今回レビューする製品は、LenovoのゲーミングPC「LOQ Tower 17IRR9」です。グラボの組み合わせにより 複数のモデルがありますが、レビュー機は Core i7-14700F、GeForce RTX 4060、PCIe SSD 512GB + 2TB HDDの構成。この構成にして、2024年9月14日現在の価格は 164,890円と、他ブランドの同スペック帯のPCと比較すると格安です。
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今回のレビューは、Lenovoさんからお借りした製品に基づき、表示のスペック・価格などは、2024年9月14日現在のものです。
LOQ Tower 17IRR9のスペック
レビュー機のスペックは以下となります。なお、以下のCPUとグラボなどの組み合わせから、2024年9月14日現在の販売モデルは、12万円台、13万円台、16万円台です。
- CPUはインテル 第14世代、Core i5-14400F、あるいは Core i7-14700F
- グラボは NVIDIA GeForce RTX 3050 6GB GDDR6、あるいは NVIDIA GeForce RTX 4060 8GB GDDR6
- ストレージは 2280サイズのM.2 2280 PCIe-NVMe Gen4をベースに、3.5インチ SATA HDD
- メモリは 16 GB DDR5-4800MHz、あるいは 16 GB DDR5-5600MHz。いづれも 8GB x 2
▼レビュー機のスペックは以下です。
CPU | Core i7-14700F、Eコア 最大 4.20 GHz Pコア 最大 5.30 GHz |
GPU | NVIDIA GeForce RTX 4060 8GB GDDR6 |
メモリ | 16 GB DDR5-5600MHz(8GB x 2)、最大 32GB |
ストレージ | 512 GB SSD M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4 TLC、3.5インチ 2 TB 7200rpm HDD |
WiFi | WiFi6E 対応 |
Bluetooth | 5.2 |
ポート類 | USB Type-C 3.2 Gen 1、USB-A 3.2 Gen 1 x 2、USB-A 2.0 x 4、HDMI、DisplayPort x 3、空きスロットなし |
サイズ | 約 170 x 279 x 376mm、約8.0kg |
OS | Windows 11 Home |
その他 | 500W 電源、インテル B760 チップセット |
▲▼ポート類の構成は以下となりますが、統合型のGPUではないため、②のHDMIと③のVGAは使用できません。
- ① ライン出力
- ④ USB2.0 x 4個
- ⑤ イーサネット・コネクター(RJ-45)
- ⑥ コンボジャック
- ⑦ USB3.2 Gen1 Type-C
- ⑧ USB3.2 Gen1 x 2
実機のシステム情報
実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11 「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。CPUは Core i7-14700F、メモリ 16GB。OSは Windows 11 Home
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
フリーソフト「HWiNFO」利用による Windows PC バッテリー劣化度の表示事例
▲▼上の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」で計測のシステムの概要です。クリックで拡大できます。
▼インテル 第14世代 Core i7-14700Fは、Pコア 8 / Eコア 12の合計 20コア 28スレッド、TDPは65W
▼メモリはDDR5の16GB(8GB x 2)。最大搭載量は 32GBです。
▼GeForce RTX 4060 GDDR 6 8GBの情報です。
▼メモリの型番は「M323R1GB4PB0-CWMOL」、Samsungのメモリです。
▼PCIe SSDの型番は「SKHynix_HFS512GEJ9X164N」。ググってみても ヒット件数はごく僅か。
▼3.5インチ SATA HDDの型番は「Seagate ST2000DM008-2UB102」。Amazon 価格 約1万円のHDDです。
外観
デスクトップとしてはコンパクトな製品ですが、自分の部屋では撮影しづらいアングルとなるため、外観の写真については細部、あるいは横置きメインで掲載します。
▼ブラック艶消しのサイドとグレイの前面の組み合わせです。ブラックのサイドは、指紋や油脂が多少 付着しやすいもの。
▼落ち着きのあるツートンの配色に縦の白いLEDと、デザインはオフィス・自宅の双方にマッチするもの。なお、後述のソフト「Lenovo Vantage」により、LEDの点灯はオフにできますが、色の変更はできません。
▼縦置きでの左サイドに、パンチング状の大きな通風孔があります。前面のパネルの裏には吸入用のファンが装備されており、前面のサイドの縦長の通風孔があります。
▼前面のポート類は、USB-A 2.0 x 2、データ専用のUSB Type-C、イヤホンジャックの構成です。
▼背面より。グラボの映像出力は、DisplayPort x 3、HDMIの4系統
▼サイドのパンチング状の通風孔を拡大。こちらから内部の熱が排出されますが、通常使用時には、熱の排出量は多くないです。
▼底面には4個のゴム足があります。約8kgの重さもあり、片手で押した程度では 全く動かず、しっかりと設置できます。
内部の構成
内部の構成について記載します。上の写真のとおり、500Wの電源と 3.5インチ HDDは下側に装備されています。ファンは、CPU ファン、前面と背面の合計3個。
▼上のネジ 2つを外すことにより、簡単に内部にアクセスすることができます。
▼上部を拡大。右に2280サイズのM.2 PCIe SSD、その左に2スロットのメモリがあります。狭い面積、奥まった場所にスロットがありますが、メモリとSSDの交換・メンテナンスは一般的です。
▼GeForce RTX 4060、電源、3.5インチ HDDのある下部を拡大。空きスロットがないこともあり、内部は多少の余裕があります。
▼フロントファンです。ケーブル類は程よく収納されています。
▼CPUファンを更に拡大。繰り返しとあんりますが、メモリ、M.2 SSDの空きスロットはありません。
▲右下にCMOS 電池がありますね。
▼3.5インチ HDDを拡大
▼500Wの電源を拡大
Lenovo Vantageによるカスタマイズ
上の画像のLenovo Vantage ソフトにより、サーマル・モード、前面の照明をカスタマイズすることができます。
▼サーマル・モード設定(Windows 11 設定の「電源モード」的なもの)は、「パフォーマンスモード」と「バランスモード」から選択できます。以下のベンチマークスコアは、「パフォーマンスモード」での計測です。
▼前面の縦のライトの色の変更はできませんが、無効化、効果のカスタマイズを行うことができます。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。私はゲームを行わないため、申し訳ありませんが、一般的なベンチマークのみの計測です。なお、以下のスコアは上記のLenovo Vantageにて、パフォーマンスモードに設定し計測しています。
▼手元に直近のデスクトップPCがないこともあり、比較対象は モバイル向けのRyzen 9 7940HSを搭載するミニPC「GEEKOM AE7」です。
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 2008、マルチコア 17825」
▲▼ノートPCとミニPCがメインとなりますが、以下の記事にて これまで実機レビューしたPCで計測の Geekbench 5のスコアを一覧化しています。このなか、モバイル向けの「Core i9-13900H」と「AMD Ryzen 9 7940HS」のシングルコアのスコアは 2000弱。もちろん、シングルコア・マルチコアともに、本製品がトップです。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2736、マルチコア 16210」
Geekbench AI
以下の記事にて紹介していますが、リリース間もない「Geekbench AI」のスコアを計測してみました。比較対象として、AMD Ryzen 9 7940HSのスコアを掲載しています。
Geekbench AI ベンチマークがリリース、早速 インストールし、AI対応のPC 3製品にてスコアを計測してみた
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1989、マルチコア 27535」
▲▼ノートPCとミニPCがメインとなりますが、以下の記事にて これまで実機レビューしたPCで計測の CINEBENCH R23のスコアを一覧化しています。もちろん、シングルコア・マルチコアともに、本製品はダントツのスコアとなり、同ベンチマークの動きを見ても、かなりスムーズに動作していることがわかります。
CINEBENCH R23、ミニPC・ノートPC 30製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
3DMARK Time Spy
3DMARK Time Spyのスコアは 10962
PCMARK 10
PCMARK 10のスコアは 8366、2つめのスコアは Ryzen 9 7940HSですが、PCMARK 10においても、そのスペックから当然ながらも、これまでレビューしたミニPC・ノートPCと比較すると、大差をつけてトップです。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標は、本製品とRyzen 9 7940HSは同水準ですが、Digital Content Creationでは大きなスコア差があります。
ファイナルファンタジー XIV
解像度 FHDでのファイナルファンタジー XIVのスコアは「19292、非常に快適」
ドラクエベンチマーク
軽めのゲーミングベンチソフト「ドラクエベンチマーク」のスコア(FHD 解像度)は、「すごく快適 25427」
CystalDiskMark
M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4 TLC、3.5インチ 2 TB 7200rpm HDDの速度です。前者のReadは 5000MB/s超えですが、CPU / GPUとのバランスを考慮すると、もう1ランク上(Read / Write 7000MB/s 前後)でもよかったように思います(価格と発熱を考慮すると妥当なところ)。装備のSSDにおいても、Windowsの起動・終了、大容量ソフトのインストールともに、十分に快適ですが。
▼私としては 久しぶりの 3.5インチ HDDの使用ですが、eMMC 程度の速度が出ています。
体感レスポンス
私はゲームや動画編集を行わないため、記事編集および画像編集、Web サイトのブラウジング、動画視聴、ExcelとAccessなどの在宅勤務のライトユースでの体感レスポンスを記載します。
- 上記の用途では、Core i5-8350Uなどの旧世代、あるいは Alder Lake N100のエントリーPCにおいても十分ですが、さすがにCore i7-14700F / GeForce RTX 4060ともなると、数ランク 機敏に動作します。
- 普段は、M2 Pro Mac mini / Core i7-1360P / Ryzen 9 7940HSのPCを使用することが多いのですが、上記のライトユースにおいても、よりキビキビと動作することを体感できます。
- 各種ファンの音量も大きくなく、マシンパワーと相まって作業に集中することができます。
- 体感レスポンスとは異なりますが、私はノートPC、ミニPC、Macを使用することが多いものの、上記および拡張性も踏まえて、デスクトップPCもよいものです。
CPU 温度、ファン音量
CPU 温度とファン音量(騒音)について記載します。CPU 温度は、ベンチ計測中 十数回に一回のみ サーマルスロットリングが発動することがありましたが、この1回を除いては 最大でも 80℃台となっています。
ファン音量は、Windows 起動時の数秒間と、ベンチマーク計測などの負荷をかけた際には、それなりの音量となります。ただし、ブログ記事の編集・Web サイトのブラウジング程度では 気にならないほどの静けさであり、音量が大きい場合にも 低い音質 かつ即 通常の音量に下がるため、気になるものではありません。
▼CINEBENCH R23にて負荷をかけた際のCPU温度です。最大でも 84℃と比較的 良好です。
▼CINEBENCH R23を計測中のCPU温度です(iPhone アプリ「デジベル X」での計測)。平均 48.4dBとなり、それなりの喧しさですが、大きく負荷をかけた際の音量であり、また、低音で耳に響くこともないため、気になるものではありません。
全般的な使用感、まとめ
私はゲームや動画編集を行わず、Web サイトのブラウジング、記事・画像の編集、在宅勤務時のデータ量・関数の多いExcelやAccessをメインとした、ライトユースの使用です。これらの用途では、当然ながらも かなりキビキビと動作します。ただし、ライトユースでは、M2 Pro Mac mini、AMD Ryzen 9 7940HS、Core i9-13900Hなどと、体感レスポンスの相違はありません。
その他の使用感は以下となります。
- 質量は約8kgとずっしりとした重さはありますが、約 170 x 279 x 376mmとコンパクト。机上においても、それほど圧迫感はありません。ただし、私のPCデスクは160cmですが、120cmの場合には 多少の圧迫感があるとも思います。
- ツートンの筐体は落ち着きがあり、前面の縦のLEDも過度に主張することなく デザインはよいものです。これにより、オフィス・自宅ともにマッチします。
- ヘビーユーザーの場合、空きスロットがないことに厳しさを感じることと思います。また、メモリ 32GBにカスタマイズした場合、+22,000円とやや高価。
- 公式サイトの製品紹介では、静音であることを特徴の一つとしていますが、確かにそのとおり。大きく負荷をかけた場合には 多少の喧しさもありますが、それでも許容範囲の音量です。普段使いでは、ほとんど気にならないほどに静音であり、快適レスポンスとあわせて 作業に集中することができます。
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レビュー機(Core i7-14700F、GeForce RTX 4060、PCIe SSD 512GB + 2TB HDD)の 2024年9月14日現在の価格は 164,890円。以下に記載のとおり、他ブランドの同スペック帯のPCと比較すると安価です。
なお、Core i5-14400F、GeForce RTX 3050のエントリー構成は 122,870円となり、同価格帯のミニPCと比較しても コスパに優れています。
▼GeForce RTX 4060を搭載するPCの事例は以下などがありますが、CPUは Core i5-13400F / Core i5-14400F となり、Core i7-14700Fを搭載する「LOQ Tower 17IRR9」より 高い価格設定です。
- マウス、 G-Tune DG-I5G60
- パソコン工房、LEVEL-M17M-144F-RL1X-BLACK
- フロンティア、FRGAMLB760M/SG1
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