今回レビューする製品は、CPUにAMD Ryzen 7 5800H、DDR4-3200 メモリ 32GB、PCIe SSD 512GBを搭載するミニPC「GEEKOM A5」です。
GEEKOM社のミニPCとしてはミドルレンジの製品となり、通常利用時には静かなCPUファンに、サクサク動作のスペックとあわせて、在宅勤務やWeb サイトのブラウジング、動画視聴などでは 今後数年間、メインPCとして活用できます。
また、同社のミニPCに共通する仕様として、2.5インチ HDD / SSD増設用のホルダーや内部のフレームがしっかりしていることも大きな特徴です。
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本記事は、GEEKOM社よりレビュー用に提供いただいた製品に基づいています。文末に、11月30日まで有効なクーポン情報を掲載しています。
GEEKOM A5のスペック
GEEKOM社のミニPCのレビューは、「IT11」、現在レビュー中に「IT13」とあわせて 3製品目となりますが、上の画像のとおり 内部のフレームも含めて しっかりとした作りこみであることも特徴の一つです。
GEEKOM IT11 実機レビュー、Core i7-11390H / USB4を2ポート装備のミニPC。内部の作りも丁寧な おすすめ製品
GEEKOM IT13、Core i9-13900H / メモリ 32GB / SSD 2TBのハイエンド ミニPCがリリース。SSDを3基搭載可能
GEEKOM A5、Ryzen 7 5800Hを搭載のミニPCがリリース、セットモデルはメモリ 32GB、映像出力は4系統
▼「GEEKOM A5」のスペックは以下となります。AMD Ryzen 7 5800Hは、型番としては旧世代ですが、Zen 3 アーキテクチャとなり、ベンチマークスコアは Ryzen 7 7730Uをやや上回ります。なお、標準仕様で、DDR4-3200 メモリ 32GBを搭載しています。
CPU | AMD Ryzen 7 5800H、8コア 16スレッド、Zen 3 |
GPU | Radeon Vega 8 |
メモリ | DDR4-3200 32GB デュアルチャネル、最大 64GB |
ストレージ | M.2 2280 PCIe Gen 3 x 4 512GB(最大 2TB)。2.5インチ SATA SSD / HDD および 2242サイズ M.2 SATA SSDを増設可能 |
WiFi | WiFi 6 |
Bluetooth | 5.2 |
ポート類 | USB 3.2 Gen 2 Type-C x 2、USB 3.2 Gen 2 Type-A x 3、USB 2.0、HDMI x 2、SD カードリーダー、有線LAN |
サイズ | 117 x 112 x 49.2mm、約652g |
OS | Windows 11 Pro |
▼背面のUSB Type-C 2個は双方とも 映像出力に対応しており、HDMI 2個と合わせて 映像出力は4系統です。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11 設定の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。CPUは、AMD Ryzen 7 5800H、メモリは32GB、OSはWindows 11 Pro。
HWiNFO、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフトの概要
フリーソフト「HWiNFO」利用による Windows PC バッテリー劣化度の表示事例
▲▼上の記事で紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出のシステム情報。クリックで拡大できます。
▼上の画像のCPUの情報を拡大。AMD Ryzen 7 5800Hは、8コア16スレッド、7nmプロセス、TDP 45W。
▼DDR4-3200のメモリは 16GB x 2のデュアルチャネルでの動作です。
▼メモリ2枚のうち1枚の情報ですので 16GBとの表示ですが、モジュール メーカーは Shenzhen WODPOSIT Technology、型番 WPBH32D408SWM-16Gとあります。WODPOSIT Technologyのメモリは初めて見ましたが、チップはSK Hynixです。
▲▼512GBのe SSDは、以下のLexar NM620。下にリンクを掲載の同社の「IT11」、現在レビュー中の「IT13」も大手ブランド LexarのSSDを搭載し安心感があります。なお、Amazonの情報では、NM620は「最大読み出し3500MB/s 書き込み2400MB/s」との記載がありますが、後述の実機での計測では、Readは同水準、Writeは記載以上の速度が出ています。
外観
付属品・外観について記載します。CPUにCore i7-11390Hを搭載する「IT11(上の実機レビュー記事を参照)、Core i9-13900Hを搭載する「IT13(現在レビュー中)」と同じフレームの筐体を採用し、私がレビューした他社の同スペック帯のミニPCよりも重厚感があり(金属のフレームを搭載)、剛性が高いことが大きな特徴です。
▼「GEEKOM」は「Beelink」「MINISFORUM」と並び、ミニPCの三大ブランドとの認識(海外での認知度より)ですが、他の2社よりも しっかりした外箱に収まっています。
▼本体は厚めのクッション材で保護されています。
▼同社・他社のミニPCと同様に、傷防止のためにビニールで梱包されています。
▼説明書以外の付属品一式。電源以外に、HDMIケーブル、VESA ブラケット、VESA ブラケット・2.5インチ HDD / SSD取付用のネジが付属しています。
▼このクラスのミニPCとしては 大きなACアダプターです。電源の仕様は 19V / 6.3A / 119.7W。
▲▼3Pのプラグのため、以下のような3P to 2Pへの変換アダプターが必要です。
▼説明書とThank you カード。説明書には、2.5インチ HDD / SSDの増設方法、メモリとM.2 SSDの換装方法がイラストで記載されています。
▼前面は左から、USB 3.2 Gen 2 Type-A x 2個、イヤホンジャック、電源ボタン。電源ボタンは、一つ下の写真のように 電源オンで白のLEDが点灯します。
▼右サイドは多数の通風孔にケンジントンロックがあります。
▼左サイドは通風孔にSDカードスロットがあります。内部の熱は背面をメインに、左サイドからも排出されています。
▼背面は左から、電源、USB 3.2 Gen 2 Type-C、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-A、USB 2.0、USB 3.2 Gen 2 Type-C、HDMI。USB 3.2 Gen 2 Type-Cは2個ともに、映像出力に対応し、実際に映像出力可能なことを確認済です。
▲▼USB 3.2 Gen 2 Type-C経由で、以下の16インチ ポータブルモニターに接続した状況です。正しい解像度の60Hzで出力できています。
▼全体像です。実機の色合いとしては、上の画像と下の写真の中間あたりをイメージください。外枠は樹脂製ですが、高品質な塗装です。
以降の写真は、参考までに、上の記事にて実機レビューの、Core i7-11390Hを搭載する同社のミニPC「IT11」を並べて撮影しました。
▼「IT11」のサイズ 117 x 112 x 45.6mmに対して、「A5」は117 x 112 x 49.2mmと僅かに高さが異なります。
▼映像出力は、「IT11」のHDMI / USB4 x 2(前面に1個あり)/ Mini DisplayPortの4系統に対して、「A5」はHDMI x 2 / USB 3.2 Gen 2 Type-C x 2の4系統。
▼サイドの通風孔は、「IT11」の金属のパンチング板に対して、樹脂の外枠に多くのスリットがあります。
内部の構成、HDDの増設
GEEKOMのミニPCは、本製品で3製品目のレビューとなりますが(IT11、A5、IT13を現在レビュー中)、3製品ともに内部の構成は概ね同じです。
共通して感心することが、底板と内部の作り込みの良さです。他社製の場合、樹脂の底板の裏に、HDD / SSDをポン付けするのみで、冷却や剛性を考慮していない製品もあるなか、GEEKOMのミニPCは しっかりと考慮されています。
なお、製品仕様に明記されていない M.2 2242の空きスロット(SATA専用)があり、M.2 SATA SSDを増設でき、動作することを確認済です。
▼底板は四隅のプラスネジを緩めると開くことができます。ThinkPadと同様に、ネジの紛失防止のためにも、ネジは外れない仕様になっています。なお、私はプラスネジ・ドライバーのサイズ合わせに苦労しましたが、PH2のドライバーで簡単に緩めることができます。
▼底板を外しました。底板に2.5インチ HDD / SSD取付用のSATA ケーブルが接続されているため、勢いよく開かないよう注意が必要です。
外枠の内側に金属製のフレームがあることがわかると思います。このフレームにより、剛性を確保し重厚感ある筐体とし、また、外枠への熱の伝導を抑えています。
▲2280サイズの標準装備のM.2 SSDの上に、2242サイズの空きポートがあり、M.2 SATAを増設することができます。
▼底板裏の2.5インチ HDD / SSD取付用のホルダーです。こちらの作り込みが他社製よりも優れています。他社製の場合、樹脂の簡易的なホルダーであることが多いのですが、GEEKOMの製品は、スチール製の底板とホルダー、M.2 SSD用の冷却シートが金属板に貼ってあり、2.5インチ HDD / SSDとM.2 SSDの熱を底板に逃す仕様です。
▼また、底板の内側のゴムを外し、底板からHDD / SSDをネジ止めする仕様です。
▼(手元に2.5インチ SATA SSDがなかったため)HDDと、2242サイズ M.2 SATA SSDを増設しました。HDDはホルダーに差し込みのみの簡単装着、M.2 SSDは他の製品と同様に差し込んでネジ止めするのみです。なお、M.2 SSD ポートはSATA専用です。
▲▼もちろん、「ディスクの管理」にて 増設したHDDとSSDを認識しています。
▼増設した M.2 SATA SSDは、通常の速度が出ています。
▼増設したHDDを拡大。繰り返しとなりますが、ミニPCで これほどしっかりした 2.5インチ HDD / SSDのホルダーは珍しいです。
▼標準装備のLexar NM620 PCIe SSD、増設した M.2 SATA SSD、標準装備のDDR4 16GB RAM x 2。
▼SSDを拡大。Lexar NM620はPCIe Gen3 x 4。GEEKOM社のミニPCは、大手ブランド LexarのSSDを搭載する傾向があり、安心感に繋がります。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。比較対象は、以下の記事にて実機レビューの、インテル 第11世代 モバイル向けハイエンドのCPU Core i7-11390Hを搭載するミニPC「GEEKOM IT11」です。
シングルコアのスコアは「IT11」が高いですが、GPU 統合チップはAMD Ryzen / Radeonが優位ですので、マルチコアのスコアは「A5」が高いです。
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1481、マルチコア 8867」。
以下の記事にて、実機レビューしたPCをメインに、主だったPCのGeekbench 5のスコアを掲載していますが、うち、上の2つめの画像は、CPUに インテル 第11世代 Core i7-11390Hを搭載する「GEEKOM IT11]のスコアです。GPUに強いRyzenですので、マルチコアのスコアは大きく上回っています。
なお、シングルコアのスコアは、インテル CPUでは 第11世代のCore i7-1165G7より少しよい水準です。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 1967、マルチコア 9217」。Geekbench 5 vs 6では、評価項目とスコア判定のベースとなるPCの相違から、Geekbench 6は5よりも高いスコアとなります。
▲下の画像のCore i7-11390Hを搭載する「IT11」のスコアは 多少低めに出ていると思いますが、シングルコアはほぼ同水準、マルチコアは Ryzen 7 5800Hを搭載の「A5」が高いスコアです。
PCMARK10
PCMark 10のスコアは 6098。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4500ですが、本製品では 9274となり、在宅勤務においても今後数年間はメインとして使用できそうなスコアです。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1328、マルチコア 10921」。2つめのランキングでは、シングルコアは Core i7-1165G7と同水準、マルチコアは同CPUを大きく上回り妥当なところ。
▲下のランキングはCore i7-11390Hを搭載の「IT11」。Geekbench 5のスコアと同傾向となり、シングルコアは Core i7-11390H、マルチコアはRyzen 7 5800Hが優位です。
3DMark
3DMark Time Spyのスコアは 1634となり、ここでも2つめの画像のCore i7-11390Hより高いスコアです。
ドラクエベンチマーク
ライトなゲーム向けのベンチマークソフト「ドラクエベンチマーク」の解像度 1920 x 1080 FHDでのスコアは「12359 すごく快適」。
▲下のスコアは、以下の記事にて実機レビューのCore i5-13500Hを搭載するミニPCのもの。インテル 第13世代 モバイル向けハイエンドのCPUと比較しても、Ryzen 7 5800Hのマルチコアは かなり高いスコアです。
CrystalDiskMark
PCIe SSDの速度は「Read 3483MB/s、Write 3114MB/s」と、このクラスのPC、PCIe 3.0としては標準的な速度です。読み書き 7000MB/sほどの速度となると、大容量アプリのインストールや、Windows 11の起動・終了がより高速であることを体感できますが、3500MB/s vs 5000MB/sでは 普段使いで体感できるほどでもなく、以下のスコアでも十分です。
メモリ帯域幅
DDR4-3200 32GBのメモリ帯域幅は 34.79GB/秒。インテル 第13世代 モバイル向けの同仕様のメモリと同水準の速度です。
体感レスポンス
私の自宅でのメインPCは M2 Pro Mac mini、Windowsでは Core i5-13500Hを搭載のミニPCと Core i7-1360Pを搭載のノートPC、会社では非力なCeleron 3867Uを搭載するノートPCですが、体感レスポンスをこれらとの比較で掲載します。
なお、主な用途はメインの仕事ではデータ量多めのExcelにAccess、サイト運用では記事編集に画像編集です。
- 上記の用途では、M2 Pro Mac miniと遜色ないほどにキビキビと動作します。
- ベンチマークとしては上位の Core i7-1360Pを搭載するノートPCと比較しても相違を感じません。ノートPCでは ブランド独自の制御が多少入っていることもあり、むしろ本製品がよりキビキビと動作するような感覚もあります。
- 会社で使用中の非力なCeleron 3867Uとの比較では、言うまでもなく 比較にならないほどにキビキビと動作します。スマホに例えると、4コア vs ハイエンドの8コア程度の違いがあります。
- 現在レビュー中の、Core i9-13900Hを搭載する「GEEKOM IT13」との比較では、上記の用途では、僅かに「IT13」がキビキビと動作する感覚。負荷を要する作業では相違もあるかと思いますが、私の用途では大きな相違ではありません。
- SSDのベンチスコアで記載しましたが、SSDの読み書きが 7000MB/s前後のPCと比較すると、大容量アプリのインストールなどにおいて、多少の体感できる相違を感じます。ただし、一般的には本製品の速度で十分です。
CPU温度、ファン音量
各種作業への集中と効率性の重要な指標となる、CPU温度とファン音量について記載します。負荷をかけた際のCPU温度は100℃弱となり、温度上昇でCPUの周波数を抑制するサーマルスロットリングが機能する手前でおさまっています。
CPUファンの音量は、常時静音ではなく、通常時は静音の範疇、ベンチマークで負荷をかけた際には静音とは言えませんが、それほど負荷をかけることもないはずですので、課題となる事項ではありません。
▲▼フリーソフト「HWiNFO」で計測のCPU温度です。上の画像は記事の編集・画像編集などの私の普段使い・通常時の温度ですが、平均温度は低くおさまっています。
2つめの画像はベンチマークで負荷をかけた際の温度ですが、最大 100℃弱とサーマルスロットリングが機能する105℃の手前となっています。やや高めの温度ですが、通常時の温度は低いため、課題とするほどではないとの認識です。
▼iPhone アプリ「デジベル X」で簡易的に計測のファン音量です。上の画像の通常時には 平均 35dBと静音と言える範疇であり、ファン音はほとんど気にならないです。
一方、下の画像のベンチマークで負荷をかけた際や Windows 11の起動時には 50dB前半の音量となり、やかましさを感じます。ただし、これほどの音量となることは 多くありません。
まとめ
CPUにAMD Zen 3 アーキテクチャのRyzen 7 5800H、メモリ 32GB、PCIe SSD 512GBを搭載するミニPC「GEEKOM A5」。バランスのよりスペックに、2.5インチ SATA HDD / SSDを増設でき、さらには Amazon / 公式サイトの10月23日現在の仕様に明記のない、2242 サイズのM.2 SATA SSDを増設できることもメリットの一つです。
これまで、上位のスペックとなるミニPCを複数レビューしましたが、在宅勤務やWeb サイトのブラウジング・動画視聴などの普段使いにおいては、CPUファンの静音性や価格も考慮すると 本製品のスペック帯が程よい製品との認識です。また、GEEKOMのミニPCは、内部の作りこみもしっかりしており、製品の質感や重厚感も含めて おすすめできるミニPCです。
11月30日までを有効期限として、Amazon サイト・GEEKOM 公式サイトともに クーポンコード「sumahoinfoA5」の利用により、以下の割引となります(56,000~57,000円台での販売です)。
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