参考、同一筐体 他モデルの内部の構成
「UN305」は底板を開きにくく、また、2.5インチ SSD / HDDの増設、M.2 SSDの換装にはマザーボードを取り外す必要があるため、以下の掲載の同一筐体の「X35G」の、内部のごく一部の写真を再掲載します。
なお、「X35G」は M.2 SSD ポートを2つ装備していること(「UN305」は一つのみ)も含め、仕様が異なります。このため、参考情報としての掲載です。
ミニPC MINSFORUM X35Gに2.5インチ SSDとM.2 SATA SSDを増設。PCIe SSDとのトリプル構成に
▼ゴム足を外して露出するネジを4本外すと、底板を外すことができます。
▼おそらく、「UN305」もヒートシンクとCPUファンは同じかと思います。2.5インチ SATA ポート、M.2 SSDポートともに、マザーボードの裏にあります。2.5インチ HDD / SSDは天板裏に取り付ける仕様です。
▼マザーボードを取り外し、2.5インチ SSDを増設しました。
ベンチマークスコア
続いて、実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。Alder Lake N100との比較は以下の記事で掲載していますので、ここでは主に、第8世代 モバイル向けのCore i5-8259Uを搭載の「MINISFORUM U820」と、同じボディを採用し Core i3-1005G1を搭載の「MINISFORUM X35G」との比較を掲載しました。
▼N305 / N100の比較記事です。
Alder Lake-N N305、PC実機で計測のベンチマークスコア、N100とのスコア比較
▼比較対象機はこちら。
MINISFORUM U820 実機レビュー、Core i5-8259U / PCIe SSDの快速仕様に 2.5インチ SSD 2基を簡単に増設可能。静音でバランスのよいミニPC
MINISFORUM X35G 実機レビュー、Core i3-1005G1に高品質ボディと静音性で人気となる予感。Amazonでも販売に
Geekbench 5
N305のGeekbench 5のスコアは「シングルコア 1055、マルチコア 5064」。中央のCore i5-8259Uとの比較では、シングルコア・マルチコアともに高いスコア、3つめのCore i3 1005G1との比較では、シングルコアは及ばずも、マルチコアは大きな差をつけ高いスコアです。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
▲▼下表は上の記事で掲載のGeekbench 5のスコアについて、比較対象となりそうな主だったCPUのスコアを抜粋しています。N305はマルチコアのスコアが高いことが際立ちます。
CPU | コード名 | コア/スレッド | Single Core | Multi Core | レビュー記事 |
Core i3-1005G1 | Ice Lake | 2/4 | 1129 | 2594 | CHUWI CoreBox Pro |
Core i3-1005G1 | Ice Lake | 2/4 | 1150 | 2568 | MINISFORUM X35G |
AMD Ryzen 5 4500U | 6/6 | 1121 | 4898 | MINISFORUM UM450 | |
Core i7-8565U | Kaby Lake | 4/8 | 1056 | 2765 | NVISEN ミニPC |
Alder Lake-N N305 | Alder Lake | 8/8 | 1055 | 5065 | MINSFORUM UN305 |
Core i5-8259U | Kaby Lake | 4/8 | 1004 | 3862 | MINISFORUM U820 |
Alder Lake-N N100 | Alder Lake | 4/4 | 998 | 2904 | Beelink EQ12 |
Core i3-10110U | Comet Lake | 2/4 | 976 | 2000 | ※CHUWI CoreBook X |
Core i5- 8279U | Cofee Lake | 4/8 | 946 | 3156 | Beelink SEi 8 |
Alder Lake-N N95 | Alder Lake | 4/4 | 921 | 2272 | Beelink Mini S12 |
Core i3-8130U | Kaby Lake | 2/4 | 864 | 1710 | ThinkPad X280 |
Geekbench 6
▼N305のGeekbench 6のスコアは「シングルコア 1263、マルチコア 4543」。Geekbench 6は、4月に5から切り替わったこともあり、ここでは2つめのN100との比較です。やはり、マルチコアのスコアが高いです。
CINEBENCH R23
「CINEBENCH R23」のスコアは「シングルコア 968、マルチコア 4785」。2つめの画像のCore i5-8259Uが「シングルコア 1001、マルチコア 3782」ですので、ここでもマルチコアのスコアの高さが際立ちます。
ドラクエベンチマーク
N305の、1920 x 1080 FHD 解像度での「ドラクエベンチマーク」のスコアは「普通、3450」
▼1280 x 720 HD画質での、N305のスコア(画像上)と、Core i5-8259U(画像下)のスコアです。CPU ベンチマークのシングルコアでは 同水準、マルチコアではN305が優位ですが、軽めのゲーミング ベンチマークでは、大きな差をつけ Core i5-8259Uが高いスコアです。
CrystalDiskMark
KINGSTONEのSATA SSDの速度は、Read / Writeともに500MB/s超え(SATAとしては一般的)。PCIe SSDだとよかったのですが、このクラスのミニPCでは、PCIe SSDを搭載する場合も 、コスト・発熱・Alder Lakeでの仕様の関係から、それほど高速なPCIe SSDを搭載できません。
2000MB/s前後のPCIe SSDと本製品のSATA SSDでは、Windowsの起動・終了など、大きく体感できるものではなく、PCIe SSDに未対応であることは、大きな課題とはならないとも思います。
体感レスポンス
私はゲームや動画編集など、高いパフォーマンスを要する使い方をそれほど行わないため、Geekbench 5のシングルコアのスコアが 900以上ともなると、その体感レスポンスは同じようなコメントとなることをご了承ください。
- 画像編集、記事の編集、データ量が比較的多いオフィスソフトにおいても、キビキビと動作します。
- 上記の使い方では、M1 Mac、Itel Core シリーズ、AMD Ryzenを搭載する上位機と比較しても遜色ないレスポンスです。
- N100を搭載するPCとの比較では、同程度にサクサクと動作します。この意味では、レスポンス面では N100のコスパがより優れていると言えます。
- ストレージはPCIeではなく SATAですが、Windowsの起動・終了、大容量アプリのインストールとも、速度 2,000MB/s前後のPCIe SSDと体感できるほどの相違はありません。
USB Type-C Alt / PDの確認
上の写真は、PD対応の以下の40インチモニターのUSB Type-C ケーブルを「UN305」に接続しているもの。「UN305」のUSB Type-Cは Alt モード / PDに対応しており、モニターが出力 45W以上のPDに対応している場合、ケーブル1本で UN305に給電しつつの映像出力に対応しています。
ケーブル 1本で運用できるため、かなり便利に運用できます。MINISFORUMのミニPCでは、以下の「MC560」や「UM560」など、ミドルレンジ以降のPCにて Type-C Alt / PCに対応している事例が多く、他社のミニPCも含めて、Alder Lake-NのPCで対応しているのは貴重です。
MINISFORUM MC560 実機レビュー、USB PD / Alt対応、Web Cam / スピーカー内蔵で利便性抜群、Ryzen 5 5625U搭載でキビキビ動作
MINISFORUM UM560、AMD Ryzen 5 5625U搭載のミニPCが販売に。GaN 電源アダプター、縦置きスタンドも付属
なお、私が使用しているモニターは以下の製品です。
innocn 40インチ ウルトラワイドモニター 実機レビュー。明るさ、Macの色合いとの相性も抜群、M1 MacBookに給電しつつのType-C 映像出力も可能
発熱、CPUファンの音量
これまで、Alder Lake-N N95 / N100のミニPCは、以下の3製品をレビューしています。
Beelink Mini S12 実機レビュー、Alder Lake N95 / PCIe SSD搭載でキビキビ動作、Jasper Lake 搭載PCよりも高コスパ
実機レビュー、Alder Lake N95搭載 ミニPC「NVISEN AU01」。標準装備のM.2 SSDに加え、PCIe SSDを増設可能、快速・静音なミニPC
UN305のCPUファンの音量を、上記3製品と比較した場合、3製品がほぼ無音に近いのに対して、UN305はそれほど気にならない程度のファン音となることがあります。
一方、CPU温度はやや高めです。Web サイトのブラウジングやWordなどの軽作業では、高くても70℃台での推移ですが、ベンチマークで負荷をかけた場合には、以下の画像(前述のフリーソフト「HWiNFO」の画面)のとおり、CPUのパフォーマンスを落とし CPU温度を抑制すべく、サーマルスロットリングが機能することもあります。
まとめ
第8世代 モバイル向けのCore i5-8259U、あるいはCore i7-8565U以上の実力となる Alder Lake-N N305を搭載する「MINISFORUM UN305」のレビュー記事でした。
パフォーマンスもさることながら、質感の高い金属製ボディに、Alt モード / PD対応のUSB Type-Cポートを備えることから、後発のAlder Lake-N搭載のミニPCが追い付けないほどの製品のように思います。
ただし、ストレージはSATA接続であること、2.5インチのSSD / HDDの増設、M.2 SSDの換装を行う場合には、マザーボードを取り外す必要があることに留意ください。
▼2024年1月3日現在では、公式ストアのラインナップから消滅していますが、Amazonでは メモリ 8GB / SSD 128GBモデルが販売されています。
参考情報
ミニPCにて使って便利な周辺機器は、以下の記事で掲載しています。狭いスペースでの使用なら 16インチ アスペクト比 3 : 2のポータブルモニター、サブPCとしての使用ならUSB 切替器がおすすめです。