最近のAndroid 端末においては、上の画像のように「Google Widevine L1に対応」とする製品が増えてきました。逆に言えば、Widevine L1に未対応の製品の場合は「Widevine」の明記のないことが多いのですが、各所のレビューでは「Widevine L1に対応していないために、動画の画質が云々」とのコメントも散見されます。
ただし、WidevineのL1,L2,L3のセキュリティとサブスクのコンテンツ・画質の関係がわかりづらく、自分なりに「Widevine」の概要と、Android タブレットの実機で確認した見え方の相違を整理してみました。
Google Widevineとは
はじめに「Google Widevine(ワイドバイン)」のポイントについて記載します。
- Google Widevineは、Googleが開発したデジタルコンテンツ保護(DRM)システム
- Widevineは、デジタルコンテンツをエンコード、暗号化、ライセンス管理するための技術を提供する。一般的な使用では、ライセンス料不要。
- コンテンツ提供の業者は、高品質のビデオや音声をストリーミングする際に、不正コピー、盗聴などのリスクから各種コンテンツを保護できる。
簡単な事例では、例えば Netflixやhuluの動画をスクショしても、ブラックの画像となってしまうのですが、これは Widevineにより保護されているでしょう。
引用元
- Google Widevine 公式サイト
- その他、Android タブレット 主要ブランドの製品情報
Widevineのセキュリティレベル
Widevineのセキュリティレベルとしては、高い方から順に「L1」「L2」「L3」がありますが、技術的なところはさておき、Android 端末のユーザー側からみた場合には、以下の相違があります。
ただし、解像度においては、Netflix、Amazon Prime、YouTube、Abema TVなどのサービスにより異なることがあり、以下は一般的な事例です。
また、Widevineが適用されるのは Android 端末となり、iPhone / iPadは独自のデジタルコンテンツ保護(DRM)となり Widevineの対象外です。
セキュリティレベル | ポイント |
Widevine L1 | ハードウェアに組み込みセキュリティ機能を利用してコンテンツを保護。Widevineとしては最高レベルの保護となり、解像度やHDRに制限がない。 |
Widevine L2 | 解像度は540pの制限あり。Half HDとなり、HD画質以上は「L1」が必要。 |
Widevine L3 | ソフトウェアベースでの保護の提供となり、解像度は480p(SD画質)の制限あり。 |
コンテンツサービス、Widevine セキュリティの影響
上の画像は、以下の記事で実機レビュー・Widevine L1に対応の「CHUWI HiPad Max」の製品紹介にある画像。Widevine L1に対応のため、Netflix、Amazon Prime ビデオ、Disney+、huluが高画質で視聴可能であることを示しています。
上の段落で、「セキュリティレベル毎の解像度においては、NetFlix、Amazon Prime ビデオ、YouTube、Abema TVなどのサービスにより異なることがある」と記載しましたが、上記4つのサブスクのうち、私が契約している3つのサブスクの解像度は以下のようです。
サブスク | 解像度 |
Netflix | L1,L2に対応している場合、HD画質(720p)以上での再生が可能。実機での確認では、NetflixのL1対応の場合、FHDと表記されています。なお、L3の場合には、SD画質での再生です。HDR再生も含めた 主要ブランド端末の対応は、こちらの公式サイトに記載されています。 |
Amazon Prime ビデオ | HD画質以上の再生は、原則 L1 が必要。ただし、L1に対応していても、HD画質再生できない場合もあり。 |
hulu | HD画質以上の再生は L1 が必要。L3の実機で確認したところでは、最高画質の設定にできないことから、制限がかかっています。 |
なお、Fire タブレットのWidevine L1への対応状況は、以下のAmazon デベロッパーサイトで確認できますが、安価なFire 7も含めて全機種が Widevine L1に対応しています。
▲▼こちらは上記サイトで確認の「Fire 7(2022、第12世代)」のWidevine 対応状況。「L1」と明記されています。
Android 端末で、Widevineのレベルを確認する方法
お使いのAndroid 端末でのWidevine セキュリティレベルは、Google Play アプリにより簡単に確認することができます。複数のアプリがありますが、私は「黒の背景に赤文字で認識しやすい」との単純な理由から、以下のアプリを使用しています。
L1,L3、コンテンツの画質の相違
Widevine L1,L3対応のAndroid タブレット 2台で、私がサブスク契約している Netfilx、Amazon Prime ビデオ、huluにて動画の見え方・画質を比較してみました。なお、2台のAndroid タブレットともに 10インチのFHD、スペックは同程度です。
サブスク | 解像度 |
Netflix | NetflixでのL1対応の実機の確認では、L1=FHD画質、L3=SD画質となるのですが、8インチクラスでは、動画の画質に敏感でない私にはL3も綺麗に思います。このため、それほど拘る必要もないように感じます。ただし、10インチクラスでは、やはりL1画質が綺麗な描写です。 |
Amazon Prime ビデオ | L1の端末では十分に綺麗なものの、L3での端末では普通に視聴はできますが、多少ボヤっとした画質です。 |
hulu | huluの画質の調整にて、L3の端末では最高画質にできないことから、やはり制限があります。ただし、標準画質では見え方は同じであり、私としては標準画質でも十分に綺麗です。 |
▼NetflixでのWidevine L1に対応する端末における、Netflix アプリでの再生の仕様。最大再生解像度はFHDとあります。
まとめ
Android 端末にて、Netflix、Amazon Prime ビデオ、Disney+、huluの動画視聴を高画質で楽しむ場合には、コンテンツ保護の「Widevine L1」が要件となります。
このため、Android 端末で高画質な動画を楽しむことを主な目的とし、特に新興ブランド・販売店系ブランドの製品の場合には、製品紹介に「Widevine L1に対応、サポート」に明記している必要があります。一方、Fire タブレットは安価な Fire 7も含めて、Widevine L1に対応しているとは さすがにAmazon 端末です。
ただし、私が Widevine L1 / L3のAndroid タブレット 2台で、明らかに画質設定が異なる「hulu」で確認したなかでは、視聴に大きく影響するほどに画質の相違はないように感じました。解像度の相違による文字のブロックには気になる私ですが、動画の画像にはそれほど拘りのない私ですので、感覚がずれている可能性もあります。
▼NetflixでのWidevine L1にも対応する、12インチ 4スピーカーを搭載する「DOOGEE T30 Ultra」、および 8.4インチ FHDの「ALLDOCUBE iPlay 50 Mini Pro NFE」のレビュー記事です。
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