私にとっては、ミニPCの中国系 大手ブランドとも言うべき「MINISFORUM」と「Beekink」。両社の製品のデザインは異なりますが、これまでレビューした製品を振り返ると「製品の作りのよさ」は同水準にあるように思います。そこで、今回は「MINISFORUM」と「Beelink」の製品の特徴や傾向などを記載します。
MINISFORUM
2022年度後半は、UMシリーズの売上が特に好調だった「MINISFORUM」。AliExpressなどの海外通販サイトよりも、公式ストアとAmazonでの販売をメインに展開しています。
2012年に中国・深センに設立された会社となり、ミニPCに特化して販売しています。なお、他ブランドではOEM提供の製品を販売している事例が多いのですが、MINISFORUMの公式ストアによると自社で開発・製造・販売とあります。確かにボデイは汎用品ではなく、独自のデザインや天板などが工夫されている製品が多いです。
公式サイト、通販サイト内のストア
「MINISFORUM」の公式サイト、大手通販サイト内のストアは以下となります。クリスマスなどのイベント時には、Amazonよりも公式サイトのストアが安価で販売されていることが多いです。
また、国内通販サイトでは、メモリ・ストレージ・OSのセット品の販売ですが、公式サイトでは、安価なベアボーンも販売されており、手持ちのメモリ・ストレージを活かす場合には ベアボーンがお得です。
製品の傾向
私は同社がクラウドファンディングサイトにて、特定製品の販売(出資を募る)していた 2020年半ばあたりから、製品の動向を注視していましたが、私が感じる製品の傾向は以下です。
- ミドルレンジからハイエンドの製品をメインに展開。また、インテルよりもAMDのCPUを搭載する製品が多い。
- いち早く 最新のCPUやパーツを搭載し、リリース(予約販売)することが多い。事例としてはこちらの記事のNAD9。
- 新製品リリースのサイクルが短く、ややモデル数過剰になっている感覚あり。特に、CPUをスペックアップ・モデル名(型番)を変更しての販売も多くなっています。
- 外付けのGPUを接続可能な製品や、外枠なしの製品など、奇抜な製品をリリースすることもあり、これらの製品の人気・注目度はそれほど高くありません。事例としてはこちらの記事のB550。
- また、終売となるサイクルもやや速く、この2年ほどでレビューした製品で既に流通していない製品が多々あります。
- ヒートシンクの構成から ケーブルの束ね方まで、私がレビューする範囲では、内部の作り込みも凝った製品が多いです。
- エントリークラスは樹脂製ボディとなるものの、ミドルレンジ以上では 一部にスチール・アルミ・カーボンを使用するなど、冷却対応を考慮したうえでボディの素材は多様。
レビュー記事、紹介記事
終売の製品もありますが、過去にレビューした、あるいは紹介の製品事例はこちら。
- MINISFORUM UM300 実機レビュー、Ryzen 3 3300U搭載でベンチマークはCore i3-8145U以上、静音仕様のミニPC
- MINISFORUM X35G 実機レビュー、Core i3-1005G1に高品質ボディと静音性で人気となる予感。Amazonでも販売に
- MINISFORUM H31G 実機レビュー、Core i5 9500F,Geforce GTX1050 Ti搭載の驚愕ミニPCは、ボディの造りと冷却も万全
- MINISFORUM U820 実機レビュー、Core i5-8259U / PCIe SSDの快速仕様に 2.5インチ SSD 2基を簡単に増設可能
- MINISFORUM UM580、AMD Ryzen 7 5800H搭載のミニPCが販売に。GaN 電源アダプター付属、Type-C Alt モードに対応
- MINISFORUM UM590、AMD Ryzen 9 5900HXを搭載のミニPCが販売開始。ベアボーンは 61,980円とコスパ高
- MINISFORUM UM690がリリース、AMD Ryzen 9 6900HXとUSB4を搭載のハイエンドなミニPC
- MINISFORUM NAD9、Core i9-12900Hを搭載のハイエンドミニPCがリリース。PCIe 4.0 SSDに対応、2.5インチ SSD 2基の増設可能
おすすめ製品の事例
2023年1月時点での おすすめPCとしては やはり人気のUMシリーズ。AMDのCPUの場合は、UMで始まる型番となるのですが、UM690 / UM590 /UM580が人気です。UM580はGaN 電源アダプター付属、Type-C Alt モードに対応することが大きな特徴。
UM590は AMD Ryzen 9 5900HXを搭載しつつも、公式ストアのベアボーン価格は61,980円。UM690は、ミニPC全体としてもフラッグシップとなる AMD Ryzen 9 6900HXとUSB4を搭載しています。
▼UM560 / 580 / 590 / 690の相違を、以下の記事にて整理しました。
Beelink
現在(2023年1月)のように、国内通販でミニPCが人気製品となる以前から、「Beelink」は AliExpressなどの海外通販にてミニPCを展開しています。ミニPCのみならず、TV Boxも多く販売しており、TV BoxとミニPCの老舗的なブランドです。
「Beelink」は販売ブランド名ですが、母体の会社は2011年に中国・深センで設立の「AZW Technology Co,. Ltd」です。私が初めて同社の製品をレビューしたのは 2018年8月ですが、当時のミニPCを展開するブランドはごく少数との記憶です。
公式サイト、通販サイト内のストア
「Beelink」の公式サイト、大手通販サイト内のストアは以下となります。日本国内での販売は、2022年から多くなったような感覚ですが、前述のとおり海外通販では古くから展開されています。AliExpressでの販売数では、MINISFORUMに大きな差をつけ上回っています(MINISFORUMは公式サイトに重きを置いており、販路の相違も大きいです)。
製品の傾向
これまでレビューした、あるいは紹介した製品において、私が感じる「Beelink」のミニPCの特徴・傾向は以下となります。
- 「MINISFORUM」は ミドルレンジからハイエンドのミニPCを多く展開しているのに対して、「Beelink」はエントリークラスからハイエンドまで、古くから幅広く展開。
- AliEpxressなどの海外通販で多く展開していることもあり、世界的には「MINISFORUM」より「Beelink」がメジャーブランドとの認識です。
- 「MINISFORUM」が最新のパーツをいち早く取り入れるのに対して、「Beelink」は僅かに遅れてリリースのイメージ(順番が前後する場合もあります)。
- ミドルレンジからハイエンドの製品では、メモリやストレージのブランドを製品情報として公開するなど、パーツに対する安心感があります。
- 特に最近の傾向としては、インテル・AMDのSoCともに静音仕様のミニPCが多いです。
- 汎用的なボディの製品が多く、この意味では安心感にも繋がります。
- 初めて、同社のミニPCをレビューして驚いたのが、内部の作り込みが丁寧なこと。今では標準的とも思えますが、堅実なブランドのイメージがあります。
レビュー記事、紹介記事
以下はこれまでのレビューした製品、紹介した製品の一部の事例ですが、冒頭の「Gemini X45」は2018年8月のレビュー記事です。当時、日本ではミニPCはマイナーな存在でしたが、Beelinkは既に海外通販サイトで大きく展開していました。
- Win 10 ミニPC Beelink Gemini X45の実機レビュー、Gemini Lake/RAM 6GB搭載でサクサク動き、静けさも特筆もの
- Beelink Mini S ミニPC 実機レビュー、Jasper Lake N5095搭載でサクサク動作、コンパクトかつ静音仕様で在宅勤務にもおすすめ
- Beelink U59 Pro ミニPC 実機レビュー、Jasper Lake N5105を搭載し ベンチスコアは第5世代 Core i5と同水準、ほぼ無音の静音性
- Beelink SEi 8 ミニPCの実機レビュー、Core i5- 8279Uを搭載しサクサク動作、大手ブランド RAM・SSDの安心感、特筆すべき静音性
- Beelink SER5 ミニPC 実機レビュー、AMD Ryzen 5 5560U / RAM 16GBを搭載しキビキビ動作、通常作業時には無音で作業効率もアップ
- Beelink SEi 12 、Core i5-1235U / PCIe 4.0のM.2 SSDを搭載のミニPC。2つのファンを搭載しつつも静音仕様
- Beelink GTR6 がリリース。AMD Ryzen 9 6900HX、8K出力 HDMIを4ポート、PCIe 4.0 x 4 SSD装備のハイスペックミニPC
おすすめ製品の事例
2022年に同社の製品を4製品レビューしましたが、エントリークラスのCeleronから ミドルレンジ〜ハイエンドのCore i / AMD Ryzenまで、驚くほどの静音であることが大きな特徴。このうち、エントリークラスでは Jasper Lake N5105を搭載の「U59 Pro」、上位機では AMD Ryzenを搭載の「SER5」がおすすめです。
まとめ
国内外通販で多く販売されているミニPCのブランドのうち、大手(二大)ブランドとも言うべき「MINISFORUM」と「Beelink」について、製品の傾向などをまとめてみました。両社ともに堅実な作りのミニPCを販売しており、ブランドで迷った場合には両社のいづれかを選択すると間違いなしとの認識です。
両社ともコスパ度は同程度(構成する機能・ポート類の相違から、同一スペック帯では Beelinkがやや安価)ですが、デザインと機能に凝っている「MINISFORUM」と、構成するパーツ選びに堅実な「Beelink」の相違があるように感じます。
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