Whiskey Lake Core i7-8565Uを搭載するミニPC ベアボーン「NVISEN Y-MU01 (EGLOBAL MU01)」。第8世代の最新CPUを搭載し、PCIe / SATA 双方のSSDに対応する製品です。中国国内では直販系に近いミニPCであり、ハイエンドのミニPC S200と同じくEGLOBALが製造元と思われます。この「NVISEN Y-MU01」をBanggoodさんよりレビュー用にサンプル提供いただきましたので、メモリ、ストレージを取り付け、OSをインストールのもとレビューします。
全般的には、製品紹介ページの画像よりも質感は高く、Core i7-8565Uと別途取付のPCIe SSDによりレスポンスは快速です。
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スペック
中国直販系のミニPCとしては、EGLOBAL S200 (HYSTOU S200)に次ぐハイスペック。今回、Banggoodさんより提供いただいたのはベアボーンであり、別途 メモリ・ストレージ・OSを用意する必要がありますが、セットモデルも販売されています。
- CPU : Intel Core i7-8565U、4コア 8スレッド
- GPU : Intel UHD Graphics 620
- メモリ : なし、最大 32GB、DDR4 2133/2400 260pin、デュアルチャンネル対応
- ストレージ : なし、M.2 2280サイズ、SATA 2.0 / PCIe x 4をサポート。2.5インチ SATA HDD / SSDを取付可能
- WiFi : デュアルバンド対応
- Bluetooth : 4.0
- ポート類 : 4 x USB 3.0、2 x USB 2.0、HDMI、Display ポート、有線LAN
- サイズ : 12.8 x 12.8 x 3.8 cm、1kg
- OS : なし
Whiskey LakeのCore i7-8565Uもさることながら、SSDはPCIe x 4 (NVME)に対応。SATA SSDと比較し劇的に速くなることはないものの、SSDを最大限活かすことができます。今回、私はシリコンパワーのPCIe 3.0 x 4のSSD (256GBで5千円台、Amazon 価格)を取り付けています。
外観
製品紹介の画像から、部分的にプラスチックだと想像していたのですが、意外にも全面スチール製であり、想像以上にしっかりしています。また、一般的にはイメージ画像は実機よりも良く見せる傾向があるのですが、本製品は製品紹介画像よりも、質感とデザインははかなり高くなっています。
▼電源ボタン 反対側のポート類。左から、有線LAN、USB 3.0 x 2、HDMI、ディスプレイポート、USB Type-C。ディスプレイポートがあるのは珍しい。
▼電源ボタン側は、USB 3.0 x 2にUSB 2.0 x 2、イヤホンジャック。前面にUSBが4個あるのはありがたい。直近で使用していたChuwi GT Boxは前面にUSBポートがなく、一時的に取り付けるUSB機器の接続が面倒でした。
▲▼引用したChuwi GT Boxの実機レビュー記事。
▼サイドの2面(反対側も同デザイン)のシルバーの部分は、透明のプラスチック板がはめ込まれている装飾的なもの。
▼スチール製の天板がピッタリと密着していますが、ここは隙間を設けて内部の熱を逃す工夫があるとよかった。使用中には全体が熱を帯びることもあります。
▲▼全体像ですが、前述のとおりBanggoodの製品紹介よりも実機は質感が高い。これまで、ミニPCとしてはBeelinkの製品の質感が高いとの認識でしたが、本機は同等以上の質感。
▲▼引用したBeelinkのミニPCはこちら。質感はBeelink製品と同等以上。
▼天板の裏に2.5インチ HDD / SSDを取付可能です。スチール2枚重ねで剛性が高い一方、内部の高さに余裕がないため、HDD / SSDの熱が内部にこもりやすいかも。
▼2.5インチ HDDを仮置きした様子。取付部もしっかりしています。
▲▼マザーボード全景。ベアボーンであり、メモリ・SSDの取付前です。マザーボード裏にあるCPUファンとヒートシンクの構成を確認したかったのですが、マザーボードを取り外す必要があり(ポート類の出っ張りがあり、脱着しにくい)、今回は止めておきます。
▼製品紹介の画像ですが、マザーボード裏側にヒートシンク、銅製のCPUファンがあります。
▼メモリスロットを拡大。デュアルチャンネル対応です。
▼SATA / PCIe 双方に対応した、M.2 SSDスロット。WiFiカードの上に取り付けます。
メモリ、SSDの取付
対応するメモリは、260PinのDDR4-2400。デュアルチャンネル対応ですが、私の利用範囲ではそれほどメモリを必要としないため、今回のところは8GB 1枚挿しで様子見。
2280サイズのM.2 SSDは、SATA / PCIeに対応しており、EGLOBAL S200の購入予定に合わせて(購入せず)用意していたPCIe SSDを取り付けることにしました。
▲▼取り付けたメモリ、PCIe SSDは、Amazonで安価で好評な製品を探した結果、はからずも双方ともにシリコンパワー製。特にSSDは、後述のとおり 安価ながらもベンチマークスコアは良好。ただし、SSDの発熱はそれなりでマザーボード以上の熱を帯びています。ヒートシンクを取り付けたほうが無難でしょう。
▼SSD単体のレビュー記事はこちら。
▼念のためBIOSを確認しましたが、設定をいじることなく、難なく取付完了。
▼ACアダプターなどの付属品一式。電源はEUタイプであり、日本(US)仕様への変換アダプターも付属。簡易的なマニュアルも付属していますが、海外通販のミニPC購入層にとっては見る必要もないでしょう。
▲本体に対してACアダプターは大きく、長辺は本体とほぼ同サイズです。
▼上蓋を取り付ける前に通電テスト。
なお、ベアボーンで課題となるのがOSをどうすべきか。LinuxやChrome OSでもよいのですが、せっかくのハイエンド機のため、以下の記事で紹介のWindows 10 Proを激安で購入。
後で気がついたのですが、Yahoo! ショッピングでさらに激安(千円台)で販売しています。激安であるため、購入は自己責任となります。
▲▼2020年8月29日追記。シリコンパワー製のPCIe SSDも十分な速度なのですが、addlinkのSSDに換装しました。ベンチマークスコアはシリコンパワー製よりも多少速く、また、発熱もやや少なくなっています。
システム情報とベンチマークスコア
ベンチマークソフトがGPUを認識していないのか、なぜか PCMark 10やドラクエベンチマークなどのGPU系のベンチマークはエラー、あるいは起動しない状況に。
このため、システム情報と、CPU系、PCIe SSD (ベアボーンのため、デフォルトではなく、シリコンパワー製の後付け)のベンチマークスコアを掲載しています。
システム情報
各種のデバイス情報の表示やCPU温度を計測できるフリーソフト HWiNFOから抽出したシステム情報を掲載しています。
▼全体のサマリーはこちら。
▼主要パーツのシステム情報。
▼Geekbench 5を走らせ、負荷をかけた際のCPU温度。赤字1桁は100度越えなのですが、HWiNFOとしては珍しく表示がおかしいため、参考までの掲載となります。後日あらためて計測します。
ベンチマークスコア
ドライバーや附随ソフトの関係か、GPU系のベンチマークを走らせることができなかったため、CPU系とストレージのみの計測です。
▼Geekbench 5のSingle-Core Scoreは1056、Multi-Core Scoreは2765。
▼こたらは比較用のKaby Lake Core i7 8550U。Multi-Core Scoreは同水準。
▼Cinebench R20。右のとおり、Sigle Coreでも計測しています。
▼後付のシリコンパワー製 PCIe SSDのCrystalDiskMarkのスコア。
▲▼ Xiaomi Notebook Proに搭載のSSDと同水準のスコアとなり安心。
体感レスポンスなどの使用感
PCIe SSDを取り付けた影響もありますが、Webサイト閲覧や画像編集などのライトユースにおいても、かなりキビキビと動作します。
体感レスポンス
PCIe SSDを取り付けているとの前提ですが、Webサイト閲覧、画像編集、Excelなどのライトユースでの体感レスポンスは以下となります。
- PCIe SSDの恩恵により、Windowsの起動と終了、アプリのインストールや起動などは爆速。HDDからSSDへ換装した時ほどの感動はないのですが、大容量のアプリインストールなどは、SATA SSDが鈍足に思えるほどに快適。
- 私は普段、第5世代のCore i5 5005Uを搭載のPCを利用することが多いのですが、これと比較すると画像表示や編集がワンテンポ速い。
- ワンテンポ速いことを手元にあるスマホで例えると、iPhone 7とiPhone XS Max、あるいは、Android スマホの場合には、AnTuTu ベンチマークスコア 8万 vs 14万ほどの体感差はありそうです。
静音性
私がミニPCやノートPCで重視するのは静音性。快適に動作しても、CPUのファン音がやかましい場合には、レスポンスが落ちてもより静音のPCを使用したくなります。
本製品の静音性は概ね良好。概ねと記載しましたが、具体的には以下。
- 10月下旬の使用であり室温も考慮する必要がありますが、Webサイト閲覧や画像編集時には、CPUファンが回転していないと思えるほどに静か。
- 多くの場合、ライトユースで耳障りに感じることはありません。
- しかしながら、負荷をかけていない時にも、時折り5分間程度、激しい音とともにCPUファンがフル回転することがあります。おそらく、バックグラウンドでWindows 10のプロセス、あるいはGoogle Chromeが激しく稼働している際にファンが高回転で動作しているのでしょう。
▼上蓋が密閉されており、また、底面から排熱する構成なのですが、ゴム足もなく設置面との隙間がないために、排熱が非効率のようです。縦置きにすると、CPUファン音の反響音も減り効果的。
▲こちらは裏面。写真でじっくり見て気が付いたのですが、底板は外れそうな気配。そうなると、マザーボードを外さなくてもマザーボード裏にあるCPUファンとヒートシンクを確認できる可能性もあります。なお、ゴム足を取り付けるスペースもありますが、ベアボーンのためにゴム足が付属していないのだろうと思われます。
まとめ
ボディの質感も高く、CPUファン音も許容範囲。CPUは、4コア 8スレッドのCore i7-8565U、SSDはPCIe / SSDの双方に対応しているため、当初は手元にあるSATAを取り付け、後日 PCIe SSDに取り換えることもできます。私は5,000円台で購入したPCIe SSDを取り付けたのですが、Core i7-8565Uと相まって、かなりキビキビと動作します。ハイエンドなミニPCのうち、特にコスパに優れた直販系の製品をお探しなら、S200とともに候補となる製品です。
▼Banggoodでは、その時々でクーポン対象のモデルが異なります。12/12時点ではクーポン「 BGJPMN06」の利用により オリジナル価格 459.99ドルが、399.99ドルとの情報があります。Core i7-8565U版であることは確実なのですが、該当するメモリ・SSDの組み合わせがなく、メモリ 16GB・SATA SSD 256GBと思われます。
▼Amazonで販売の同型モデルはこちら(Skynew 小型パソコンとして販売されています)。割高ですね。
▼2020年9月20日 追記。メモリを8GBから16GBに増設、デュアルチャンネル化でGPUのベンチマークがアップ。
▼2020年4月25日 追記。私のベアボーンでは、2.5インチ SATA SSD / HDDの接続ケーブルが付属していなかったのですが、SATAケーブルが単体で発売となりました。