今回レビューする製品は、CPUに「Core Ulra 7 258V」を搭載する 15.3インチ ノートパソコンの「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9」です。
ハイスペックなCPUに、メモリはオンボードの32GB、15.3インチの液晶は 2.8K 解像度に100% RGB、タッチパネルの豪華な仕様。また、15.3インチにして 最薄部は13.9mm、約1.53kgと軽量であることも特徴です。
2025年1月25日時点の公式ストアの価格は約25万円と、価格のみをみると安くはないのですが、筐体の質感の高さ、スペックと機能、快適なキーボードに綺麗な液晶を総合すると、割安と思えるPCです。
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今回のレビューは、Lenovoさんからお借りした端末に基づいています。記載のスペックと価格は、2025年1月25日現在のものです。
スペック
スペックについては以下の紹介記事から、あらためての掲載です。冒頭に記載の事項以外として、Thunderbolt 4を2ポート、4スピーカー(2W×2 ツイーター、2W×2 ウーファー)を搭載しています。
Core Ultra 7 258Vを搭載の15.3インチ テンキーレスPC、Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9のスペックのまとめ
CPU | Core Ultra 7 258V |
GPU | Intel Arc Graphics 140V |
メモリ | 32 GB LPDDR5X-8533MHz (オンボード) |
ストレージ | 1TB SSD M.2 2242サイズ PCIe-NVMe Gen4 |
ディスプレイ | 15.3インチ、解像度 2880 x 1800、IPS、マルチタッチ、光沢、100%sRGB、輝度 500 nit、リフレッシュレート 120Hz |
WiFi | WiFi 7対応 |
ポート類 | Thunderbolt 4 x 2、USB-A 3.2 Gen 1、HDMI |
バッテリー | 4 セル リチウムイオンポリマーバッテリー 70Wh |
サイズ | 約 343.8 x 235.4 x 13.9mm(最薄部)、約1.53kg |
OS | Windows 11 Home |
その他 | Intel AI Boost NPU、4スピーカー(2W×2 ツイーター、2W×2 ウーファー) |
▼マグネシウム合金のフレームに、ファンを2個搭載しています。後述していますが、通常時のファン音量は大きくありません。
▼③と⑥は Thunderbolt 4です。ThinkPadの場合には、左サイドに2つある製品が多いのですが、左右両サイドにあるのがよいですね。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。CPUは Core Ultra 7 258V、メモリ 32GB、OSはWindows 11 Home
▼2880 x 1800 高解像度の液晶の「拡大縮小」は200%。文字などの表示も適切なサイズです。
▼仕様どおりに 液晶は120Hzのリフレッシュレートに対応しています。
▼指紋認証には未対応ですが、顔認証に対応しています。光沢パネルによる反射のためか、顔の認証にはやや時間を要しましたが、顔認証の精度は一般的です。
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
▲▼上の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出のシステム情報。クリックにて拡大できます。
▼上の画像のCPUの情報を拡大。Lunar LakeのCore Ultra 7 258V、Pコア 4 / 低消費電力 Eコア 4の合計 8コア 8スレッド、ベースとなるTDPは17W
▼メモリはオンボードのLPDDR5 32GB
▼GPUとNPUの情報です。
▼モニターの型番は「CSOT T3 MNF307ZB1-1」とあります。中国 深圳の華星光電社(CSOT)のモニターですが、型番ではWeb 検索できず。
▼1TB PCIe SSDの型番は、SAMSUNGの「MZAL81T0HDLB-00BL2」。Webにて 明確な情報をWebで抽出できませんでした。
外観
液晶とキーボードについては、後の段落にて掲載していますので、ここでは両サイド・天板・底板について記載します。Yogaについては、過去に以下の記事にて実機レビューしています。本製品も含めて Yoga モデルはサイドが丸みを帯びており、金属製の筐体も含めて 質感はかなり高いです。
Lenovo Yoga 7 2-in-1 Gen 9 実機レビュー、Ryzen 7 8840HSを搭載しサクサク動作。明るい液晶にキーボードも快適な 14インチ 2-in-1
Yoga Slim 7x Gen 9 実機レビュー。Snapdragon X Elite X1E-78-100を搭載し、ベンチスコアはM2 Pro Mac miniを上回ることも
▼左サイドのポート類は左から、HDMI、Thunderbolt4、マイク・ヘッドホン コンボジャック。右サイドのThunderbolt4も含めて、映像出力と付属のAC アダプターでの給電・充電に対応しています。
▲ラウンドしたサイドの質感は高く(全体的に質感は高い)、最薄部 13.9mmと薄いです。
▼右サイドのポート類は左から、Web カメラのプライバシーシャッターボタン、電源ボタン、Thunderbolt4、USB-A Gen 1。USB-A ポートへのドングル等の差し込みは、やや硬いように感じます。また、私は慣れましたが、初めて操作する場合には、フラットな電源ボタンを押下しにくいと感じる方が いらっしゃるように思います。
▼ヒンジ側の厚みも、かなり抑えられています。
▼この角度から、高い質感とデザインのよさを感じ取っていただけると思います。
▼私の好みの角度から撮影。グレイの落ち着いた色合いで、オフィス利用でもマッチしそうです。
▼ディスプレイのトップ側より。特に特徴のあるデザインではなく、シンプルなもの。中央のLenovoのロゴは、主張しない色と大きさで、好感を持てるもの。
▼底板の全体像。中央上の通風孔側に2つのファンが備わっています。天板・底板ともに金属製ですが、周囲がラウンドしていること以外はフラットな構造です。
▼こちらの写真からも、薄い筐体であることがわかると思います。
▼ヒンジ側に大きな通風孔があります。
▼モデル名は「Yoga」ですが、ディスプレイはYoga スタイル(360度回転)するスタイルではなく、180度開く仕様です。
▼65Wの電源アダプターが付属しています。ThinkPadの電源アダプターと共通のものとなり、プラグ側のコードは太いです。
液晶
私にとっての高解像度液晶のメリットは、文字表示のドットが目立つことなく滑らかなこと。本製品は以下の2.8K 解像度の15.3インチであり、ドットが全く目につきません。また、明るい液晶、かつ 100%sRGBの広色域であり、全般的に、MacBookと同水準の液晶品質のように感じます。
- 15.3インチ、解像度 2880 x 1800、IPS、マルチタッチ、光沢、100%sRGB、輝度 500 nit、リフレッシュレート 120Hz
▼使用感の詳細は以下です。
- 明るさ 500 nitであり、明るさ調整を最大にすると明るすぎる感あり。私は80%程度での使用です。
- これまでレビューした有機ELパネルの光沢パネルの場合には派手めな色合いでしたが、本製品の液晶は派手さもなく好印象。
- IPS パネルの視野角は十分。また、100%sRGB 広色域の液晶は 写真の表示も自然な色合いです。
- 光沢ありの液晶ですが、やはり周囲の物の反射はやや大きいです。ただし、使用中に違和感はありません。
- タッチパネルは多用していませんが、スクロール・リンク先のタッチなど 普通に動作します。
▼標準の壁紙での撮影。写真は圧縮していますが、実機はより鮮やかです。
▼正面より。光沢パネルであり、右側に部屋の天井・隅の部分が映り込んでいます。ただし、PC使用時において、私としては影響はありません(MacBookなどで慣れていますので)。
▼当サイトのトップページを表示。私は写真などの色の再現性を確認する場合、当サイトの記事などを参照していますが、100%sRGBでもあり、写真の色の再現性は高く、色合いは自然です。
ベゼル幅の実測を失念したまま Lenovoさんに製品を返却しましたが、上下左右のベゼル幅は狭いです。
キーボード
他の記事においても記載していますが、この1,2年のLenovo IdeaPad / ThinkBook / Yogaなどを実機レビューして感じることは、これらの製品のタイピング感は、TThinkPadと同水準、もしくは ThinkPad 以上に快適であること(私の個人的な感覚です)。また、ThinkPadのブラックのキーは、指紋や油脂の付着が目立ちやすいのですが、本製品のグレーのキーはThinkPadほどに大きく目立つこともありません。
- ThinkPad X1 Carbon / X13 / E14 Gen 5など、直近で実機レビューしたThinkPadと比較すると、キーはやや硬いように感じます。
- ただし、この適度な硬さが私には心地よく、また、1.5mmのキーストローク(ノートPCとしてはやや深めか)とあわせて、使い始め当初から確実な打鍵感のもと、リズミカルに高速タイピングできています。
- ThinkPadや他ブランドのノートPCと比較すると、Enterキーの横幅が狭いのですが、その影響は全くありません。
- 「本製品のグレーのキーはThinkPadほどに、指紋や油脂が大きく目立つこともありません」と記載しましたが、上の写真にて スペースキーの左側に油脂が付着しているように、見る角度によっては多少 わかります。
▼Enterキーの横幅は狭いものの、タイピングへの影響は全くありません。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。以前にレビューした以下のCore Ultraを搭載する製品は、一般的なベンチマークソフトのスコアは 第13世代のCore i7 / Core i5や Zen 3 / Zen 4のRyzenよりも低めに出る傾向でしたが、Core Ultra 7 258Vは、かなり高いスコアです。
Lenovo IdeaPad Pro 5 レビュー、実機の使用感。2.8K 有機ELは派手さを抑え好印象、Core Ultra 7 155Hにより サクサクと動作
ThinkPad X1 Carbon Gen 12 レビュー、実機の使用感。Core Ultra、明るい液晶を搭載、随所に感じる質感の高さ
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1965、マルチコア 9773」。
以下の記事にて、これまで実機で計測のGeekbench 5のスコアを一覧化したいますが、シングルコアのスコアは Core i9-13900Hに匹敵する高いスコアです。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
▼上の記事のスコア一覧から、上位のスコアのスクショです。Core Ultra 7 258Vのシングルコアは上位である一方、マルチコアはやや控えめなスコアです。
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2749、マルチコア 11202」。Geekbench 5と6では、評価項目とベースとなるPCのスペックが異なり、Geekbench 6は5よりも高いスコアとなります。
Geekbench AI
数か月前にリリースされた Geekbench AIのスコアも計測してみました。
▲▼参考情報ですが、2つめのスコアは 前述の以下の記事にて実機レビューのCore Ultra 7 155Hのスコアです。
Lenovo IdeaPad Pro 5 レビュー、実機の使用感。2.8K 有機ELは派手さを抑え好印象、Core Ultra 7 155Hにより サクサクと動作
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1916、マルチコア 10568」。
以下の記事にて、これまで実機で計測のGeekbench 5のスコアを一覧化していますが、シングルコアのスコアは Core i7-14700HXに匹敵する高いスコアです。一方、マルチコアのスコアは、Ryzen 7 5800H / Ryzen 7 6800U / Core i7-1360Pなどと同水準となり、シングルコアほど 高いスコアではありません。
CINEBENCH R23、ミニPC・ノートPC 35製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
3DMARK
3DMARK Time Spyのスコアは4,371、Steel Nomad Lightのスコアは 2845。統合型グラフィクスのために高くはないですが、従来のCore iシリーズとの比較では高めのスコアです。
PCMARK 10
PCMark 10のスコアは 6441。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4500ですが、本製品では 8921となり 十分なスコアです。
2つめのスコアは前述のCore Ultra 7 155Hを搭載する「Lenovo IdeaPad Pro 5」ですが、Core Ultra 7 258Vとの差は 誤差の範囲との認識です。
CrystalDiskMark
SAMSUNG「MZAL81T0HDLB-00BL2」、1TB SSDの読み書き速度です。Readは5,000 MB/s超、Writeは 4,500MB/s超と十分な速度です。
体感レスポンス
私の普段使い(記事の編集、写真の編集、オフィスソフト、動画視聴、Web サイトのブラウジング)での体感レスポンスについて記載します。
Geekbench 5とCINEBENCH R23のシングルコアのスコア 2,000弱ともなると、さすがにキビキビと動作します。現在、CPUにRyzen 7 5700Xを搭載する自作PCにて作業していますが、上記用途においても より機敏に動作することを体感できます。また、普段使いにおいては、メイン利用のM4 Mac miniと同水準の体感レスポンスです。
サウンド
2W×2 ツイーター、2W×2 ウーファーの4スピーカーを搭載している本製品ですが、ウーファーの効果は大きく、特に重低音が かなりよいように感じます。これまでレビューしたノートパソコン(30製品以上)での感覚的な評価では、10点満点中 8~9。
- Amazon Music / YouTubeの動画を視聴した範囲内ですが、音質はMacBookに準じるとの認識です。
- 重低音が大きい際には、キーボード面に多少 響くのがわかります。
- 音量は全般的に大きめであるものの、音割れは抑えられています。
CPU 温度、ファン音量
CINEBENCH R23にてベンチスコアを計測時のCPU温度は最大 86℃と、私としては許容範囲内。サーマルスロットリングが発動している様子もありません。
CINEBENCH R23を計測時のファン音量は 約46dBとやや喧しい部類ですが、普段使い時には ほぼ無音とも言えるため、静音性も十分です。
▼CINEBENCH R23にて 負荷をかけた際のCPU温度は最大 86℃。サーマルスロットリングも発動せず(発動するノートPCやミニPCも、それなりにあります)。
▼同じくCINEBENCH R23にて負荷をかけた際のファン音量(iPhone アプリ 「デジベル X」にて計測」は、最大 約46dB。喧しさを感じる音量ですが、ベンチ終了後に即静音・普段使いでも静音であることにより、私にとっては十分です。
カバーを開くと電源オンの制御
これまでレビューした 他のLenovoのPCにおいても同じ機能の製品がありましたが、ディスプレイのカバーを開くと自動的に電源がオンとなります。これは、以下の記事にて掲載していますが、Lenovo Vantageで制御できます。
Lenovo IdeaPadやYogaにて、カバーを開くと電源オンとなる設定を無効化する方法
▼ディスプレイのカバーを開くと自動的に電源オンの仕様は、インストールされたLenovo Vantageの「デバイス設定」「電源」「開いてスタート」にて制御できます。
まとめ
CPUに「Core Ulra 7 258V」を搭載する 15.3インチ ノートパソコン「Lenovo Yoga Slim 7i Aura Edition Gen 9」の実機レビューでした。
2025年1月25日現在の公式ストアの販売価格は約25万円となりますが、価格のみをみると安くはないものの、高品質な筐体、快適なレスポンスとキーボード、高音質なサウンドと、高いレベルでバランスの良い製品です。概ね、15.3インチ M3 MacBook AirのWindows モデルと言ったところでしょうか。
▼実機レビューを踏まえた特徴は以下となります。
- ラウンドしたサイドなど デザインよく、金属製の高品質な筐体。かつ、約1.53kgと軽量。
- 液晶は明るく、100%sRGBの広い色域。個人的には有機ELパネルではないために、ギラツキが少ないことに好感。
- Core Ulra 7 258Vにより キビキビと動作。ベンチマークスコアは 従来のCore Ultra 以上。
- 高負荷時のファン音量はやや大きいものの、普段使いでは総じて静音。
- 4スピーカーによる高音質なサウンド。音量はやや大きめだが、特に重低音のよさが特徴。
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