今回レビューする製品は、12インチのAndroid 14 タブレット「N-ONE NPad Ultra」です。12インチクラスのタブレットでは、CPUにHelio G99を搭載する製品が多いなか、本製品は Snapdragon 685を搭載しています。
Helio G99のAnTuTu ベンチマーク v10のスコアが約40万であるのに対し、Snapdragon 685の本製品は約35万となり、体感レスポンスは同水準です。
また、NPad Ultraはアルミ製ボディに、Netflixも含めた「Widevine L1」に対応と、他の12インチタブレットと比較した場合、十分に選択肢の一つとなりえる製品です。
ただし、留意いただきたい事項として、4スピーカーでありつつも、同社の4スピーカーを搭載する「NPad X1」、その他の4スピーカー搭載の製品と比較した場合、音質は多少劣ります。
レビューする製品はこちら
今回のレビューは、Banggoodさんより、レビュー用にサンプル提供いただいた製品に基づくものです。なお、文末にクーポン情報を掲載しています。
N-ONE NPad Ultraのスペック
N-ONE NPad Ultraのスペックは以下の記事にて掲載していますが、あらためての再掲載です。
N-ONE NPad Ultra、12インチ Android 14 タブレットのスペック。Snapdragon 685を搭載し、4スピーカーを装備
CPU | Snapdragon 685、8コア、最大 2.8GHz |
GPU | Adreno 610 |
メモリ | 物理メモリ LPDDR4 8GB + 拡張 12GB |
ストレージ | 128GB UFS 2.2 |
ディスプレイ | 12インチ、IPS、解像度 2000 X 1200 |
WiFi、Bluetooth | 11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.2 |
LTE | LTE-TDD:(B38/B39/B40/B41)
LTE-FDD:(B1/B2/B3/ B4/ B5/B7/B8/B12/B13/B17/B20/B25/B26/B28/B66 ) |
カメラ | フロント 5百万画素、リア 13百万画素 |
バッテリー容量 | 9200mAh、18W 急速充電に対応 |
サイズ | 未確認、厚みは7.5mm |
OS | Android 14 |
その他 | GPS搭載、4スピーカー、アルミ製ボディ |
▼4スピーカーであることも特徴の一つですが、実機で確認したところ、他の4スピーカーの端末よりも音の広がりが弱く、ボリューム調節の半分ほどの音量では 音が小さく聞き取りにくい課題があります。
▼右下に「画面占有率は93%」とあります。実機を確認しても、上下左右のベゼル幅は狭いです。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を記載します。
▼初期設定直後のアプリ一覧。余計なアプリは一切なく、ピュアなAndroidの状態です。
以降のシステム情報は、以下の「Device Info HW」アプリから抽出しています。
Android 端末のシステム情報抽出なら「Device Info HW」。無料アプリながらも広告なし、多くの情報を抽出可能
▼物理メモリは下から2行目のとおり、8GB LPDDR4X、ストレージは最下段のとおり UFS。
▼CPUのSnapdragon 685は、Cortex-A73 x 4、Kryo-2xx-a53 x 4の構成です。GPUは Adreno 610
▼12インチ 液晶の解像度は 2000 x 1200のFHD、リフレッシュレートは 60Hzの固定。リフレッシュレートが可変の場合ありには、復数の記載があります。
▼物理メモリは8GBですが、こちらには拡張メモリは反映されず、物理メモリのみの表示です。
既に復数のアプリをインストールしていますが、128GBのストレージ容量のうち、使用可能領域は約105GB。
▼バッテリーは仕様どおりの9200mAh。他の端末において、ごく稀に製品化情報の仕様と異なることがあります。
▼搭載するセンサーです。左のグリーンは搭載、レッドは未搭載を示しています。搭載するセンサーは、加速度計とジャイロスコープのみとなりますが、GPS搭載であることも含めて、ナビとして機能します。
Widevine L1への対応状況
Netflixも含めて、動画配信サイトの動画を高画質再生可能な「Widevine L1」に対応している本製品ですが、念のためにアプリにて、対応状況を確認してみました。
なお、2023年には NetflixのWindevine L1に対応する製品は多くなかったのですが、最近では Netflixにも対応している製品が多くなってきました。
Android 端末における Widevineとは。概要とL1,L2,L3の相違、L1,L3の画質を実機で確認してみた
▼アプリ「DRM Info」で確認の対応状況。赤枠のとおり、L1に対応しています。
Android 端末にて、Netflix、hulu、Amazon Prime Videoの再生画質を確認する手順。Widevine L1 対応の確認にも有効
▲▼上の画像のアプリで「L1」となっている場合にも、NetflixはL3のSD画質での再生となることがあります。このため、Netflix アプリの再生仕様で確認してみましたが、L1、FHDでの再生に対応しています。また、実際に、Netflixにて視聴し、FHDでの再生であることを確認済です。
メモリ拡張の手順
本製品は、ストレージの空き領域を仮想的にメモリとして割り当てる「メモリ拡張」に対応しています。メモリ拡張の手順は、以下の記事にて記載のとおり、端末によって異なることがあり、本製品の手順を確認してみました。
Android タブレットのメモリ拡張機能、複数パターンの設定項目と設定方法のまとめ
▼「設定」アプリを開き、「システム」の「メモリ拡張」をタッチします。
▼デフォルトで最大となる 12GBが割り当てられていました。変更する場合には、「メモリ拡張サイズ設定の実行」をタッチします。
▼以下のサイズの設定画面となりますので、任意のサイズをタッチします。その後、端末の再起動を求められますが、再起動後に設定の変更が完了です。
外観
開封、付属品、外観について記載します。背面は、同社あるいは他社の多くのタブレットと同様にアルミ製の高い質感です。
私はアルミ製の背面に慣れてしまいましたが、Fire タブレットなどの樹脂製の背面のタブレットを使用している方が、初めて本製品などのアルミ製の背面の製品を見た場合、その質感の高さに驚くことと思います。
▼N-One NPadを復数レビューしていますが、他のNPadと同じく、白地にN-Oneのロゴのシンプルな外箱です。
▼周囲の緩衝材の厚みは十分です。
▼付属品は、USB-C to USB-Aのケーブル、説明書、ACアダプター、SIM トレイピン(説明書の裏にあります)。なお、海外から取り寄せの製品でもあり、ACアダプターはEUプラグですが、Banggoodさんのサービスで、日本プラグへの変換アダプターが付属しています(変換アダプターの写真は未掲載です)。
▼純正のケース、PETフィルム、汎用のキーボードが付属していました。
▼液晶面にはフィルムが貼り付け済であり、背面にも保護用のフィルムが貼り付けられています。背面のフィルムの再装着は多くの気泡が入るため、フィルムを貼り付けたままでの使用をおすすめします。
以降の写真は背面のフィルムを剥がしての撮影です。
▲▼上の記事の「NPad X1」など、N-ONEのタブレットは複数レビューしていますが、これらの製品と同様に、アルミ製の背面の、同社のタブレットの質感は高いです。
▲▼モデル名と認証情報は、シールを貼っての表示です。下の画像のとおり、技適マークも表示されています。
▼カメラ側のサイドは、右側に電源ボタンと音量調節ボタンがあります。この配置を見ると、横持ちでの使用を前提としています。
▼電源ボタンと音量調節ボタン周りを拡大。品質・操作性ともに良好です。
▼カメラ側の短辺のサイド、逆サイドにスピーカーがあります。
▲カメラにも保護用のフィルムが貼り付けられていました。上の写真はフィルムを剥がさずに撮影しています。
▼多少 ボケてしまいましたが、カメラ周りを拡大。プレート・カメラ周辺ともに、拡大しても作りの粗さはありません。
▲▼逆サイドには、SMIトレイ、スピーカー、USB-Cの電源ポートがあります。
▼付属の純正ケースの全体像です。
▼タブレットのホルダー側の四隅は、保護のために厚みのあるもの。左側は2段階の角度調整用の溝があります。滑り止めも含めて作りは良好です。
▲右下に「N-ONE」のロゴがあります。ケースの素材により、指紋や油脂の付着は全く目につくことがありません。ちなみに、これまでに実機レビューした「N-ONE」のタブレットの純正ケースは、他製品も同素材・同デザインです。
▲▼純正ケースでもあり、スピーカー・USB-Cなどの位置にズレなどはありません。
▼ケースを装着すると厚みが増しますが、本体の保護・背面の油脂などの付着を考慮すると、ケースを装着して使用すべきです。
▼付属のキーボードを置いてみました。キーボードはAmazonなどでも販売の10インチクラス向けの製品です。12インチクラスのタブレットとなると、PCライクに使用したくなります。
▲▼ケースを装着した状態ですが、以下の記事にて実機レビューの10.95インチのタブレット「NPad X1」を並べてみました。サイズの相違が明らかであること以外に、本製品のベゼル幅が狭いことがわかります。
ディスプレイ
明るく鮮やかな液晶ですが、白を背景とした場合、周辺にごく僅かな減光があるように感じます。ただし、「減光があるように感じる」程度で、許容範囲です。
▼製品の仕様には明記されていませんが、直感的には輝度 300 nitsあたりの液晶かと思います。iPadの明るさには敵わないものの、Android タイブレットとしては一般的な明るさ・鮮やかさの液晶です。
▼この角度で見ても色合いは変化せず、視野角は広いです。
▼当サイトのトップページを表示。写真は圧縮しているために、上手く表現できていませんが、実機は写真よりも自然な色合いでの描写です。デフォルトの発色は、寒色 / 暖色で区分すると、やや寒色寄りです。
▼さすがにこの角度では、色合いが変化しますが、この角度で見ることもないため、全く問題ありません。
ベンチマークスコア
AnTuTu ベンチマーク v10、Geekbench 6、ストレージのベンチマークスコアを掲載します。比較対象は、CPUにHelio G99を搭載する、以下の同社の「NPad X1」です。
▼Snapdragon 685を搭載の当端末のAnTuTu ベンチマーク v10のスコアは 347,564。一方のHelio G99を搭載の「NPad X」は394,724。この程度の差であれば、体感レスポンスの相違はありません。
▼Geekbench 6のスコアは「シングルコア 476、マルチコア 1558」。AnTuTu ベンチマークはHelio G99と大きな差はないものの、Geekbench 6のシングルコアにおいては、476 vs 711と大きな差があります。ただし、体感できるほどのレスポンスの相違はありません。
▲▼上の記事で紹介のアプリ「CPDT」での、ストレージの読み書き速度です。
「Writeは 338.27MB/s、Readは 407.98MB/s」と、PCのSATA SSDより少しも遅い程度(SATA SSDは500MB/s 前後)です。
体感レスポンス
上記のAnTuTu ベンチマークスコアにおいて、Helio G99と大きな差ではなく、また、Helio G99の登場以前に多く採用された UNISOC T618 / T616よりも高いスコアです。Snapdragon 685を搭載する当製品の普段使いの体感レスポンスにおいては、Helio G99とほぼ同じと言えそうです。
- ホーム画面、アプリの起動・切替、アプリ内での画面遷移など、遅さを感じることなく サクサクと動作します。
- UNISOC T606を搭載するエントリークラスのタブレットと比較した場合、よりサクサクと動作していることを体感できます。
- 前述のとおり、Helio G99を搭載するタブレットとの比較では、体感できるほどのレスポンスの相違はありません。
- 手元にあるスマホのうち、AnTuTu ベンチスコア 80万超の端末と比較すると、キビキビさに欠けることを体感できますが、本製品の単体で使用している場合、そのレスポンスが課題となることはありません。
- ただし、私はゲームを行わないために、上記は普段使いでの体感レスポンスでのコメントです。
サウンド
4スピーカーの期待値とは裏腹に、課題となるのがスピーカーです。実質 2スピーカーの音質であることに加えて、音量調節半分以下では、音量がかなり小さいです。
- YouTube、Amazon music、Netflixでの範囲ですが、音量調整バーを半分以上に上げて、ようやく聞き取れる音量となります。それ以上の調整は大刻みですが、最大音量は他のタブレットと同程度です。
- 音量調整バーの半分未満では、聞き取りづらい小さな音量であるうえに、ブツブツと異音もあります。
- 聞き取れる音量とした場合、多少の音割れもあります。
- 単体で聞いている範囲では「4スピーカーとは こんなもの」と感じる程度ですが、同社の「NPad X1」や他社の4スピーカーの端末と聞き比べた場合、音の広がりが異なります。このため、当製品は実質 2スピーカーと捉えるべきです。
カメラ
このスペック帯のタブレットとしては一般的な、フロント 5百万画素、リア 13百万画素のカメラを搭載しています。リアカメラはその画素数からも、メモ書き代替としての機能となりますが、室内撮影での使用感を記載します。
- 13百万画素のカメラとしては、他のタブレットも同様となりますが、色の再現性、明るさともに弱く、やはり メモ書き代替としての画質です。
- 一方、シャッター、拡大・縮小、オートフォーカス、写真の保存は速く、メモ書き代替としては十分に機能します。
まとめ
Snapdragon 685を搭載する端末は初めてのレビューでしたが、AnTuTu ベンチマークは約35万と、約40万のHelio G99と大きな差はなく、体感レスポンスも同水準です。
12インチの本製品は、ディスプレイのベゼル幅も狭く、アルミ製の背面と相まって、デザインと質感は高いもの。また、液晶の色合い・明るさともに良好です。
ただし、繰り返しの記載ですが、4スピーカーの音の広がりは 他の4スピーカー搭載の端末よりも やや弱いもの。また、音量調整バーを半分以上に上げて 初めて実用的な音量となることが課題です(最大音量は、他のタブレットと同程度であり、割り切ってしまえば、大きな課題ではありません)。
▼Banggoodの通常セール価格 219.99ドルのところ、クーポン「BGJP1848」の利用により、194.99ドルでの販売です。2024年7月20日現在のBanggood 適用レートでは、約31,440円です。