ディスプレイ
電源をオンにして最初に感じたことが、液晶がかなり明るいこと。また、光沢パネルでありつつも、これまでレビューしたWindowsの光沢パネルよりも、映り込みやギラギラ感が抑えられていること。具体的には以下となりますが、上下左右のベゼル幅が狭いデザインも含めて、かなり好印象のディスプレイです。
なお、他の写真も含めて iPhoneにて撮影していますが、光沢パネルであるためか、液晶は実際よりも紫がかっています。白を背景とした場合には写真の紫がきつくなるため、デフォルトの壁紙のみでの撮影です。
- アスペクト比は 16 : 10であり、一般的な 16 : 9のワイドパネルよりもExcelにして 2~3行ほど縦長です(縦横含めて 15.6インチのため、その分 横の表示は16 : 9よりも狭くなります)。当記事は本製品を使用して編集していますが、縦領域が長いために効率的に作業できます。
- 15.6インチクラスのFHDでは、文字のドットが気になりはじめるサイズですが、3.8K 解像度のためにドットは感じず滑らかです。
- 私は通常、ノートパソコンの明るさを最大にして使用することが多いのですが、本製品は500nitsと明るい液晶(一般的には300nitsあたりのPCが多い)のため、明るさ80%ほどで使用しています。
- 色温度としては、僅かに暖色寄りでしょうか。私にとっては程よい色合いです。
- 100% AdobeRGB、99% DCI-Pの広い色域の液晶です。確かに、写真などは自然な色合いの描写ですが、M1 MacBook Airと比べると やや鮮やかさに欠けるように感じます。
- タッチパネルでのスクロールも滑らか、リンク押下も良好です。
▼光沢パネルで記事掲載用の写真を撮影する場合、周囲の物が映り込まないよう気を配るのですが、本製品は映り込みは抑えられています。また、光沢パネルのギラギラ感も強くありません。
▼Windows デフォルトの壁紙での撮影。ブラックのキーボード面にはダークの壁紙が統率感があり よいものです。PC、タブレットともに光沢液晶の撮影では、周囲の物が映り込まないよう注意する必要があるのですが、本製品では映り込みも少なく、作業時にも集中できます。
▼ディスプレイを最大まで開いた様子。角度は控えめです。
キーボード
本製品の場合、そのスペックとデザインが大きな特徴となりますが、キーボードもかなり良いです。まずは、15インチクラスでテンキーなしがいいですね。
また、キーボードのタイピング感は、同時にレビュー中の「Lenovo ThinkPad E14 Gen 5」よりも、リズミカルなタイピング感・高速タイピング可能な点において、ThinkPad E14と同水準、あるいはキーボードのサイズから本製品がより万人受けすると思います。
- ストロークはやや浅め(現行のThinkPad X1 Carbonよりも深い)ですが、適度な押し込み感や戻り感もありつつも、軽快にタイピングできます。
- 所有するメジャーなPCでタイピング感を例えると、MacBook Air 11とMacBook Pro 15 Retina Late 2013の中間あたりのタイピング感。打鍵音はこれらのMacBookよりも多少静かです。
- 実測でのキーピッチは、横が約20mm、縦が18~19mm。15.6インチでテンキーなしと余裕があり、主要キーのサイズも均等、特殊な配置もありません。
▼キーは中央に向けて窪みがあるタイプではなくフラットです(もしかすると、ごく僅かに窪んでいるかも)。なお、一般的なノートPCよりも油脂は付着しにくいようにも感じます。
ベンチマークスコア
Geekbench 5 / 6、CINEBENCH、ドラクエベンチマーク、SSDとメモリ 読み書きのベンチマークスコアを掲載しめす。
Geekbench 5
Geekbench 5 CPU ベンチマークのスコアは「シングルコア 1537、マルチコア 10946」。
▼以下の記事にて、これまで実機レビューしたPCをメインに、Geekbench 5のスコアを掲載していますが、シングルコアは Core i5-1235Uの水準、マルチコア(CPU / GPUの統合チップ)は Core i5-13500Hの水準です。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2114、マルチコア 11828」。Geekbench 5と6では、評価項目と評価のベースとなるPCの相違から、6がより高いスコアとなります。
PCMark 10
PCMark 10のスコアは6211。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4500ですが、本製品では 7713となり 十分なスコアです。
▲2つめの画像は、以下の記事にて実機レビューの CPUにCore i7-1360Pを搭載する「ThinkPad E14 Gen 5」のスコアですが、本製品のNVIDIA GeForce RTX 3050 TiとThinkPad E14の統合チップのGPUの相違もあり、本製品が高いスコアです。
CINEBENCH
いつの間ににか CINEBENCHはR23から2024に更新されています。2023年10月1日現在、Microsoft Storeでは 私が他のPCで多く計測している「CINEBENCB R23」ですが、デルさんにお借りした端末ですので、Microsoft Storeからインストールできず、公式サイト経由でインストールの「CINEBENCH 2024」での計測であり、比較対象はありません。
▼シングルコアは89、マルチコアは737です。2つめの画像のランキングでは、シングルコアはAMD Ryzen 7 5800X相当、マルチコアは Apple M1 Max相当です。
3DMark
3DMark Time Spyのスコアは5011、NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti搭載により高いスコアです。ちなみに、世代が異なるために比較対象とはなりえないのですが、下記のリンク先記事でレビューのCore i9-10885H ・NVIDIA GTX 1650Tiの構成のスコアは 3668です。
ドラクエベンチマーク
軽めのベンチソフト「ドラクエベンチマーク」のFHD 解像度のスコアは「20319、すごく快適」。比較対象にはなりませんが、Core i7-1360P / 統合チップのスコアは 6270ですので、NVIDIA GeForce RTX 3050 Tiにより相応の差があります。
CrystalDiskMark
「実機のシステム情報」で記載のとおり、Western DigitalのNVMe PCIe 4.0 Gen4 x4のSSDですが、Read 6904MB/s、Write 4532MB/sと高速です。実際に、上のドラクエベンチマーク(約280MB)のインストールでは、読み書き 3000MB/sクラスのSSDと比較すると、体感で1.5倍ほどの速さで完了します。
メモリ帯域幅
Windowsのメモリベンチマークなら「Sandra Lite」、無料版でも帯域幅をズバリ表示。インストールと計測方法
上の記事で紹介の「Sandra」で計測のメモリ帯域幅は 44.89GB/秒。DDR5-4800のメモリでもあり、高速です。
体感レスポンス
CPUの実力としては、インテル 第13世代 モバイル向けのCore i7-1360PやCore i5-13500Hに及びませんが、GPUのNVIDIA GeForce RTX 3050 Ti、Read 7000MB/s弱のSSDとあわせて快適に動作します。
私のPCの用途は、Web サイトのブラウジング、記事の編集、画像編集、データ量と関数が多めのExcel / Accessのライトユースです。これらの用途では、メイン利用のM2 Pro Mac miniと遜色なく キビキビと動作します。
高速なストレージの恩恵により、大容量ソフトのインストールも速く、負荷を要するゲームや動画編集を行わない限りは、今後数年間、メインPCとしての利用も十分にこなせます。
また、エントリークラスのPCでは、Windows 11の更新前後に システムプロセスがバックグラウンドで動作し、レスポンスが大幅にわるくなる現象がありますが、本製品ではその現象もありません。
サウンド
「ステレオ ウーハー2.5 W x 2、ステレオ ツイーター1.5 W x 2 」の合計 4スピーカー、8Wの出力です。2スピーカーを搭載の一般的なPCのスピーカーの音量・音質とは大きく異なり、Amazon MusicやYouTubeの音楽を流してみて、即違いがわかる水準です。
中高音の伸び、低音の響きともによく、M1 MacBook Airや、先日 レビューした以下の4スピーカーを搭載するLenovo Yoga 770iよりも(これらの音質もよいです)、音質は確実によいです。また、音量も大きく、PCで作業しながらのBGMでは音量 3割ほど(音源により異なります)でちょうどよいイメージです。
CPU温度、ファン音量
気にするほどではありませんが、ベンチマークスコアの計測時には、CPU温度を抑制すべく サーバルスロットリングが発動しています。ただし、キーボード面などのボディは それほど熱さを感じません。
また、通常利用時にはファン音量は気にならず 静音と言えますが、ベンチマークなどで負荷をかけた場合には、リビングなどでの使用は遠慮したくなるほどのファン音量です。
▼フリーソフト「HWiNFO」で計測の、ベンチマークソフトで負荷をかけた際のCPU温度は、サーマルスロットリングが発動する100℃
▼iPhone アプリ「デジベル X」で計測の、ベンチマーク計測時のファン音量は 平均 約56dB。iPhoneをお持ちの方は周囲の環境音と比較してみてください。一般的なノートPCよりも大きなファン音量です。ただし、通常利用時には、ファン音はほとんど気になりません。
まとめ
CPUにインテル 第12世代 Core i9-12900HK、GPUにNVIDIA GeForce RTX 3050 Tiを搭載する旧モデルの「Dell XPS 15」のレビューでした。ディスプレイがやや開けづらく、約1.84kgと重量はあるものの、アルミとカーボンによる質感の高さ、ベゼルレスとも言える液晶やサイドのデザイン、レスポンス、テンキーレスのキーボードの快適さ、3.8K 解像度で映り込みを抑えた液晶などのメリットの多い、至極の快適性を持つPCです。
現行のCore i7-13700H / NVIDIA GeForce RTX 4050モデルの場合、2023年10月1日時点の価格は20万円台半ばとプレミアムモデルですが、スペック以外でも価格に見合う構成です。
製品情報はこちら
▼大量タイピングを行う方には、こちらの16インチ テンキーレスキーボードの「Insprion 16」も参考です。
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