今回レビューする製品は、10.36インチのAndroid タブレット「CHUWI HiPad Max」。CPUに Snapdragon 680、メモリ 8GB、ストレージは128GBのUFS 2.2、4スピーカーにLTE対応と豪華な仕様です。
明るく鮮やかな液晶であり、また、AnTuTu ベンチマークの実測スコア 約25万ともなれば 快適に動作し、UFS 2.2のストレージと相まって、AnTuTu スコアが10万台後半のタブレットと比較すると、体感レスポンスに大きな相違を感じます。
CHUWI HiPad Maxのスペック
CHUWI HiPad Maxのスペックについては、以下の製品の紹介記事からの抜粋です。
CHUWI HiPad Max、Snapdragon 680搭載の10.36インチ Android 12 タブレットが発売に。RAM 8GB、4スピーカーなどスペックは充実
CPU | Snapdragon 680、8コア、Cortex-A73 x 4 (2.4 GHz), Cortex-A53 x 4 (1.8 GHz) |
GPU | Adreno 610 GPU |
メモリ | 8GB LPDDR4 |
ストレージ | 128GB、UFS 2.2 |
ディスプレイ | 10.36インチ、IPSパネル、解像度 2000 x 1200、明るさ 400 nits |
WiFi、Bluetooth | 11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0 |
LTE | B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/17/B20/B38/B40 |
カメラ | フロント 5百万画素、リア 8百万画素 |
バッテリー容量 | 3.8V/7000mah、USB Type-C |
サイズ(本体) | 246.50 x 156.25 x 8mm、440g |
OS | Android 12 |
その他 | 4スピーカー、GPS搭載、Google Widevine L1 サポート |
CHUWI HiPad Air、UNISOC T618搭載の10.3インチタブ、専用キーボードケースが大きな魅力
CHUWI HiPad Pro、スナドラ 662、10.8型 2.5K Android 11タブが8/3に発売予定。4.5mmベゼルに 480gと軽量
HiPadには上記のAir / Pro以外にも、HiPad Plusなど複数の派生モデルが存在しますが、最もハイエンドの製品が HiPad Max。
- CHUWI HiPad Airや その他の中国ブランドのタブレットでは、CPUにUNISOC T618(AnTuTu ベンチスコア 約20万)を搭載する製品が多いのですが、HiPad Maxはワンランク優位な Snapdragon 680(AnTuTu ベンチスコア 約28万=HiPad Maxの公開値、今回レビューの実測では約25万)を搭載しています。
- AnTuTu ベンチ 約28万では、Web ブラウザやSNS関連、動画視聴の普段使いではサクサクと動作します。
- 128GBのストレージは、通常のeMMCより高速なUFS 2.2を搭載。ベンチマークスコアは、PCのSATA SSDに迫るものとなり、大容量アプリのインストールなどで効果的。
- 「Google Widevine L1 サポート」とあります。当サイトに掲載のタブレットでは「Xiaomi Pad 5」「Blackview Tab 11(詳細はこちらの記事)」が同様に対応しています。
▼Googleの提供する著作権保護技術のWidevine DRM(Digital Rights Management)ですが、端末が高いセキュリティ要件を満たしていると、高画質での再生が可能です。CHUWI HiPad Maxは、最高位の「Widevine L1」に対応し、Netflix、YouTube、Disney+、Huluなどの高画質での再生に対応しています。
▼上記の「Widevine L1」の対応と4スピーカにより、動画視聴端末としてはベストな組み合わせ。
実機のシステム情報
続いて実機で確認のシステム情報を掲載します。
▼アプリの一覧。ベンチアプリのAnTuTuとCPDT(ストレージのベンチマークを計測)をインストールした後ですが、素のAndroidであり 余計なアプリは全くインストールされておらずに好感が持てます。
▼2022年11月9日時点のビルド番号は「HiPadMAX-680-ROW-2022-0823-U-V.1.4」。他のユーザーさんからの情報では(こちらの記事のコメントを参照)、V.1.3では「位置情報の使用でフリーズ、電源が落ちる」などの現象があったようですが、V.1.4ではその現象は生じていません。
▲▼以降の画像はアプリ「デバイス情報」から抽出ものです。
下の画像はサマリー画面。スペック表記のメモリ 8GBに対して、メモリ の総量は7693MBとなっていますが、よ余裕の容量です。私の場合、それほどメモリを消費する使い方をしないのですが、未使用が約4GBもあります。
以降のデバイス情報のスクショは、必要に応じてクリックし拡大ください。
▼CPUとGPUの情報。画面では表示されていませんが、4 x Cortex-A73 2.4GHz + 4 x Cortex-A53 1.9GHz。GPUは Adreno 610
▼メモリ とストレージの総量と空き容量。先述のとおり、メモリ 8GBもあり余裕、128GBのストレージも通常の使い方では 容量不足となることもありません。
▼バッテリー容量は、もちろんスペック通りの7000mAh。他のスペックとのバランスでは急速充電に対応していると更によかったのですが。このクラスとなると、18Wの急速充電に対応している製品が多いです。
▼ディスプレイの情報。
▼リア 8百万画素、フロント 5百万画素のカメラの情報。HiPad Maxとは関係ないのですが、「デバイス情報」アプリでは、エフェクトやシーンモードの情報も掲載されています。
開封、付属品、外観
開封、付属品、外観について記載します。背面は金属製と思いきや樹脂製です。樹脂製の背面の場合には、ホールドした際のきしみやミシミシ音が気になるところですが、本製品は剛性も高く、しっかりしています。
開封、付属品
▼他のCHUWI 製品と同様にシックな外箱です。私はCHUWIの製品に好感を持っていることの一つが、外箱・製品本体ともに 控えめで小さなロゴであること。
▼HiPad Maxの特徴と一つとなる、Snapdragon 680を搭載していることが明記されています。
▼付属品は2分割、左の箱には説明書類、右の箱にはケーブル・電源アダプターが収納されています。
▼付属のケーブル(USB-A to USB Type-C)、日本仕様プラグのアダプター、SIM トレイピン。ACアダプターの仕様は、アダプターに記載の文字が小さく(アダプターがコンパクト) 老眼の私には読み取れないのですが、説明書には「入力 AC 100-240V, 50-60Hz、出力 5V=2A」とあります。
▼8ヵ国語構成の説明書、保証書(購入日から1年保証)、検査済証。説明書は注意事項・仕様を記載のごく簡易的なものです。
▼フィルムが貼り付けされています。他製品も同様ですが、上のフィルムを剥がす際に丁寧に行っているつもりでも、下のフィルムも剥がれることも多く注意が必要です。HiPad Maxの場合、部分的にフィルムを剥がしてしまい、貼り直す際に数カ所に気泡が入ってしまいました。
外観
▼USB Type-Cのポート側より。繰り返しますが、背面は一見して金属と思ったものの、ヘアライン調の紋様のある樹脂製。質感はわるくなく、油脂の付着は標準的(ある程度、油脂は付着します)。
▲スピーカーは短辺の両サイドに合計4個 配置されています。
▼写真を掲載して気がついたのですが、背面のエッジは段差がある仕様です。
▼逆サイドのスピーカー。ちなみに、以降の背面の写真も同様ですが、フィルムの保護材を剥がす前の撮影であり、右側にラベルが付いた状態です。
▲サイドがフラットに近いため、ホールドした際には 8mmの厚み以上にも感じます。
▼カメラ、電源ボタン、音量調整ボタン周りを拡大。
▼横向きでの撮影。右側にSIM トレイがあります。
▲前述のとおり、中央のロゴは小さく好印象。
▼立てた状態での背面ですが、ヘアライン調の紋様が入っており、樹脂ながらも金属のように見えます。
液晶の表示品質
ディスプレイ面、液晶の表示品質のポイントは以下です。
- 公表値 400 nitsの明るさとなり、明るく鮮やかな液晶です。
- 私にとっては明るさ 100%にすると眩しく、70% あたりで程よいもの。
- デフォルトの色合いとしては暖色寄り。一般的に日本人好みと言われる黄色系の色合いです。
- IPS パネルの視野角は一般的(以降に掲載の写真を参照)。
- 上下左右のベゼル幅の実測は約8mm。こちらでレビューのBMAX I10 Proなど、他のタブレットと比較すると狭い部類です。
- 解像度は 2000 x 1200のFHDですが、気のせいか、テキストの表示ではFHD以上に滑らかなような錯覚もあります。
▼デフォルトの壁紙での撮影。ベゼル幅はやや太いようにも見えますが、手元にある1万円台後半から2万円前後のタブレットと比較すると、ベゼル幅は狭いもの。
▼鮮やかさを確認できるよう、ダウンロードした壁紙での撮影。黒を背景に原色系(蛍光系)の物の壁紙にすると、鮮やかさがよく映え、またベゼル幅も目立たずによい感じになります。
▼正面より。写真では明るさを表現できませんが、手元にあるタブレットでは、明るさ100%にしても暗く感じる製品もあるなか、HiPad Maxは明るさ 70%ほどで 丁度よい感覚です。
▼さすがに この角度で撮影すると、色合いに変化が生じます。ただし、画像を圧縮していることもあり、写真では鮮やかさに欠けますが、実機は より明るく鮮やかです。
▼私は液晶の色合いを判断する際に、私のサイトを参照することが多いのですが、自然な色合いで よい液晶です。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを記載します。比較対象は CPUに「MediaTek Helio G85」を搭載し、以下の記事で実機レビューの「Blackview Tab 13」です。
CHUWI HiPad MaxのSnapdragon 680 / Blackview Tab 13のHelio G95では、CPU / GPUでは Snapdragon 680がやや優位、ストレージは UFS 2.2 vs 通常のeMMCの相違から、CHUWI HiPad Maxが大きな差をつけています。
以降のベンチスコアは、画像上が CHUWI HiPad Max、画像下がBlackview Tab 13です。
▼AnTuTu ベンチマーク V9.4.4のスコアは 252,447となり、CHUWIの公開スコア 約28万には一歩及ばず。ただし、28万 vs 25万では体感レスポンスに影響はありません。
▼Geekbench 5のスコアは「シングルコア 376、マルチコア 1515」。AnTuTu ベンチでは、Helio G95のBlackview Tab 13が僅かに高いスコアでしたが、Geekbench 5では Snapdaragon 680の HiPad Maxのスコアが高くなっています。
▲▼「CPDT」で計測のストレージのベンチマーク。上は UFS 2.2のHiPad Max、下は通常のeMMCのBlackview Tab 13のスコアです。
HiPad Maxのスコアは SSDには及びませんが、Writeが約284MB/s、Readが323MB/sと eMMCの倍以上のスコアです。大容量アプリのインストールなどでは効果のほどを実感できます。
体感レスポンス
AnTuTu ベンチスコア 約25万ともなれば、普段使いではサクサクと動作します。SNS関連や、ブラウザ、通常の動画視聴の場合、スコア 40万超の端末と比較しても、大きく体感できるほどのレスポンスの相違はありません。
他の10インチクラス / AnTuTu ベンチ 10万台後半のタブレット、ストレージが通常のeMMCのタブレットとの体感レスポンスの相違は以下です。
- AnTuTu ベンチスコアが10万台後半のタブレットと比較すると、UFS 2.2の高速ストレージと相まって、全てにおいて快適。
- スコア 10万台後半のタブレットでは、スリープからの復帰にタメや ぎこちない動きを感じるのですが、HiPad Maxではキビキビと動作します。また、アプリの切替や画面遷移もスムーズです。
- インストールしたアプリで最大容量のものは、AnTuTu 3D Benchの約1GBですが、一般的なタブレットでは 時間を要するインストールもスムーズです。
- ベンチスコアが ほぼ同水準となる Blackview Tab 13と比較しても、HiPad Maxは動きが滑らかな感覚です。
- 前述のとおり、SNS関連、ブラウザ、YouTubeなどのライトユースにおいては、上位のスマホなどと比較した場合にもレスポンスの相違を大きく感じることなく 快適に動作します。
▼こちらは AnTuTu ベンチスコア 約55万の「POCO X3 Pro 」のレビュー記事ですが、ライトユースでは HiPad Maxとレスポンスの相違を大きく感じることはありません。
スピーカー
私がタブレットにてスピーカーを使用する状況は、YouTubeの視聴・時おり Netflixとなり、4スピーカーの恩恵を受けることは多くないのですが、私の好みの音質です。
- 私はスマホやタブレットのシャカシャカした高音の音質が好みではないのですが、HiPad Maxは程よく抑えられているような感覚。
- 低音も響きもよく、高音とバランスのとれた音質のように感じます。
- 私はノートPCの2スピーカーで YouTubeを視聴することも多いのですが、4スピーカーの効果もあり、一般的なノートPCよりも聞きやすいもの。
カメラ
タブレットの場合、概ねiPadや一部のハイエンドなAndroid タブレットを除いては、カメラはメモ書き代替の機能となることが多いですが、HiPad Maxもメモ書き代替的な扱いとなり、使用感のポイントは以下です。
- 室内でのみ確認しましたが、オートフォーカスはやや遅く、もどかしさを感じます。
- 一方、ストレージに高速なUFS 2.2を使用していることもあってか、また、画像数も小さいために保存は高速。
- 明るさやシャープさなどは、プレビュー時の画像と保存後の画像に相違も感じます。プレビュー時には明るく、きめ細やかな画像であるものの、保存後にはやや暗く粗い画像となる感覚です。
- 撮影した画像を拡大すると粗さを感じますが、メモ書き代替としては十分です。
LTE接続
OCN モバイル ONEのドコモ回線 SIMを挿入し、LTEの回線速度などを確認してみました。
- 私は同回線の古いAPNのSIMですが、HiPad MaxのデフォルトのOCN モバイル ONEの設定で一発で接続できました。逆に言えば、同回線の新しいAPNでは手作業で登録する必要がありますが、私が知る範囲では他の外国製タブレットも同様です。
- 千葉市郊外の自宅では電波が強くないのですが、それでも下に掲載の画像のとおり、十分な速度が出ています。
▼SIM トレイを引き出した写真と、SIMを設置した写真。
▼千葉市郊外の自宅にて、OCN モバイル ONE(ドコモ回線)の速度を計測。電波のアンテナはフルではないのですが、それでも 29Mbpsと、OCN モバイル ONEのSIMとしては かなりよい結果です。
▼OCN モバイル ONEは、NTTドコモとの合併により、新規申し込みを停止しています。繋がりやすさとタブレットでも使用できる汎用性では、私の家族が利用中の「ahamo」、あるいは「Y!mobile」がおすすめです。
まとめ
Snapdragon 680とメモリ 8GB / UFS 2.2のストレージにより キビキビとした動作、明るく鮮やかで色合いもよい液晶、4スピーカーによる音質と、かなりよい出来のタブレットです。
私としては、アルミ製の背面、急速充電に対応していると更に万全であるものの、コストアップにも繋がりますので、価格とのバランスを重視すると、現在の仕様で十分とも言えます。
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