GPD Pocketのレビュー3回目となる今回は、1週間使用後の総括レビューとなります。質感はかなり高め、レスポンスもライトユースには十分すぎるほどのGPD Pocketです。
Geekbuyingさんからお借りした製品でのレビューですが、全般的には「何に使おうか考えてしまう。でもその質感の高さ、設定を煮詰めるとさらに使い易くなるのではとの視点から、是非とも欲しい」と思える端末です。
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▼今回レビューする製品は、こちらのGPD Pocket
外観・質感
GeekbuyingのGPD Pocketの概要に「小さく精巧な外観は、MacBook Airに匹敵」とあり、多くの中国製PCと同様にMacBookを意識しているのがわかります。
上の画像はMacBook Air 11と並べたものですが、GPD Pocketが小さなサイズの割には厚みがあること以外は、全体の雰囲気と色合いはMacBook Airによく似ています。むしろ、精巧さにおいてはMacBook Airより上なのでは、とも思えます。
▲通風孔や各ポート部分、ディスプレイとキーボード側の接地面をみると、その精巧さを感じとることができます。やはり惜しいのはその厚み。小さなボディにバッテリーやファンを詰め込むと、この厚みは仕方がないとも思いますが、もう少し薄ければなおよかった。
Airを名乗るほど(名乗っていませんが)の薄さはないのですが、金属製の塊感が強く、薄さよりも塊により高級感を出すGPD Pocketもよいものです。
外観の詳細は以下の記事を参照ください。
処理速度
先のレビュー記事より、スペック表の再掲です。
CPUにZ8750、メモリ8GBを搭載する本機は、Webサイト閲覧・軽めの動画編集・動画視聴などのライトユースではサクサクと稼働します。もっとも、これらの使い方では、Z8750より下位・上位のCPUであっても、それほど大きな体感レスポンスの差はでないのですが。
ベンチマークの結果は、国内外のエントリークラスの製品で多く搭載しているCPUとの比較では、Celeron N3450 > Z8750 > Z8350と順当な結果でした。
▼メモリを8GB搭載しており、Chromeのタブを10個開いた状況では30%の使用量。メモリ不足に陥ることはないでしょう。
▼ドラクエベンチマークのスコアは2077となり、Celeron N3450搭載機と同等レベル。機種・チューニングによってはCeleron N3450よりも良いスコアでした。
▼Celeron N3450を搭載するPCのベンチマーク
▼ストレージであるeMMCも十分な速度が出ています。Widnowsの起動(サインイン画面まで)までの時間は約23秒、シャットダウンは約13秒となり、シャットダウンがやや遅いようにも感じますが十分なもの。
ディスプレイ
7インチのIPSパネル、解像度は1920×1200となりますが、鮮やかで精細なディスプレイです。ディスプレイの視認性等を列挙すると以下となります。
- 私が所有する他のIPSパネルのノートPCと比較しても、視野角・鮮やかさともに優れています。感覚的には、所有のiPad 2017以上の鮮やかさ・精細さがあるように感じます。
- 色調としては黄色がかった暖色系。多くの国内製パネルと同様で、日本人好みの色調です。
- 40インチの液晶テレビに接続しても、精細さはそのまま保持。かなり見やすいものでした。
- 老眼の私にとって、7インチのディスプレイで小さなアイコン・文字の視認性はかなり厳しいものとの先入観があったのですが、意外にもクッキリと見ることができます。
▼液晶テレビへの接続においては、100均購入の変換アダプタを使用しようと思ったものの、先端がつぶれており使えず。以下のエレコムのアダプターを使用しました。
▼ディスプレイは以下の角度まで寝かせることができます。
キーボード、トラックポイント
7インチクラスのサイズに合わせたキーボードでは、一般的にどの製品でも快適な入力環境には困難が伴うとの前提でのレビューコメントです。私は7~10インチ向けの携帯用キーボードを複数持っているのですが、快適にブラインドタッチできるのは8インチ向けがギリギリのラインです。
GPD Pocketのキーボードは、全般的には狭いスペースながらも使い勝手を向上すべく、よく考えられたキーボードです。タイピング感もよく、これが8インチクラスとなり、変則的なキー配置がないものならば、相当に使い易いキーボードとなるでしょう。
さて、本機において、私は1週間使用しても慣れずに、効率的に入力できるとは言い難い状況でしたが、画像に基づき補足します。
そもそもGPD Pocketのキーボードは英語キーボード。小さな英語キーボードを日本語入力で使用せざるを得ないことに無理があるような感覚です。
- 英数・かな変換に使用する「Caps」が小さく押しにくい。これは「英語キーボードの「かな」「英数」をAlt空打ちで瞬時に切替。alt-ime-ahk.exeで快適な入力環境」にて紹介のフリーソフトで解消できますけど。
- 漢字変換(変換候補の選択)に使用する「スペース」キーの下に左右クリックボタンがあり、またスペースキーが左右に分断されており押しにくい。
- 句読点のキー(Mキーの右)も小さくタイピングし難い。
- 主要キーは僅かながらに中央から右にオフセットされているようですが、この微妙なズレが誤タイピングを招きやすい。
一方のトラックポイントは慣れてしまえば操作しやすいものでした。低価格な中国製PCのタッチパッドの場合、異様に敏感なものやタイピング中にタッチパッドに触れてしまい誤作動を招くものなどがありますが、それらと比較するとこのトラックポイントはスピードの緩急をつけつつ、狙ったところに移動できます。
その他
私として気になるポイントはファン音のやかましさ。Windowsの起動時の短時間、少しでも負荷をかけた場合や、電源オフ・スリープ時の充電中にもファンが激しい音で回転しています。
以下の記事に記載があるように、静音タイプのファンに交換するか、あるいはファンコントローラーにより回転数を制御すべきです。
▼CPUの温度を測定したところ、YouTube視聴直後は47度とそれほど高温になっていないようです。念のためのファン回転か、あるいはファンにより冷却対応の効果が抜群なのか。
GPD Pocketの使い道
7インチにして高級感あふれるボディに、サクサクなレスポンスのGPD Pocketですが、その使用目的の議論は別にすると、所有すること自体に、そしてちょっとした課題の対応などの弄り要素が多いことに所有する満足感を得られると思います。
とは言え小さいながらもパソコンであるため、その使い道を考慮した場合、以下などの使い方があるものと認識しています。
- 隙間時間や寝ころびながらのWebサイト閲覧。長時間の文章入力には難ありですが、検索キーワード入力程度なら難なくこなせます。
- 混みあった電車内など、狭いスペースでのWebサイト閲覧、メール文書の作成。
- Pocketの名のとおり、軽装の場合にもポケットに入れて持ち運ぶことができるため、どこへでも持ち運べる携帯端末としての利用。
- 外部ディスプレイ、Bluetooth / USB機器に接続してのサブPC。負荷のかかるゲーム・動画編集などを行わない限りは、メイン機種としての使用もいけます。
まとめ
その質感・基本スペックの高さ、ディスプレイの鮮やかさが魅力的な本機です。また、キーボードやファン音の大きさ他の、不具合とは言わないまでも小さな欠点をどのように補うか、つまりはついつい弄りたくなる本機です。
他の中国製PCと比較すると価格は高めであるものの、手にしてわかる満足感・弄り甲斐があるために、個人的にも是非とも欲しいGPD Pocketです(本記事はGeekbuyingさんよりお借りした機器でのレビューです)。
▼2018年1月27日現在のGeekbuyingでの販売価格はUSD 509.99 (送料込)
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