今回レビューする製品は、CPUにHelio G99を搭載する 11.5インチのAndroid タブレット「Lenovo Tab Plus」です。物理メモリ 8GB / UFS 2.2 ストレージ 256GBは、他のHelio G99 タブレットと同水準ですが、8個のJBL スピーカーとキックスタンドを装備しています。
さらには、「Bluetooth スピーカーモード」を搭載し、スマホなどの外部スピーカーとして JBL スピーカーを活かすことができます。
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今回のレビューは、Lenovoさんからお借りした端末に基づいており、掲載の仕様や価格は 2024年10月14日現在のものです。
Lenovo Tab Plusのスペック
製品の概要については以下の記事にて掲載していますが、あらためてスペックの掲載です。
Lenovo Tab Plus、JBLスピーカーを8個搭載の Helio G99 11.5型 Android 14タブレット。キックスタンドも装備で音楽重視
CPU | Helio G99、8コア |
GPU | Mali-G58 MC2 |
メモリ | 8GB LPDDR4X |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 11.5インチ、解像度 2000 x 1200 |
WiFi | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth / GPS | Bluetooth 5.2 |
LTE | 未対応 |
カメラ | フロント 8百万画素、リア 8百万画素 |
バッテリー容量 | 8600mAh、45Wの急速充電に対応 |
サイズ | 約 268.3×174.3×7.8~13.6mm、650g |
OS | Android 14 |
その他 | JBLスピーカー(ドルビーアトモス対応) × 8個、キックスタンドをビルトイン、IP52相当の防滴防塵、Bluetooh スピーカーモードを搭載 |
▼最大の特徴となる 8個のJBL スピーカーは「マトリックス ツイーター 4基 + フォース バランスド ベース システム 4基」の構成です。実機・以下の画像を照らし合わせると、横持ちでのサイドの上部に前者、下部に後者を搭載しています。
▲▼ポート類の構成は以下です。スピーカーの配置とキックスタンドを装備していることから、横持ちでの使用を前提としています。
- OTG機能付きのUSB Type-C 2.0
- ボリュームボタン
- マイク
- microSD カードリーダー
- キックスタンド
- 電源ボタン
- マイク・ヘッドフォン コンボジャック
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼以降のシステム情報は、以下の記事にて紹介のアプリ「Device Info HW」から抽出したものです。基本情報のほか、センサーの搭載状況も確認することができます。
Android 端末のシステム情報抽出なら「Device Info HW」。無料アプリながらも広告なし、多くの情報を抽出可能
▼システムの概要です。下から2行目のとおり、物理メモリは8GB LPDDR4X、ストレージは最下段に記載のとおり UFSです。後述のベンチマークから判断すると、他の多くのHelio G99を搭載するタブレットと同様に、UFS 2.2です。
▼Helio G99は、CortexA76 2.2 GHz x 2、Cortex-A55 2 GHz x 6の構成です。GPUは Mali-G57 MC2
▼液晶は11.5インチ、解像度 2000 x 1200、リフレッシュレートは 60Hz / 90 Hzで調整可能です(最下段のModesを参照)。
▼物理メモリは 8GBと十分な搭載量です。
▼バッテリー容量は、仕様どおりの8600mAh。ごく稀にですが、他社製品の事例では 公開の仕様と実機のバッテリー容量が異なっていることもあります。
▼センサーの搭載状況です。左に小さくグリーンとレッドのマークがありますが、グリーンのセンサーを搭載、レッドは未搭載を示しています。搭載しているセンサーは、加速度計・光センサー・ジャイロスコープの3種類です。
Widevine L1 対応
Amazonなどで販売のタブレットの場合、動画配信サイトの動画を高画質再生可能な「Widevine L1」に対応していることを アピールする製品が多いですが、本製品も当然のごとく 対応しています。
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▼Netflix アプリの「再生の仕様」です。「Widevine L1、最大再生解像度 FHD」と明記されています。
外観
開封、付属品、外観について記載しています。Helio G99を搭載するタブレットは、他社製品においても質感の高い製品が多いのですが、Lenovo Tab Plusは 塗装・キックスタンドの構成なども含めて、より一層 質感の高いもの。
▲▼下の写真のとおり、11.5インチの本体がピッタリ収まっているため、他社製品と比較するとコンパクトな外箱です。
▼8スピーカーにあわせてかと思いますが、45Wの高出力の電源アダプターです。プラグの折り畳みはできませんが、コンパクトなアダプターです。
▼保証書の撮影は割愛しましたが、左から カードスロット取り出し用のピン、安全・保証の手引き、クイックスタートガイドです。クイックスタートガイドは、各ポート・ボタンの説明など、基本事項のみが掲載されています。
▼左サイドのポート類・装備は左から、マイク・ヘッドフォン コンボジャック、スピーカーを挟んで電源ボタン。左側の上部が黒くなっていますが、クローム調の塗装であり 周囲の物が映りこんでいるためです。
▼左半分を拡大。大きな開口部は「フォース バランスド ベース システム 4基(両サイド合計)」です。
▲エッジの曲面は滑らかで作りの良さを感じます。
▼右半分を拡大。小さな開口部は「マトリックス ツイーター 4基(両サイド合計)」です。リアカメラは、一般的な形状。
▼右サイドは、スピーカー以外は USB Type-Cポートのみの装備です。
▼右半分を拡大
▼左半分を拡大。背面の組み込みの隙間を見ても粗さはなく、精度の高い筐体です。
▼キックスタンド側を拡大。滑らかな曲面で、高品質な筐体であることがわかります。なお、左右には設置時の傷つき防止として、小さなゴム足があります。
▼キックスタンド部分を拡大。写真は暗くなっており確認しづらいですが、キックスタンドを開くための窪みがあり、開きやすい構造になっています。
▼キックスタンドを開いた様子。無段階調整式ですが、良い意味で角度調整は硬く、設置時にスタンドが倒れることは まずありません。なお、背面・スタンドともに金属製です。
▼背面の全体像。スピーカー部分の厚みがあることからも、背面のみ見ると Android タブレットとは思えない質感です。また、シックな塗装と曲面の作りの良さからも、質感はかなり高いです。なお、Lenovoのロゴはシールではなく、しっかりと彫り込まれたもの。
▼カメラの形状がわかるよう拡大。
▼キックスタンドを開いての撮影です。キックスタンド部分は微妙に色が異なるのですが、気になるほどではありません。
▼キックスタンドの機構がわかるよう拡大。厚めのパーツでネジ止めされており、壊れるリスクも少ないように思います。
▼電源ボタン、音量調節ボタンとものボディと同色です。
▼スタンドを立てた様子。キックスタンドは小さなものながらも、厚めの金属であり、手元にあるSurface Goや ThinkPad X1 Tabletのキックスタンドより しっかりしているように感じます。
▲▼引用した「ThinkPad X1 Tablet」のレビュー記事はこちら。
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▼下の写真は、スタンドを175度の最大限開いた様子。試していませんが、スタンドに強度があるため、この角度でのソフトキーボードの使用も問題ないかと。
液晶
液晶の表示品質について記載します。全般的には、仕様上の輝度 400 nitには届かないように感じますが(他の製品との比較での目測)、明るく鮮やかな液晶で、色合いにクセもなく、万人受けしそうな液晶です。
- 仕様上は輝度 400 nitとありますが、感覚的には 400 nitにはやや届かないイメージです。ただし、一般的な明るさであり、十分です。
- 初期設定の色合いとしては、暖色(青白)・寒色(黄色)に寄らず、中間的な色合いです。人によっては、やや寒色と感じるとも思います。
- 前述のとおり、Netflixも含めて、動画配信サイトの動画を高画質(FHD)再生可能な「Widevine L1」に対応しています。実際に、Netflixを数時間 視聴しましたが、色合いも自然て、かなり綺麗な映像です。
▼標準の壁紙にて正面より。レッド・ブルーなどの色は鮮やかに表現されています。なお、他のタブレットと同様に、光沢パネルの映り込みが大きく、可能な限り映り込みが少ない角度での撮影です。
▼当サイトのトップページを表示しています。色合いとしては、寒色(青白)・暖色(黄色)に寄らず、中間的な色合いです。なお、ベゼル幅の実測を失念し製品をLenovoさんに返却しましたが、左右、上ともに、ベゼル幅は他製品よりも若干 狭いように感じます。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。なお、比較対象として、エントリーからミドルレンジクラスのタブレットで搭載事例の多い、以下のUNISOC T616のスコアも掲載しました(各ベンチスコアの2つめの画像)。
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▼AnTuTu ベンチマーク v10のスコアは 420,413。Helio G99のスコアは、製品に応じて 38万〜42万とバラツキがありますが、本製品は上位のスコアです。
▼Geekbench 6のスコアは「シングルコア 719、マルチコア 2019」。2つめの画像のUNISOC T616と比較すると、体感レスポンスに直結するシングルコアのスコアに大きな開きがあります。
Androidでストレージの速度計測なら「CPDT Benchmark」、メモリの速度も計測可能で、機種により大きな相違も
▲▼上の記事で紹介のアプリ「CPDT」で計測の、UFS 2.2 ストレージの読み書き速度です。Write 421MB/s、Read 524MB/sと、UFS 2.2としては一般的、PCでのSATA SSDと同水準(Writeはやや劣る)の速度が出ています。
体感レスポンス
私はスマホ・タブレット・PCともにゲームは行わず、Android タブレットでは、Web サイトのブラウジング・動画視聴・SNS/買物関連アプリのライトユースとなります。この範囲での体感レスポンスは以下です。
- 上記のライトユースでは、Helio G99 / AnTuTu ベンチスコア 約42万の端末で十分に快適です。遅さを感じることなく動作します。
- AnTuTu ベンチスコア 約152万のスマホ(POCO F6 Pro、Snapdragon 8 Gen 2)と比較すると、アプリの起動や切り替えなどで ワンテンポ遅れますが、上記の普段使いでは許容範囲の遅延です。
- UNISOC T606 / T616を搭載する下位のタブレットにおいては、スリープから復帰後の画面表示に多少の遅延がありますが、Helio G99の本製品は、その遅延も抑制されているイメージです。
Bluetooth スピーカーモードの設定
「Bluetooth スピーカーモード」を搭載し、スマホやパソコンからBluetooth 接続を行った場合、これらの端末の音声を「Tab Plus」のスピーカーから出力することができます。なお、音質については、後の「サウンド」の段落に記載しています。
▼本体のBluetoothを有効化すると、以下の「Bluetooth スピーカーモード」の説明が表示となります。私は「設定」画面にて使用方法を探していたのですが、Bluetooth 有効化で表示されるとは想定外でした。
▲▼ iPhoneからBluetooth 接続しましたが、上のiPhone / 下のTab Plusの設定画面ともに接続状況が表示されています。この状態で、iPhoneから音楽あるいは動画を再生すると、Tab Plusのスピーカーから音声が出力となります。
なお、iPhoneでの再生から、Tab Plusからの音声出力に遅延はありません。
サウンド
主として、Netflix、YouTube、Amazon Musicを視聴したなかでのコメントです。JBL 8スピーカーを搭載していますので、一般的なAndroid タブレットとは全く別物の音質です。音質をアピールするノートパソコンよりも、特に低音が高音質のように感じます。
一方、上述の「Bluetooth スピーカーモード」にて、iPhoneの音声を出力した場合には物足りない音質です。ただし、これは出力元に依存するとも思います。
- 低音の響きは、一般的なAndroid タブレットとは別物です。ある程度、音量を上げても(音量調節の8割ぐらい)、音のこもりは感じません。
- Netflixのドラマやアニメを視聴した場合、上記の低音の迫力とともに、セリフなども明瞭で聞き取りやすいもの。
- スマホにありがちな(私の好みではない)シャカシャカした音質ではなく、長時間の視聴による耳の疲れも抑制されているイメージです。
- 4スピーカーのAndroid タブレットを複数所有していますが、明確な相違を感じます。4スピーカーの端末は、音に多少の広がりがある程度ですが、Tab PlusのJBL 8スピーカーは、低音と中高音が程よくチューニングされている感覚です。
- 「Bluetooth スピーカーモード」での音声出力は、もちろん スマホよりも高音質であるものの、Tab Plusのアプリからの出力と比較すると、2スピーカーでの出力のようなイメージです。一般的な Android タブレットと同程度の音質であり、音量もやや小さくなります。
その他の使用感
その他の使用感について、ランダムに記載します。
- 縦持ちで使用した場合、スピーカー部分の厚みが、手持ちでの手にフィットします。
- 外観に記載漏れていましたが、グレイ調の色合いで油脂の付着は目立ちにくいものの、じっくり見ると ある程度の付着はあります。
- プレインストール、あるいは使用中に自動インストールとなるゲーム関連のアプリは、他のマイナーブランドの端末と比較すると多いです。
- 実際に計測したものではありませんが、スリープ時のバッテリー消費は多くなく、初期設定でよく制御できているようです。
まとめ
Helio G99を搭載する 11.5インチタブレット「Lenovo Tab Plus」の実機レビューでした。CPU、メモリ、ストレージの基本構成は、2万円台後半で販売のタブレットと同じであり、5万円台の本製品には割高感を抱いていましたが、使用してみて納得。
JBLの8スピーカーはタブレットとしては別格であり、所有するM1 MacBook Airや LenovoのPCのうち、スピーカーをアピールする製品よりも上質のように感じます。
また、背面やキックスタンドの作り込みもよく、音質重視の場合には特におすすめできる製品です。タブレットの出来が良いために、汎用のキーボードと組み合わせて PCライクに使いたくなってきます。
レビューした製品はこちら
2024年10月20日現在、Amazonのプライム感謝祭セールにて、39,770円で販売されています。
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