今回レビューする製品は、XIDU社のプロジェクター「PhilBeam S1」。同社は古くから海外通販サイト・欧米をメインに高品質なPCを展開しており、最近ではプロジェクターに重きを置いています。本製品の特徴は、550ANSI ルーメン / 12000ルーメンと明るく、WiFiとBluetoothに対応、さらには 10W x 2のステレオスピーカーを搭載していること。Bluetooth イヤホンやスピーカー、あるいは内蔵のスピーカーと環境にあわせて、音声を犠牲にせずに楽しむことができます。
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製品の特徴
製品の特徴については、Amazon サイトよりも AliExpressのXIDU Storeが詳細に記載しているため、Amazonサイトに加えて、AliExpressからも引用しました。なお、AliExpressでは、Andorid 9.0 / 2GB RAM / 16GB eMMCを搭載するモデル(プロジェクターとTV Boxが一体化したような製品)も販売されています。
▼Amazonの製品紹介から抜粋の特徴は以下です(実機レビュー前の、製品紹介に記載の事項です)。なお、大きな特徴となる事項に黄色網掛けしています。
- 明るさ 550ANSI ルーメン、コントラスト比 13000:1となり、「昼間でもはっきり見える」とあります。
- 有線接続(HDMI / USB)とWiFi 接続の双方に対応し、スマホやPCからミラーリングが可能。
- 水平 / 垂直の50°の台形補正に対応し、プラスマイナス 50%のズーム機能あり。
- 三脚、天吊り取付の双方に対応。
- Bluetooth 5.0を装備し、お手持ちのBleutooth イヤホン・スピーカーに接続可能。
- 10W x 2のスピーカーを内蔵
- 製品のサイズは 22.6 x 21.4 x 11.6cm、重さ 3.56kg
▼説明書からの引用ですが、本体との接続できる機器の事例は以下、いわゆる全部入りです。
- Bluetoothでの連携による マウス・イヤホン・スピーカー
- HDMIによる Fire TV Stick、Windows PC、Mac、XBOX、PS5、Switch
- USB マルチメディア
- AirPlayによる iOS 機器
- Miracastによる Android 機器
▼550ANSI ルーメン / 12000ルーメンと明るく、「昼間でも楽しめる高輝度」とあります。
▼一見してレンズの構造と勘違いしたのですが、スピーカーです。設計の段階から、ファンノイズに打ち消されることのない、高音質のスピーカーを構想していたようです。
▼プロジェクターで懸念されるのは熱・冷却対応とファンの音量ですが、2つのファンを装備しており、また、ファンの音量も抑えていると(他の画像に)記載されています。
▼映像入力として、一般的なHDMI / USB / AV inのほか、WiFiを利用しての PC・スマホからのミラーリングにも対応しています。
開封・付属品、外観
続いて、開封・付属品、外観について記載します。全般的にわるくはない質感ですが、個体差によるものか、背面の一部に波打ち、操作ボタンのガタつきがありました。
開封、付属品
▼XIDUのプロジェクターとしては ハイエンドとなり、外箱はブラックにゴールドのロゴとプレミアム感を醸し出しています。
▼サイズ感がわかるよう、550mlのペットボトルを置いて撮影しました。厚みのあるクッション材で保護されており、本体よりもかなり大きな外箱です。
▼厚くしっかりした保護材の下に収められています。
▼四辺の保護材も厚く輸送中のガタつきなどの懸念はないのですが、保護材の硬さと製品の高さから取り出しにくいです。
▼ハード面での付属品は、ミニプラグ、HDMI ケーブル、三極の電源ケーブル、リモコン。なお、本体にもレンズキャップは装着されていません。埃などの付着を考慮すると レンズキャップが付属しているとよかったのですが。
▼プロジェクターを複数所有していると、赤の電源ボタンなど 同じデザインのリモコンが多く どの製品のリモコンかわかりづらいのですが、本製品の場合にはブラック一色で他のリモコンと識別しやすいです。
▼リモコンは単三乾電池 2本(付属していません)での動作です。スライドして開く裏蓋は硬くもなく、程よいもの。
▼Thank you カード(購入いただいて ありがとう、との文言)と説明書。説明書は 6カ国語構成・カラーの立派なもの。日本語は 9ページ分となり、基本操作や各種機器との接続方法が網羅されています。
外観
グレーとブラウンの2色展開ですが、今回購入したのはグレーです。一見してスチール製にも見えますが、素材は樹脂(金属では重くなることもあり、一般的には樹脂製)。作り込みはわるくないのですが、前述のとおり 気になったのが以下の2点です。
- 前述のとおり、レンズキャップが付属していないこと。
- 再生、早送りなどのボタンの一部にガタつきがあること。ただし、一般的にはリモコンを多用するために影響はありません。
▼色がブラウンの場合には、前面のパネルはブラックですが、グレイの場合は外枠と同じ色で統一感があります。
▼サイズ感の確認用に 550mlのペットボトルを置いて撮影。他の一般的なプロジェクターと比較すると、横幅・縦幅は同水準ですが、スピーカーと2つのファンによるものか、高さがあります。
▼エッジのラウンドの処理も わるくはありません。
▼レンズ部分を拡大。HD 1920 x 1080と解像度の記載があります。
▼内部のファンを通じ、左サイドから熱を排出します。他の製品も同様ですが、それなりの熱風が排出されます。
▼右サイドにはフォーカス用のダイヤルがあります。
▼個体差のために嵌め込みがよくないのか、上部が波打っています。このためか、再生などのボタンの押し込み感がキーにより異なります。
▼下部のポート類は、左から リモコンの赤外線受光部、電源、USB-A x 2、イヤホンジャック、HDMIポート。前述のとおり、上の右側が歪んでおり、嵌め込みがよくないのだろうと思われます。
▼底面より。4つのゴム足、中央に三脚取付用のネジ穴があります。他の一般的なプロジェクターも同様ですが、重さがあるために しっかりとした三脚・プロジェクター用の板、頑丈な天吊り器具が必要です。
設定画面、機器の接続
一部となりますが設定画面の構成と、WiFiの設定、iPhoneのミラーリング、Bluetooth 機械とのペアリングについて記載します。
設定画面は日本語を設定でき、各種設定のレスポンスは想像以上に速いです。レスポンスを例えると、Fire TV stick 4K Maxの各種設定と大きく変わらず、設定事項によっては、4K Maxよりも快適なこともあります。
ただし、電源を外し 1日ほど使用しないでいると設定事項が初期化され、あらためて日本語の言語設定、WiFi設定を行うことに。再発するか否か、現在確認中です。
設定画面
言語選択画面の掲載は割愛しましたが、前述のとおり日本語に設定することができます。上の画像のとおり、左に音声、Bluetooth、AV、HDMIの接続と入力ソース、右上にiPhone (AirPlay)、Android (Miracast)のミラーリング、その下にUSB ソース選択の画面が並んでいます。
以降の操作も含めて、リモコン操作でのレスポンスは速く快適です。また、投影の画像が明るいため、リモコンのボタン類の視認性もよいです。
▼こにらは上の画像右上の設定アイコンで遷移する画面です。WiFiとBluntooth、台形補正などの投影設定の項目があります。
▼台形補正の画面です。本体ダイヤルでの設定ではなく、設定メニューから変更します。水平 / 垂直の50°の台形補正に対応しているため、設定位置さえ適切であれば 余程のことがない限り補正できると思います。ちなみに、私は高さのある三脚を所有していない、置き場を見直し中なこともあり、掲載の画像は中途半端な台形補正となっています。
WiFi、Bluetooth 機器のペアリング
▼こちらはWiFiの設定画面。ソフトキーボードでのID設定に煩わしさもありますが(試していませんが、キーボードのBluetooth 接続もできそうです)、WiFiはスマホやPCと同様の速度で認識します。
▼こちらはBluetoothのペアリング画面。Bluetooth 機器によるかと思いますが、Bluetooth イヤホンとヘッドホンは即認識し、WiFiの設定と同様に簡単です。
iPhoneのミラーリング
2,3年前に購入のプロジェクターでのiPhoneのミラーリング設定では もどかしさもありましたが(製品によります)、当製品ではミラーリング設定も簡単に、時間をかけずに行うことができます。なお、ミラーリングを行うにあたり、機器が同一のWiF 環境下にえることを前提とします。
▼iOSとmacOSのミラーリング手順は、設定画面で表示となります。プロジェクターとiPhone / iPad / Macが同一WiFi 環境にある前提で、コントロールパネルのミラーリング欄に表示のプロジェクター名(設定画面の左下に表示)を押下するのみの簡単設定です。YouTube など、AirPlay アイコンの押下でスムーズに視聴することができます。
Fire TV Stickの投射事例、明るさなど
多くの方が Fire TV Stickを接続しての、映画・ドラマ・YouTubeなどの視聴に利用するものと思います。私も毎晩のように、テレビでFire TV Stickを楽しんでいますので、Fire TV Stcikの投射を事例として掲載します。
なお、これまでの投影画像も同じですが、白の壁紙を背景に投射した画像であり、また、台形補正もしっかりと行う前の画像です。実際には、より明るく、特に黒を背景した映像は、掲載の画像よりクリアに見えます。
なお、昼間の投影では、一万円前後の他製品よりも実用的ですが、動画などの視聴に耐え切れるかと言えば、やはり厳しいです。ただし、各種設定では昼間に消灯しての対応も可能です。
▼Fire TV Stickのトップ画面。画像は記事掲載用に圧縮していますが、実際の映像は写真より明るく鮮やかです。
▼こちらはNetflix。黒を背景としている場合には、より引き締まって見えます。
体感レスポンス
Amazonの製品紹介では、それほど強調されていない特徴として、前述のとおりレスポンスのよさがあります。
スマホやPC並みのレスポンスではないにせよ、Fire TV Stick 4K Maxの設定画面、各種設定での動きと大差ないレスポンスです。
▼以下の全般において、レスポンスはよく、手元にあるプロジェクターとの価格差、発売時期の相違もありますが、想像以上に快適な操作感です。
- ホーム画面、各種設定画面の遷移
- WiFi 設定
- Bluetooth 機器のペアリング
- iPhoneのミラーリング
また、リモコン操作にあたり、プロジェクター本体の赤外線受光部は後側にあるのですが、一般的には本体よりも前に座り、リモコンを操作することになります。この点で、私はプロジェクターのリモコンの効きが気になるのですが、心配無用でした。プロジェクターの前から操作しても しっかりと快適に反応します。
スピーカーの音質
一般的なプロジェクターはシングルスピーカーであることが多いのですが、本製品は10W x 2のスピーカーを搭載していることが特徴です。音量としてはファン音を十分に打ち消すほど。音質としては以下となります。
- 低音重視のしっかりとした音質で、音量も大きいため、ファン音で動画のセリフが聞き取れないような現象はありません。
- また、プロジェクターの場合には、スピーカーの音量と音質から、外部スピーカーを接続したくなりますが、本製品の場合には内蔵のスピーカーで十分。
- ただし、低音重視のために、中高音の響き・クリアさが不足気味。YouTubeの音楽も視聴してみましたが、シングルスピーカーのように、こもりがちな音質でもあります。
ファン音
静音であることを特徴の一つとする本製品。確かに手元にあるプロジェクター 4台(一般的なサイズの、数千円から2万円前後の製品)よりも静かです。
以下の画像のとおり、iPhone アプリ「騒音測定器」での簡易的な騒音測定では 40dB台前半。画像にある「通常の室内の会話」ほどに静かではないのですが、私としては許容範囲の音量です。
ただし、初めてのプロジェクターが本製品の場合には静音とは感じない、それなりのファン音となり、夜中に隣の部屋で家族が就寝中の場合には、気を遣ってしまいそうな音量。
まとめ
背面上部の波打ちについては個体差かと思いますので、その部分はさておき、手元にあるプロジェクター 4台(数千円から1万円台の製品)と比較すると、明るさとスピーカーの音量・低音の音質が特徴となる製品です。
Amazonの製品紹介には強調されていませんが、私が大きなメリットと感じたのは、iPhoneのミラーリングやBluetooth 機器のペアリングも含めたレスポンスのよさ。設定画面での画面遷移・各種設定もあわせて軽快に動作します。
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