んでいるような、窪んでいないような微妙なところですが、これにかかわらず タイピングは快適です。
ベンチマークスコア
続いて、実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。本製品は、Core Ultra 5 125Hを搭載していますが、比較対象は、以下の記事にて実機レビューの、CPUにCore i5-13500Hを搭載するミニPCです。
なお、AI関連のベンチマークスコアは出回っていないために未計測です。また、メモリ帯域幅のベンチスコアも未計測です。
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1626、マルチコア 9625」。シングルコアのスコアは、2つめのCore i5-13500Hと同水準です。
▼なお、これまで実機レビューした製品のGeekbench 5のスコアは、以下の記事にて一覧化しています。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2210、マルチコア 10827」。Geekbench 5 vs 6では、評価項目・基準となるPCのスペックが異なり、Geekbech 6は5よりも高いスコアとなります。
Geekbench 5と同じく、シングルコアのスコアは 2つめのCore i5-13500Hと同水準です。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1651、マルチコア 9310」。シングルコアは Geekbenchと同様に、Core i5-13500Hと同水準ですが、マルチコアのスコア差は大きなもの。
3DMark
「3DMark Time Spy」のスコアは 3214。こちらは、Core i5 13500Hに大きな差をつけ 高いスコアです。
▲▼下のスコアは、CPUにAMD Ryzen 7 7840HSを搭載するミニPCのスコアですが、Core Ultra 5 125Hの本製品は ほぼ同水準のスコアです。
PCMark 10
PCMark 10のスコアは5705。一般的なオフィス作業や、簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4500ですが、本製品では 7449となり 十分なスコアです。
▲▼総合スコアは、以下の記事にてレビューのCore i9-13900Hを搭載するミニPCと同水準です。
CrystalDiskMark
型番「SAMSUNG MZAL8512HDLU-00BL2」のPCIe 4.0 SSDを搭載しています。Readは6129MB/sとなり、ノートPCに搭載のSSDとしては、かなり速い部類です。
体感レスポンス
記事・画像の編集、Web サイトのブラウジング、YouTubeの視聴、ExcelやAccessなどの在宅勤務における、私の普段使いでの体感レスポンスを記載します。
このクラスのPCとなると、一定の水準(Geekbench 5のスコアで1300以上)では 体感できるほどの相違はなく、他のPCのレビューと同様のコメントとなります。
- 上記の普段使いでは、ベンチスコアが優位な Ryzen 7 7840HS、Core i9-13900H、M2 Pro Macなどと遜色なく、キビキビと動作します。
- また、後述のCPUファンの音量も大きくなく、内部の熱の排出も手などに直撃しないため、作業に集中することができます。
- さらに、明るく 高解像度の液晶であり、文字のドットも全く気になりません。この意味でも、CPUパワー、快適なキーボードとあわせて、余計なことを考えることなく、作業に集中できます。
- 一般的なノートPCよりも高速なSSDを搭載していますが、体感できるほどの相違はないものの、Windowsやソフトの起動・終了ともに高速です。
サウンド
公式サイトの製品説明には「Dolby Atmosを搭載した4つのHarman Kardonスピーカー」とありますが、こちらの製品仕様には 2スピーカーとあります。
いづれにしても、YouTubeとAmazon Musicの音楽を聴いた範囲ですが、本製品のスピーカーの音質はかなり良いです。
- 音楽などを再生してみると、他のノートPCよりも音質がよいことが即わかります。
- 低音の迫力、クリアな中高音ともに、一般的なノートPCとは段違いの音質です。
- ある程度、音量を上げても、音割れは抑えられています。
- 他のPCとの比較では、M1 MacBook Airや、以下の記事で掲載、ミニPCやM2 Pro Mac miniにて使用の「低価格のプリメインアンプとDACを組み合わせたスピーカー」よりも よい音質です。
指紋認証、顔認証
続いて、指紋認証と顔認証について記載します。顔認証においては、顔の登録に他のPCよりも時間を要しましたが、指紋認証・顔認証ともに、登録後の認証の精度は高く、認証のスピードも速いです。
- 顔認証の顔の登録は眼鏡をかけて行いましたが、他のPCと比較すると時間を要しました。時間にして、3分~5分ほどでしょうか。画面に表示の登録エリアが小さく、何度かやり直して、ようやく登録完了です。
- 顔の登録後の認証は速いです。2023年に購入のThinkPad E14 Gen 5においても顔認証を多用していますが、それよりも1秒弱 速い感覚です。
- 指紋認証は登録・認証ともに速いです。電源ボタンを兼ねた小さな認証エリアのため、登録に時間を要すると思ったものの、即登録完了。
CPU 温度、ファン音量
ベンチマークソフトで負荷をかけた際のCPU 温度とファンの音量を記載します。CPU温度は100℃に達し、サーマルスロットリングが発動することもありましたが、通常利用では、最大でも80℃台(約1週間使用したなかで、稀な事例です)。熱の伝わり方としては、キーボード面の上がやや熱を帯びる程度です。
負荷をかけた際のファン音量は、一般的なノートPCと同水準。普段使い時には、ファン音は気にならず、キーボード面に耳を近づけると、僅かに聞こえる程度です。
▼「CINEBENCH R23」を計測時のCPU温度は 100℃に達することも。ただし、これほどに負荷をかけることもないため、それほど気にする必要もないかと。
▼こちらは3DMarkのベンチ計測時のCPU温度の経緯。上のCINEBENCH R23ほどのCPU温度の上昇はありません。
▼iPhone アプリ「デジベル X」で計測のファン音量です。CINEBENCH R23のベンチ計測時の平均は40dB弱。静音とは言えないものの、普段は静音でもあり、許容範囲のファン音量です。
まとめ
公式サイトの製品情報では読み取れないメリットが多々あり、私の想像以上によい出来のPCです。文中で記載の事項をまとめると以下となります。2024年5月19日現在のエントリー構成(今回レビューのモデル)の価格は 159,940円と安くはないですが、価格に見合う製品です。
- アルミ製の筐体、液晶・キーボード面の狭いベゼル幅とあわせて、外観の質感はすこぶる高い。
- 私にとって、キーボードのタイピング感・高速タイピングは、現行のThinkPadと同水準以上。
- 液晶はやや淡さを感じるものの、輝度 500 nitsと明るく、アスペクト比 3 : 2と縦に長いため、長時間の利用などで効率化に貢献。
- 公式サイトでは、スピーカーの音質はそれほど強調されていませんが、M1 MacBook Air以上に高音質。
- 一般的なベンチマークソフト(AI関連は未計測)のスコアは、Core i5-13500Hと同程度。体感レスポンスは ベンチスコアが優位な、Ryzen 7 7840HS、M2 Pro Macと同水準となり、普段使いではキビキビと動作。
レビューした製品はこちら
今回のレビューは、2024年5月に Lenovoさんからお借りした製品に基づいています。なお、楽天市場 レノボ 楽天市場店では、直販サイトよりも安く販売していることもあります。
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