今回レビューする製品は、Core Ultra 5 125U、LPDDR5 7500MHz 16GB オンボードメモリを搭載、14インチのディスプレイが360度回転する「ThinkPad X1 2-in-1 Gen 9」です。
普段使いでのキビキビ動作はもちろんのこと、アルミ素材の筐体は高品質であり、ストームグレーのThinkPadは新鮮さがあります。
レビューする製品はこちら
Lenovoさんからお借りした端末に基づくレビューとなり、記載のスペックなどは 2024年7月15日現在のものです。
ThinkPad X1 2in1 Gen 9、Lenovo 直販サイト
ThinkPad X1 2-in-1 Gen 9のスペック
今回 レノボさんからお借りした「ThinkPad X1 2-in- Gen 9」の型番は「21KE0001JP」。エントリー構成となりますが、そのスペックは以下です。
なお、上の画像のとおり、「ストームグレー」の筐体ですが、実機はイメージ画像で見るよりも、遥かに高級感があります。ブラックのThinkPadを複数台所有する私としては、グレーのThinkPadは新鮮です。
CPU | Core Ultra 5 125U、12コア 14スレッド |
GPU | Intel Graphics |
メモリ | 16GB LPDDR5 7500MHz オンボード |
ストレージ | M.2 PCIe 4.0 SSD 512GB |
ディスプレイ | 14インチ、解像度 1920 x 1200、IPS、マルチタッチ、非光沢、Yoga スタイル |
WiFi | Wi-Fi 6E 対応 |
Bluetooth | 5.3 |
ポート類 | USB4 (Thunderbolt 4 対応) x 2、USB Type-C 3.2 Gen 1(Powered USB)、USB 3.2 Gen 1、HDMI |
サイズ | 約 312.8 x 217.65 x 15.49mm、1.35kg~ |
OS | Windows 11 Pro |
その他 | バックライト付きキーボード、指紋センサー、Lenovo スリムペン付属 |
▼以下の②のとおり、Thunderbolt 4対応のUSB4 ポート x 2個も含めて、ポート類は豊富です。また、LTE対応のモデルもあります(カスタマイズ可能)。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11 「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。
もちろん、スペックどおりに CPUは Core Ultra 5 125U、メモリは16GB、OSはWindows 11 Pro / 23H2
▼14インチ 解像度 1920 x 1200、アスペクト比 16 : 10のディスプレイですが、拡大 / 縮小はの推奨は 150%であり、程よい大きさです。
ただし、老眼の私には程よいものの、少し拡大率が大きいと感じる方もいらっしゃるかと思います。実際、私はGoogle Chromeを90%にして使用しています。
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
フリーソフト「HWiNFO」利用による Windows PC バッテリー劣化度の表示事例
以降の画像は、上の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出のシステム情報です。当ソフトは基本的なシステム情報、メモリやSSDの型番、CPU温度も計測できる優れたソフトです。
▼システムの概要。クリックで拡大できます。
▼上の概要から CPU情報を拡大。Core Ultra 5 125Uは、P Core 2、E Core 8、省電力 E Core 2の合計12 コア 14スレッド、TDPは15W
▼メモリはLPDDR5 16GB オンボード
▼GPUの情報です。最下段にSSDの情報もあります。
▲▼モニターの型番は「MNE007JA1-2」とあります。ダメ元でググってみると、以下のPanelook サイトにて詳細情報を抽出できました。
レビュー記事の主旨から外れますが、中古で購入したPCの液晶の参照など、Panelook サイトは便利です。輝度、コントラスト、外枠も含めた液晶のサイズなどが明記されています。
▼SSDは SKHynixの型番「HFS256GEJ9X164N」。こちらのAmazon サイトに掲載のある(価格情報はありません)、2280サイズのM.2 SSDです。
▼AIを高速処理するために設計されたプロセッサ「NPU」の情報も抽出できました。
外観
外箱から取り出した際、そのコンパクトさから13.3インチと勘違いしました。これは、所有する14インチの「ThinkPad E14 Gen 5」と縦横のサイズ差はそれ程大きくないのですが、シルバーのボディ色と厚み(E14よりも薄い)によるものと思われます。
全体的に金属製の筐体の高品質さが際立ち、ヘアライン調のキーボード側サイドも高品質です。また、前述のとおり、ブラックのThinkPadに慣れている私としては、「ストームグレー」の筐体は新鮮です。
▼右サイドは左から、電源ボタン、イヤホンジャック、USB-A、HDMI、ケンジントンロック。
▲電源ボタンはフラットですが、それほど押しにくさはありません。
▼私の好みの角度から。ディスプレイが360度回転する Yoga スタイルでもあり、ヒンジ側はディスプレイ・キーボード側ともに丸みを帯びています。
▼左サイドは左から、USB-A、電源ポートを兼ねるThunderbolt4 x 2ポート。2ポートともに、給電、充電、映像出力がしっかりと機能することを確認済です。
▼ヒンジ側です。前述のとおり、ディスプレイが360度回転するYoga スタイルでもあり、ヒンジ側のエッジは丸みを帯びています。
▼天板上の中央は、Web カメラの幅に合わせて高さがあります。
▼ThinkPad X1のロゴも、他のX1と同様に上質です。
▼付属する45Wの電源アダプターは、他のThinkPadと同一のもの。スタイラスペンも付属しています。
▼スタイラスペンは、以下のように ディスプレイ・キーボード面のサイドに、マグネットにより装着・収納することができます。
ディスプレイ
2024年7月15日現在、レビュー機の型番「21KE0001JP」は Lenovo 直販ストアのラインナップにないのですが、以下の液晶のうち、上段中央の光沢なしモデルと思われます(左のモデルの可能性もあります)。
有機ELパネルのみ 解像度は2.8Kですが、全液晶ともに 100% RGB あるいは 100% DCI-P3の広色域の液晶です。
液晶の使用感のポイントは以下です。
- デフォルトの色合いとしては暖色寄り。万人受けする色合いであり、所有するPCでは M1 MacBook Airに近いような感覚です。
- 明るさ、鮮やかさともに十分。Windows PCとしては明るい部類です。
- 14インチ FHDですが、同じく14インチで 2.2K 解像度の液晶にカスタマイズした ThinkPad E14 Gen 5(レビュー記事はこちら)と比較すると、文字の表示が僅かにクリアでないイメージです。
- 100% RGBの広色域であり、写真などを自然な色合いで再現できています。
- タッチパネルですが、タッチの精度、スクロール時の追従なども十分です。
▼写真を圧縮しているために上手く表現できていませんが、明るく鮮やかな液晶です。
▼ディスプレイを回転して撮影です。
▼さすがにこの角度から見ると色合いが変化しますが、このように極端な角度でもない限り、視野角は広いです。
▼当サイトのトップページを表示しての撮影です。
▲▼ベゼル幅の比較用に、ThinkPad E14 Gen 5と並べてみました。E14 Gen 5のベゼル幅も狭いのですが、X1 2in1 Gen 9は、特に上のベゼル幅が狭いです。
キーボード
キーボードは、以下の記事にて実機レビューのThinkPadと同様に、使い始め当初から快適にタイピングできています。
ThinkPad E14 Gen 5 実機レビュー、Core i7-1360P / 2.2K 解像度モデルは快速・快適、タイピング感も上質
ThinkPad X1 Carbon Gen 10 実機レビュー、程よいレスポンスと上質なキーボード、16:10のディスプレイで作業効率アップ
- 私がWindows ノートのメインとして利用している、14インチの「ThinkPad E14 Gen 5」と比較すると、キーストロークはごく僅かに浅いように感じます(実測、あるいはキーストローク情報を確認したものではなく、体感的に)
- その浅さに起因するものか、私にとっては、本製品が E14 Gen 5よりも リズミカルにタイピングできているイメージです。
- 2018年以前のThinkPadをお使いの方にとっては、それ以降のThinkPadのキーボードのストロークは浅くなっているため、多少の違和感を感じることと思います。ただし、それは慣れでカバーでき、従来のThinkPadと同様に快適なもの。
▼ブラックのThinkPadにおいては、数日の使用でキーやパームレストの左側に油脂の付着が目立つことが多いのですが、グレーの本製品では油脂や指紋の付着が目立ちません。
▼他のThinkPad、Lenovoのキーボードと同様に、タイプする指に馴染むよう、キーの中央に向けて 僅かに窪みがあります。なお、右サイドの電源ボタンはフラットで小さいのですが、押下しづらさは それほど感じません。
▼ヒンジ側より撮影
ベンチマークスコア
続いて、実機で計測のベンチマークスコアを記載します。先日レビューした 以下のCore Ultra 5 125Hを搭載する「ThinkBook 13x Gen 4」、今回のCore Ultra 5 125Uを搭載する「ThinkPad X1 2in1 Gen 9」ともに、Core Ultraの響きほどに高いスコアではないものの、普段使いでは十分なベンチスコアです。
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1566、マルチコア 8335」
▲▼以下の記事にて、これまでに実機レビューした主だったPCのスコアを一覧化しています。このなか、シングルコアは Core i5-1235UやRyzen 9 6900HXと同水準、マルチコアは Core i9 12900HKと同水準となり、特にシングルコアのスコアはそれ程高くはありません。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2051、マルチコア 8673」。Geekbench 5と6では、評価項目と評価のベースとなるPCのスペックが異なるため、Geekbench 6のスコアは5よりも高くなります。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1577、マルチコア 10060」
▲▼以下の記事にて、これまでレビューしたPCのスコアを一覧化しています。このなか、シングルコアはAMD Ryzen 9 6900HX、マルチコアは Core i7-1360Pと同水準のスコアです。
CINEBENCH R23、ミニPC・ノートPC 30製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
3DMark
3DMark Time Spyのスコアは 2149。2つめの画像は、前述のCore i7-1360Pを搭載する「ThinkPad E14 Gen 5」のスコアですが、大きな差をつけ高いスコアです。
PCMARK 10
PCMark 10のスコアは 5710。2つめの画像のCore i7-1360P / ThinkPad E14 Gen 5と同水準のスコアです。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4500ですが、本製品では 7961となり 十分なスコアです。
CyrstalDiskMark
SK Hynixの型番「HFS256GEJ9X164N」のPCIe SSDの読み書きは、Read 4587MB/s、Write 2699MB/s。Writeがやや低いものの、体感に影響するものではありません。
体感レスポンス
私のPCの普段使いは、記事・画像編集、Web サイトのブラウジング、動画視聴、残宅勤務ではデータ量・関数の多いExcelやAccessです。これらの用途において、Geekbench 5とCINEBENCH R23のシングルコアのスコア 1500以上の場合には、同じ体感レスポンス・コメントとなります。
- 上記の用途においては、遅さを感じることなく 快適にキビキビと動作します。
- エントリークラスのAlder Lake N100、あるいは同水準のインテル 第8世代 Core i5-8350Uあたりにおいても 遅さを感じることはありませんが、よりキビキビと動作することを体感できます。
- 普段使いにおいては CPU ファンの音量も静かであり、また、広い色域・写真の色の再現性のよさとあわせて、PCのスペック・機能に対する雑念なく、作業に集中することができます。
サウンド
LenovoのPCにおいて、サウンドのよさをアピールする、以下のPCと比較では音質は敵わないものの、Windows PCとしては 標準以上の音質です。少なくとも、ThinkPad E14 Gen 5などのエントリークラスのThinkPadと比較すると、中高音がより明瞭です。
ThinkBook 13x Gen 4 実機レビュー、Core Ultra 5 125H、2.8K 液晶、アルミ製筐体に高音質サウンド、快適キーボードと、おすすめの13.5型ノート
Lenovo Yoga 770i 実機レビュー、上質なアルミ製ユニボディ、有機ELの鮮やか液晶、快適レスポンスの14型YogaスタイルPC
CPU温度、ファンの音量
CPU温度とファンの音量について記載します。負荷をかけた際のCPU 温度は一時的に高く、ファン音量も大きくなることがあるものの、普段使いで 気になることはありません。
▼CPU使用率が100%となることも多い「CINEBENCH R23」を計測時の極端な事例ですが、CPU温度が100℃超えとなり、サーマルスロットリングが発動することもありました。ただし、記事編集時などの普段使いでは、最大 70℃台前半となり、また、筐体の熱もそれほど感じない(多少の熱はあります)ため、CPU温度を意識する必要はないとの認識です。
▼iPhone アプリ「デジベル X」で計測の、CINEBENCH R23のベンチスコア計測中のファン音量は 43dB。ノートPCでは 一般的なファン音量です。高負荷時には静かではありませんが、普段使いでは ファン音量がほとんど聞こえることがないほどに静かです。
まとめ
Core Ultar 5 125Uのベンチマークスコアはそれ程高くないものの、普段使いではキビキビと動作します。他のThinkPad X1と同様に液晶の品質は高く、特筆すべきはアルミ製の筐体に ストームグレーの本体色と相まって、ThinkPad X1 シリーズのなかでは、特に高品質であること。また、ブラックのThinkPadが基本となるなか、新鮮さもあります。
レビューした製品はこちら
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