今回レビューする製品は、CPU(SoC)にSnapdragon 8 Gen3を搭載する 8.8インチのAndroid タブレット「Lenovo Legion Tab」です。
実機で計測のAnTuTu ベンチマークスコアは約207万。12GBの物理メモリ、256GB UFS 4.0の高速ストレージ、2.5K 解像度 / 輝度 500 nitsの液晶とあわせて、ハイエンドな仕様です。これにより、開封して即、キビキビと動作し、よい液晶を搭載していることを実感できます。
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今回のレビューは、Lenovoさんからお借りした製品に基づいています。記事に記載の仕様と価格は、2025年4月13日現在のものです。
Lenovo Legion Tabのスペック
スペックについては、以下の速報ベースでのベンチマークスコアの記事にも掲載しています。なお、本製品は高い基本スペック以外に、上の画像のとおり、USB Type-Cを2ポート搭載することも特徴となり、双方ともに充電することができます。また、下側のUSB Type-Cポートは、外部モニターへの映像出力にも対応しています。
Lenovo Legion Tab スペックのまとめ。Snapdragon 8 Gen3を搭載の8.8型タブレット。実機で計測のAnTuTu スコアは約202万と強烈
CPU | Snapdragon 8 Gen3、Cortex X4 3.3GHz x 1 + Cortex A720 2.96GHz x 2 + Cortex A720 3.15GHz x 3 + Cortex A520 2.26GHz x 2 |
GPU | Adreno 750 |
メモリ | 物理メモリ LPDDR5X 12GB + 拡張メモリ 最大 9GB |
ストレージ | 256GB UFS 4.0 |
ディスプレイ | 8.8インチ、IPS、解像度 2560 x 1600、In-cell、輝度 500 nits、165Hzのリフレッシュレート |
WiFi、Bluetooth | WiFi 7, 11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.4 |
LTE | 未対応 |
カメラ | フロント 8百万画素、リア 13百万画素 + 2百万画素 |
ポート類 | (下部) USB 3.2 Type-C ポート、映像出力に対応 (側面) USB 2.0 Type-C ポート |
バッテリー容量 | 6550mAh、68W 急速充電に対応 |
搭載センサー | 加速度センサー、近接センサー、ジャイロセンサー、光センサー |
サイズ、重さ | 208.5 x 129.5 x 7.8mm、350g |
OS | Android 14 |
その他 | 2スピーカー、金属製の筐体、68W 充電アダプター付属 |
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼アプリドロワーの一部を抜粋。AnTuTu ベンチマークなどのアプリをインストール後ですが、プレインストールのアプリは数種類のゲームにとどまり、デフォルトではシンプルな構成です。
▼かなり明るい液晶でもあり、「設定」の明るさ調整のスクショを掲載しました。私はスマホ、タブレットともに、明るくしての使用が好みですが、明るさ最大にすると眩しすぎるほどです。
▼リフレッシュレートの調整画面です。リフレッシュレートによる効果に鈍感な私ですが、さすがに165Hzでは Google Chromeのスクロールにおいても滑らかであることがわかります。
以降は以下の記事にて紹介のアプリ「Device Info HW」から抽出したものとなり、クリックにて拡大することができます。
Android 端末のシステム情報抽出なら「Device Info HW」。無料アプリながらも広告なし、多くの情報を抽出可能
▼システムの概要です。8.8インチ液晶の解像度は 2560 x 1600、物理メモリはLPDDR5X 12GB、OSは Android 14
▼Snapdragon 8 Gen 3は、4nm プロセス、「Cortex X4 3.3GHz x 1 + Cortex A720 2.96GHz x 2 + Cortex A720 3.15GHz x 3 + Cortex A520 2.26GHz x 2」の構成です。GPUは Adreno 750。
▼8.8インチ 解像度 2560 x 1600の液晶のリフレッシュレートは 最大 165Hz。
▼画面左の緑のマークは、搭載するセンサーを示しています。スマホにおいても搭載事例の多くないバロメーター(気圧計)以外を搭載しています。なお、GPSを未搭載であることに注意ください(Lenovoなどの大手ブランドのタブレットでは、一般的にGPSを未搭載です)。
拡張メモリ
国内通販で販売の他ブランドの製品と異なり、販売ページには拡張メモリに対応することが明記されていません。大手ブランドでは、拡張メモリをアピールしないのが一般的ですが、本製品では、ストレージの空き容量から、最大9GBまでを拡張メモリとして割り当てることができます。その手順は以下となります。
▼「設定」の「一般設定」を選択します。
▼「RAM 拡張」を選択します。
▼以下の画面にて、拡張メモリの割り当てを設定することができます。
Widevine L1 対応
TeclastやALLDOCUBEなどのブランドの製品と異なり、本製品の製品仕様に「Widevine L1」に対応していることが明記されていませんが、Netflixも含めて対応しています。
▼Widevineの概要と、Netflixなどのアプリにて再生画質を確認する手順は、以下の記事で掲載しています。
Android 端末における Widevineとは。概要とL1,L2,L3の相違、L1,L3の画質を実機で確認してみた
Android 端末にて、Netflix、hulu、Amazon Prime Videoの再生画質を確認する手順。Widevine L1 対応の確認にも有効
▼こちらはNetflixでの対応状況です。Full HDでのWidevine L1に対応しています。
▼こちらは Amazon Prime Videoでの画質の設定画面です。Amazon Prime Videoにおいては、「Widevine L1」の表示はありませんが、高画質での再生が可能です。
外観
外観(背面とサイド)と付属品について記載します。金属製の高品質な背面であり、液晶面サイドの建て付けの精度も高いもの。ただし、背面での油脂の付着が目立ちやすいため、ケースを装着しての運用がよいと思います。
▼コンパクトな外箱です。Lenovoさんから配送いただいた際に、荷物のコンパクトさと軽さから、タブレットとは思えないほど。
▼本体の周囲に緩衝材はなく、ピッタリと収まっています。これにより、他製品と共用の外箱、内箱ではなく専用であることがわかります。
▼「LEGION」のロゴも含めシックな色合いで、金属製の高品質な背面です。ただし、前述にとおり、油脂の付着は目立ちやすいです。
▼横持ちでの右サイドは、スピーカーとUSB Type-C(USB 2.0)があります。
▼横持ちでの左サイドはスピーカーのみ。背面中央のLEGIONのロゴは立体的なものであり、また、同系色で目立たず 好感がもてます。
▼カメラ周りを拡大。このあたりの質感も高いです。
▼横持ちでの下側中央に、充電・外部モニターへの映像出力に対応の USB Type-C ポートがあります。
▼上下逆の撮影ですが、付属の68W 電源アダプターはコンパクトなもの。
液晶
以下の液晶の表示品質について記載します。
- 8.8インチ、IPS、解像度 2560 x 1600、In-cell、輝度 500 nits、165Hzのリフレッシュレート
全般的には、これまで実機レビューしたAndroid タブレット 20製品以上のなかでも、最も明るく高品質な液晶のように感じます。具体的には以下です。
- 輝度 500 nitsの液晶ですが、明るさを最大にすると 500 nits 以上の明るさのようにも感じます。私は老眼なことも影響し、明るい画面が好みなのですが、明るさ最大にすると眩しすぎるほどの明るさです。
- 色合いとしては、どちらかと言えば寒色寄りでしょうか。2~3万円台のタブレットにおいては、色合いにクセのある製品(やや赤みを帯びた表示など)もありますが、本製品は自然な色合いの表示です。
- 8.8インチクラスのタブレットではFHDにおいても十分に綺麗な描写ですが、2.5K 解像度の本製品は、よりきめ細やかな表示のように感じます。文字を拡大しても、ドットが目立つこともありません。
- 表示品質とは異なりますが、165Hzのリフレッシュレートにおいては、鈍感な私にも Chromeの縦スクロール時の動きが より滑らかであることが体感できます。
▼デフォルトの壁紙での撮影です。レッドと濃いブルーが鮮やかに表示されています。なお、上下ベゼル幅が狭いことも特徴の一つです。
▼当サイトのトップ画面の表示です。写真ではやや暗く見えますが、実機は明るく 自然な色合いでの表示です。
USB-C経由でのモニター出力
映像出力に対応するUSB Type-Cにて、27インチモニターへ表示してみました。
- ノートPCの接続と大差ないレスポンスで、モニターへの映像出力となります。
- 上の写真はミラーモードですが、拡張モードでの映像出力も確認済です。
- ミラーモードの場合、外部モニターでの映像表示に遅延を感じず 良好です。
- 使用した27インチ 4K モニターは 65WのPDに対応していますが、タブレットへの給電とモニターへの映像出力をケーブル1本で行うことができます。
▼外部モニターに接続後 数秒で以下の「ミラーモード」「拡張モード」の画面が自動表示となり、一方を選択することにより 外部モニターへの映像出力となります。
▼以下のコントロールパネルに「プロジェクション」の項目がありますが、外部モニターへの接続中はこちらの画面から「ミラーモード」「拡張モード」への切替を行うこともできます。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。所有するAndroid タブレットのなかで、最もベンチマークスコアの高い製品は、Snapdragon 8 Gen 2を搭載する「POCO F6 Pro」ですが、Snapdragon 8 Gen 3を搭載する本製品のスコアは、大きな差をつけ高いスコアです。
POCO F6 Pro 実機レビュー、Snapdragon 8 Gen 2 / UFS 4.0 / 120Hz リフレッシュレートによる快適レスポンス。スペック重視で購入して正解
▼AnTuTu ベンチマーク v10のスコアは約208万。何度か計測しましたが、202~208万の範囲のスコアです。
▼こちらは「POCO F6 Pro」のSnapdragon 8 Gen 2のスコアです。本製品との差は約50万と大きなスコア差です。
▼Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2240、マルチコア 6924」。こちらも2つめの画像のSnapdragon 8 Gen 2とは大きな差があります。
▼3DMark / Wild Life Extremeのスコアは4924。2つめの画像は、同じく Snapdragon 8 Gen 3を搭載する「OnePlus 12」との比較ですが、当然ながらも同水準のスコアです。
Androidでストレージの速度計測なら「CPDT Benchmark」、メモリの速度も計測可能で、機種により大きな相違も
▲▼上の記事にて紹介のアプリ「CPDT Benchmark」にて計測の、UFS 4.0 ストレージでの読み書き速度です。「Seauential Write 1.18GB/s、Seauential Read 1.95GB/s」と、ローエンドのPCIe 3.0 SSDと同水準の速度です。
2つめの画像は、同じくUFS 4.0 ストレージを搭載の「POCO F6 Pro」のスコアですが、AnTuTu ベンチなどと同様に、本製品がより高いスコアです。
体感レスポンス
体感レスポンスについては、繰り返しのSnapdragon 8 Gne 2を搭載の「POCO F6 Pro」、タブレットとしては主流のHelio G99との比較です。
- Snapdragon 8 Gen 2を搭載の「POCO F6 Pro」は、それほど強烈なレスポンスのよさを感じないのですが、Snapdragon 8 Gen 3の本製品は、操作して即 キビキビと動作することを体感できます。
- 8~10インチでは主流のHelio G99を搭載するタブレットとの比較では、やはり全般的にかなりキビキビと動作します。PCで例えると、4コア4スレッドのAlder Lake N100とデスクトップ向けのインテル 第13世代 モバイル向けのCore i5ほどの相違でしょうか。普段使いでは N100でも困らないものの、あらゆる画面で、よりキビキビと動作し効率化に繋がるようなイメージです。
- 一般的に、普段使いにおいては Helio G99においても快適であるものの、Snapdragon 8 Gen 3、UFS 4.0 ストレージ、165Hzのリフレッシュレートとあわせ、快適性が大きく高まっているイメージです。
サウンド
2スピーカーを搭載していますが、Netflix、YouTubeを視聴する範囲では 4スピーカーと勘違いするほどに よい音質です。
- 音の広がりは、2~3万円で販売の4スピーカーを搭載するAndroid タブレット以上です。
- 音量を上げると、多少の音割れがあるように感じますが、それでも許容範囲です。
- 横持ちでの左右サイドの上側にスピーカーがあるため、「ゲーミングタブレット」とあるように、ゲームを意識した構成です。また、音の広がりなどからも、動画視聴にも適しています。
その他の使用感
文中で記載の事項も含めて、その他の使用感について記載します。
- 8インチクラスでは8.4インチが主流ですが、8.8インチの本製品は 8.4インチと同じ感覚でホールドできます。
- 金属製の背面は質感が高い一方、多くの他のタブレットと同様に油脂の付着は目につきやすく、ケースを装着しての使用をおすすめします。
- カメラについては詳細に記載していませんが、リアカメラのオートフォーカス、ストレージの保存は早いです。
まとめ
Snapdragon 8 Gen 3、8.8インチ 2.5K 解像度の液晶を搭載する「Lenovo Legion Tab」の実機レビュー記事でした。2025年4月13日現在の価格は 8万円弱と、8インチクラスのタブレットとしては高価な製品ですが、スペックとしては「iPad mini」と競合する製品です。
2025年4月13日現在、iPad mini 代替のAndroid タブレットとしては唯一の製品となり、仮にAndroidの競合製品があった場合にも、全体のスペックと機能のバランスのよさから、おすすめできる端末です。
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