今回レビューする製品は、中古で購入の「Let’s note CF-QV8」です。CPUに Alder Lake N100と同水準のベンチマークスコア・体感レスポンスとなる Core i5-8365Uを搭載し、キーボードのタイピングも快適。
液晶ジャンク(交換予定)、筐体に多くの傷ありの格安購入での中古ですが、元値が高価でもあり、全般的にPCの作りは さすがによいものです。
程度の良い中古は概ね3万円台からと、基本スペックからすると安くはないのですが、Let’s noteが好みの場合には、購入の検討もありです。
CF-QV8のスペック
スペックは以下の記事にて掲載していますが、あらためての掲載です。中古で流通のストレージは SATA SSDが多いです(PCIe SSDに換装可能)。なお、メモリはオンボードとなり、換装できないことに留意ください。
Let’s note CF-QV8、12インチ 2.8K 解像度、Core i5-8365U搭載の中古PCが4万円切りで販売中
CPU | Core i5-8365U、4コア8スレッド、最大 3.6GHz |
GPU | Intel HD Graphics 620 |
メモリ | 8GB LPDDR3 SDRAM、オンボード、換装・増設不可 |
ストレージ | M.2 SATA SSD 256GB(標準装備はSATA、PCIe SSDに換装可能) |
ディスプレイ | 12インチ、IPS、タッチパネル、解像度 2880 × 1920ドット(3 : 2) |
WiFi | 11a/b/g/n/ac準拠 |
Bluetooth | 4.2 |
ポート類 | USB Type-C(Thunderbolt 3対応、PD対応)、USB-A 3.0 x 3個、VGA、HDMI、有線LAN、nanoSIM カードスロット |
バッテリー容量 | 38150mWh(新品時) |
光学ドライブ | 未搭載 |
キーボード | キーピッチ 19 x 15.2mm、、バックライトなし |
サイズ | 幅273 mm × 奥行き209.2 mm × 高さ18.7 mm、約949g |
OS | Windows 11 (新品販売時はWindows 10) |
その他 | 顔認証対応、指紋認証を搭載するモデルもあり |
Let’s note、12インチ お手頃価格の中古 5製品。スペック比較と実機の使用感、特におすすめの製品
▲▼12インチクラスの Let’s noteの中古は、上の記事にてスペック比較していますが、「CF-QV8」の特徴を補足します。
- マルチドライブを未搭載でもあり、CF-SZ5 / SZ6 / SV7の厚み 25mm前後に対して、CF-QV8は 18.7mmと かなり抑えられています。
- 顔認証、指紋認証の双方に対応しています。
- キーピッチ 19 x 15.2mmと、上記の3製品(19 x 16mm)以上に縦は短め。ただし、実際のタイピングに影響はなく、私にとっては CF-QV8も快適にタイピングできています。
- Thunderbolt 3対応のUSB Type-Cを搭載しています。USB Type-C経由での給電・充電のほか、PD 対応モニターでのケーブル1本での給電と映像出力、外付けグラボを接続することもできます。
▼上記の外付けグラボの接続事例はこちら。
Let’s noteにGPU ボックス経由の外付けグラボを接続し難なく認識。使用した機器と接続手順
実機のシステム情報
実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」より。CPUは、インテル 第8世代のCore i5-8365U、メモリはオンボードの8GB、OSはWindows 11 Pro
▼推奨の拡大率は250%ですが、やや大きいため、225%で使用しています。
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
▲▼上の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出のシステムの概要。クリックにて拡大できます。
▼上の概要からCPUの情報を拡大。Core i5-8365Uは、4コア8スレッド、14nm プロセス、TDPは15W
▼メモリとGPUの情報です。メモリはLPDDR3 オンボードの8GB
▼12インチ アスペクト比 3 : 2の液晶の型番は「G120YAT01.0DN9BCNK3Z3ZZ」。ググってみたところ、ごく少数がヒットするのみで具体的な情報はありません。なお、以下のモニター名にAUO製とあります。
▼SSDは SATA 接続の「SAMSUNG MZNLH256HAJD-00007」
▲▼以下の記事にて掲載していますが、PCIe SSDSに換装することができます。
▼バッテリーは、設計容量 38150mWhに対して、現在の完全充電容量は 18170mWhの劣化度 53.4%。サイクル数 146としては劣化が大きいようですが、1万円台前半のジャンク品としては、わるくはないです。
なお、バッテリーの型番は「CF-VZSU1M」です。
▲▼純正バッテリーは、楽天市場にて ヤマダ電機などの量販店から 2万円台半ばで販売されています(2024年8月19日現在)。高価であるうえに、納期は 2~3カ月とあります。
外観
液晶とキーボードは後の段落に記載していますので、それ以外について記載します。液晶ジャンクの中古での購入ですが、拡大写真では 目視ではわからなかった傷などが多数あり、中古としての傷の程度の情報もあわせて掲載しています。一方、キーボード面は、キーのテカリはあるものの、比較的 綺麗な状態です。
▼左サイドのポート類は左から、電源、HDMI、Thunderbolt 3対応 USB Type-C、USB-A 3.0、D-Sub、ヘッドホンジャック
▲▼目視では それほどわからなかったのですが、拡大撮影では塗装の剥げや小傷が多いです。Let’s noteの中古は、これで5製品目ですが、営業の外出先での使用が多い法人利用(勤務先の渋谷区某所でも多数見かけます)が多いこともあり、小傷複数の製品が多いです(Let’s noteは頑丈さをアピールする割には、塗装や筐体が脆いイメージです)。
▼私の好みの角度より。
▼右サイドのポート類は左から、USB-A 3.0 x 2個、SD カードスロット、ケンジントンロック
▲ディスプレイの枠と液晶の継ぎ目の作りが、やや粗いように感じます。
▼ヒンジ側には大きな通風孔があり、こちらから内部の熱が排出されます。
▲ボンネット構造の厚みは、CF-SZ5 / SZ6 / XZ6などと比較すると 抑えられています。
▼シルバーの塗装のため、少し離れると識別しにくいですが、天板には小傷が複数あり、また、1箇所に凹みがあります(写真ではわかりません)。
▼底板の全体像です。筐体の欠けはないものの、天板よりも小傷は多いです。
▲▼内部の構成、SSDの換装プロセスは、以下の記事にて掲載しています。
液晶
以下の記事に掲載のとおり、液晶がジャンクの中古を1万円台前半で購入しましたが、黒を背景とした場合には液晶は縦のラインが入り、Web サイトなどでの文字は、15インチクラスでSD画質での表示のような 文字のドットが目立つもの。
液晶交換後の使用感などは以下です。なお、交換した液晶は、純正のものです。
- 明るさとしては僅かに暗く、あと10%程度でも明るいとよいと思います。私は明るさ調整を最大にして使用していますが、最大で程よい明るさです。
- タッチパネル・光沢のため、周囲のものの映り込みは大きいです。
- 色合いは 寒色・暖色に寄らず 中間的なもの。色味にクセ・偏りはありません。
- 写真などの表示の色合いは良好。自然な色合いでの表示です。色域を計測している機器を所有していませんが、おそらく広色域の液晶と思われます。
- 2.8Kの高解像度の液晶ですので、文字のドットは一切 目につきません。スマホと同水準のクリアな表示です。
- 全般的に、もう少し明るいと 以下の記事などで記載の MacBook 12インチと同品質の液晶との認識です。
M1 MacBook Air vs MacBook 12インチ、今さらながらの外観比較
▼MacBookと同じ、アスペクト比 3 : 2の縦長の液晶は、記事の編集やWeb サイトのブラウジングで重宝します。手元にある M1 MacBook Airや MacBook 12インチと同程度ですが、上下左右のベゼル幅は やや太いです。
▼フラットにしても色合いの変化は大きくなく、視野角は良好です。
▼当サイトのトップページを表示。写真などの表示も自然な色合いであり、違和感はありません。
キーボード
キーボードのキーピッチは19 x 15.2mmと、12インチクラスの「CF-SV7」や「CF-XZ6」と比較すると(こららのキーピッチは 19 x 16mm)、縦がさらに短いものの、これらのPCよりもストロークが深いことと相まって、確実にタイピングできています。
12インチ 第8世代のCPUを搭載する中古PCとしては、以下の「ThinkPad X280」のキーボードもよいものですが、リズミカルで軽快なタイピングでは、本製品が優れています(個人的な好みもあります)。
ThinkPad X280 実機レビュー、モバイル用途・サブ機として十分な実力だが、IPSパネルは必須
▼使用感は以下です。
- CF-SZ5 / SZ6 / SV7 / XZ6のキーストロークよりも深く、より確実な打鍵感があります。
- 確実な打鍵感がありつつも 硬さが抑えられており、リズミカルな高速タイピングが可能。
- 前述のThinkPad X280と比較すると、キーストロークは浅く、それほど力も必要なく、より快適にタイピングできている感覚です。
- キーピッチは19 x 15.2mmと縦に短いのですが、短いことによる影響はありません。
- 以下のキーボードの交換記事を参照すると、キーボードは合計71本のネジで取り付けられており、この恩恵か、しっかりとした打鍵感があります。
Let’s Note(レッツノート) CF-QVのキーボード交換
▼横幅いっぱいに広がるキーボード。これが今でも色褪せないデザインの良さに繋がっているように思います。
▼他のLet’s noteと同様に、リーフ型のキーです。「CF-SZ5」「CF-SV7」などの他の12インチクラスのLet’s noteと異なり(キーピッチ 19 x 16mm)、キーピッチは19 x 15.2mmと縦が短いのですが、タイピングへの影響はありません。
▲キー中央に向けての窪みはなく フラットです。
ベンチマークスコア
実機で計測の、Core i5-8365Uを搭載する本製品のベンチマークスコアを掲載します。インテル 第8世代のCPUでもあり、軽めのベンチマークソフトでの計測にとどめています。
なお、インテル 第8世代 モバイル向けのCore i5は、割安なミニPCなどで多く搭載される Alder Lake N100と同程度のベンチマークスコアと体感レスポンスです。これを踏まえ、比較対象は、以下のCore i5-8350を搭載する「Let’s note CF-SV7」、N100を搭載するミニPCとしています。
Let’s note CF-SV7 レビュー、実機の使用感。中古 1万円台でCore i5-8350U、Thunderbolt 3搭載でお買い得
SkyBarium T-BOX Pro、N100搭載 ミニPC レビュー。73mm幅 超小型の筐体に Alt モードのUSB-Cを装備
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1004、マルチコア 3191」となり、2つめのCore i5-8350U、3つめのAlder Lake N100(以降のベンチスコアのスクショもこの順番)と概ね同水準と言えそうです。
N100を搭載するミニPCは、2万円前後から購入できますが、この意味では やはり N100はコスパに優れています。
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 1301、マルチコア 3043」。Core i5-8350U、Alder Lake N100よりも やや高いスコアです。
なお、Geekbench 5と6では、評価項目やスコア判定のベースとなるPCのスペックが異なり、Geekbench 6は5よりも高いスコアとなります。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1021、マルチコア 2901」。Core i5-8350U、Alder Lake N100よりも やや高いスコアです。ただし、この程度の差では、体感レスポンスへの影響はありません。
CrystalDiskMark
SSDは SATA接続の「SAMSUNG MZNLH256HAJD」。2280サイズのM.2 SSDです。CrystalDiskMarkで計測の読み書きは「Read 552MB/s、Write 515MB/s」と、SATA 接続としては、標準的な速度です。
体感レスポンス
ベンチマークスコア・体感レスポンスともに、Alder Lake N100と同水準となり、Web サイトのブラウジング、動画視聴、ExcelやAccessなどの在宅勤務においては、遅さを感じることなく動作します。
- 上記の用途において、Core i7-13600P、Ryzen 7 7840HSなどの上位機と比較した場合、ソフトの切替や、Web サイトのブラウジングなどにおいて、多少 キビキビ感に欠けると感じる程度。遅さを感じることなく動作します。
- Alder Lake N100と同水準ですが、N100は静音性に優れていますので、静音による作業の効率化を含めると N100が優れています。
- ただし、Core i5-8365Uは 2018~2019年当時のハイエンド寄りのPCに搭載されていますので、CF-QV8も含めて、ポート類などの機能面も含めると、この世代の中古もよい選択です。
サウンド
Amazon MusicとYouTubeの音楽を視聴する範囲での、音質と音量について記載します。Let’s noteは全般的に音質がよくないのですが、本製品も音質・音量ともに、ノートPCとしては平均以下。個人的な感覚では、10点満点で3.5~4あたりです。
- 音量は小さめとなり、PCの前にて、Amazon Musicでは PCの音量調整バーを4割ぐらいにすると程よい感覚。
- 低音の迫力に乏しく、低価格のAndroid スマホで聞いているような、シャカシャカとした高音が響くような音質です。
指紋認証、顔認証
指紋認証と顔認証の双方に対応しています。直近のThinkPadなどと比較すると、顔認証の速度はワンテンポ 遅れるような感覚ですが、精度はわるくありません。一方の指紋認証は、タッチする面積がやや小さく、また、深さがあるために ややタッチしづらいのですが、こちらも適切に認証できています。
CPU温度、ファン音量
CPU温度とファン音量について記載します。以下は、フリーソフト「HWiNFO」で計測の、「CINEBENCH R23」にて負荷をかけた際のCPU温度です。CPU温度が100℃に達し、サーマルスロットリングが発動するノートPCも散見されるなか、最大 80℃台に留まっています。
▼以下の画像は、iPhone アプリ「デジベル X」にて計測の、通常時のファン音量(上)と、「CINEBENCH R23」にて負荷をかけた際のファン音量です。
通常時の平均は約32GBと無音レベルではありませんが、Core i5-8365U / 8350U クラスの他のPCよりも静かな部類です。負荷をかけた際の平均は約38dBと許容範囲(45dBを超えると喧しく感じます)。
まとめ
以下の記事にて、中古で販売の12インチ Let’s note 5製品のスペックを比較しています。このなか、「CF-QV8」は後発の製品となり、5製品のなかでは割高です。ただし、薄さ、キーボードの打鍵感など、お気に入りのLet’s noteの一つです。
残念ながら、フリマの製品情報に記載の「ジャンクな液晶」の程度が想像以上でしたが、出来のよい本体を活かすべき、交換用の液晶を注文済み(1万円台半ば)。液晶交換後に追記します。
Let’s note、12インチ お手頃価格の中古 5製品。スペック比較と実機の使用感、特におすすめの製品
▼楽天市場とAmazonでは かなりの価格差があります。ただし、楽天市場のリンク先でのレビューを参照すると、バッテリーが 著しく劣化とのコメントがあり、注意が必要です。
▼こちらは価格も含めておすすめの「CF-SV7」。程度のよい中古が1万円台で販売されている事例もあります。
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