デスクトップ向けのインテル 第9世代のCPU「Core i5 9400F / Core i5 9500F / Core i7 9700F」を搭載し、GPUに「NVIDIA Geforce GTX1050 Ti」を装備するハイエンドなミニPC「MINISFORUM H31G」。メモリ、SSDを増設・換装できるのはもちろんのこと、CPUも換装することができます。
このハイエンドなH31Gを、MINISFORUMさんよりレビュー用にサンプル提供いただきましたので、実機のスペック・外観・使用感などを記載します。
全般的には、スチール製の重厚なボディに、ベンチマークスコアと体感レスポンスはさすが。心配していた冷却も、2つのファンにより よく冷えています。
公式サイト情報はこちら
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MINISFORUM H31Gのスペック
GPU統合型ではない Core i5 9400F / Core i5 9500F / Core i7 9700Fでもあり、GPUのNVIDIA Geforce GTX1050 Ti を標準装備。
CPU | Core i5 9400F / Core i5 9500F / Core i7 9700F |
GPU | NVIDIA Geforce GTX1050 Ti 4GB GDDR5 |
メモリ | 16GB (最大 64GB、DDR4、2666MHz対応) |
ストレージ | 256GB PCIe M.2 SSD、2.5インチ HDD / SSDと2242サイズ SATA M.2 SSDを増設可能 |
WiFi | (WIFI6 AX200をサポート) |
Bluetooth | 5.0 |
ポート類 | USB 3.0 x 4、USB Type-C、HDMI、Mini DisplayPort、有線LAN、マイク |
サイズ | 154 ×153 × 62mm |
OS | Windows 10 Home |
デスクトップ向けのCPUを搭載することもあり、その冷却対応のためにも、ボディは154 ×153 × 62mmと通常のミニPCよりも一回り大きく、製品を受領してわかったのですが、NVIDIA Geforce GTX1050 Tiの電源を確保できるよう、ACアダプターも大きなサイズとなっています。
なお、上の動画と画像を見ると明らかですが、冷却対応のため、銅製のヒートパイプに高さのあるヒートシンク、2つのファンを備え、天板面のマザーボードの面積の4/5程度をファンも含めた冷却機構が占めています
実機のシステム情報
続いて、Windows 10の設定画面、フリーソフトの「HWiNFO」から抽出のシステム情報です。レビュー機は正式リリース前のサンプル機でもあり、メモリ・SSDの製造元など、9月29日以降の製品版では、細かいところで変更となっている可能性もあります。ちなみにサンプル機のメモリは8GBでしたが16GBに増設しています。
▼こちらがシステム情報の確認に使用したフリーソフト「HWiNFO」。メモリ・SSDの製造元・型番も確認できるほか、CPU・SSDなどの温度も計測することができます。
▼Windows 10の「デバイスの仕様」。レビュー機はCore i5-9500F、6コア6スレッド
▼HWiNFOのサマリー画面。縮小していますので、クリックして拡大ください。右上にNVIDIA Geforce GTX1050 Tiとあります。
▼こちらはHIWiNFOの詳細画面でのNVIDIA Geforce GTX1050 Tiの情報。
▼PCIe SSDの情報。MINISFORUMとあるものの、メーカー名・型番は確認できず(Windows 10のデバイスマネージャーでも確認できず)。
▼メモリはKingston製、DDR4-2400 / PC4-19200。
▼Geekbench 5でのCPUの情報。
付属品
付属品は、ディスプレイ接続用のケーブル、VESAマウントのブラケットのほか、天板のネット(外観の段落を参照)まで付属しています。
▼正式販売版では外箱が変更となるかもしれませんが(UM300の外箱とは大きく異なることによる想像)、程よく保護された、本体の倍ほどはある外箱に付属品一式が収まっています。
▼外箱が大きい理由の一つは大きなACアダプター 。電源コードは分割式、電源部分は 16.8 x 6.9 x 4.2cmの大きなもの。第9世代のデスクトップ向けCPU、Geforce GTX1050 Tiを安定動作させるためのものであり、この大きさは安心感につながります。
▼VESA取付用のブラケットにネジ、HDMIケーブルにMiniDisplayケーブルも付属しています。
▼後述しますが、天板のネットも付属。右の説明書は日本語表記もあり、メモリ・SSDの増設、CPUの換装手順についても簡易的に記載されています。
外観
外観の全般的なコメントとしては以下です。
- 先日レビューした「MINISFORUM UM300」など、一般的なミニPCの横幅が12〜13cmであるのに対し、H31Gは約15cm。数値で想像する以上に大きいのですが、冷却対応を考慮するとこのサイズは安心感があります。
- さすがに、第9世代のデスクトップ向けPCとGeforce GTX1050 Tiを搭載することもあり、底板と側板はスチール製で重厚感があります。
- UM300と同様に、MINISFORUMならではの造り込みのよさと、細かい部分への気配りなどはさすがです。
▼引用した「MINISFORUM UM300」の実機レビュー記事はこちら。
▼電源ボタン側。左側にあるのは「ヘッドホン/ヘッドセット/マイクジャック」、その右の小さな穴はリセットホール。USB機器の抜き差しを頻繁に行う私としては、この面にもUSBポートがあるとよかったのですが。
▲▼電源をオンにすると、電源ボタンが眩しいほどに点灯します。
▼左サイドは、カードスロット、ラインイン、マイクイン、イヤホンジャック
▼ポート部分を拡大。側板はスチール製ですが、スチール製でポート部分のへこみやスリットの部分の造形は、さすがにMINISFORUM。
▼右サイドにはポート類はありません。ちなみに、左右両サイドの上になるプラスネジは、内側の枠を固定するためのものだと思われます。外してみたのですが、天板が開く仕様ではないようです。
▼背面のポート類。
左から電源、HDMI、MiiDisplay、有線LAN、USB 3.0 x 4。右上にあるのは盗難防止ロック。
▲▼ポート部分を拡大。
▼私の好きな角度から撮影。
▼天板から撮影。ファンが2つ見えますが、見える範囲での実測では4cmのファンです。
▼こちらが付属しているネット。両面テープでの固定かと思いきや、マグネットにて取り付けます。両面テープの場合には取り外しが億劫になりますが、このあたりにも細かい配慮があります。
▼ネットを取り付けてみました。
▼サイズ感の比較として、概ね通常のサイズとなるUM300(MINISFORUM UM300 実機レビュー、Ryzen 3 3300U搭載でベンチマークはCore i3-8145U以上、静音仕様のミニPC)を重ねてみました。H31Gとの横幅の差は26mmですが、それ以上のサイズ差があるように感じます。
▼こちらはミニPCのなかでも特に大きい「CHUWI CoreBox (CHUWI CoreBox i5 実機レビュー、サクサク動作のCore i5-5257Uに豪華なヒートシンクを装備するミニPC)」との比較。
内部の構成、メモリ・HDDの増設
サンプル機はメモリ 8GBであったため、メモリの増設も兼ねて底板を外し内部の構成を確認してみました。
▼他の多くのミニPCと同様に、底面の四隅にあるネジを外すとマザーボード、各種スロットにアクセスできます。内側にある4つのネジ穴は、付属するVESA ブラケットの取付用です。
▲さりげないことですが、四隅のプラスネジはゴム足の下に隠れたものではなく、露出しているためにメンテナンスしやすい。
▲H31Gの底板を開く場合には、以下に留意する必要があります。
- ネジは大きく、通常のドライバー(精密ドライバーではない)を使用しますが、ネジをなめやすいので注意。
- ネジ紛失のリスクがなくよいことですが、ネジは完全に外れず緩めるのみです。
- 底板はポート部分のパネルと一体化しており、ポート部分のツメを外す必要があります。
▼底板を外した状態。マザーボードの反対側のヒートシンクやファン、Geforce GTX1050Tiも確認したくなりますが、受領直後であり、完全分解に近い対応となりそうなため、今回は止めておきます。
▼底板側のマザーボード全体。
左上は、2242サイズのSATA M.2 SSDの空きスロット、右は標準装備のPCIe SSD、中央は2.5インチ HDD / SSDの取付部分、その裏の上にメモリスロットがあります。
▲PCIe SSDにヒートシンクはありませんが、HWiNFOで確認したところ、ベンチマークで負荷をかけた際にも発熱は抑えられており、ヒートシンクを装着するほどではないようです。
▼上下逆となってしまいましたが、こちらは公式サイトで公開されているストレージの構成。
▼2.5インチのHDD / SSDはプラスチック製の枠で固定できます。この枠は4本のネジで固定されており、これを外すとメモリスロットにアクセスできます。画像右上のように、2.5インチ HDD / SSDのケーブルはグラつくことのないように固定されてる気遣いもあります。
▼メモリスロットにアクセスできました。ちなみに、前述のとおり外枠はスチール製です。
▼こちらは 2242サイズのSATA M.2 SSDの空きスロット。
▲▼市販品は 8GB x 2のようですが、今回はレビュー用のサンプル品であり 8GBの1枚。16GBへのメモリの増設、デュアルチャンネル化完了。
▼なお、以下のとおりメモリは2666MHzに対応。サンプル品のメモリは 2400MHz。
▲▼2.5インチのHDDは、枠におさめてケーブルを接続したのみですが、即完了。
ベンチマークスコア
続いてベンチマークスコアです。ハイエンドのミニPCですので、PCMARK 10 / 3DMARKも計測したかったのですが、インストール時に必須となるSteamの新規登録の画像認証が何度も失敗し、インストールできず。軽めのアプリでのベンチマークスコアです。
下記以外のベンチマークスコアは公式サイトを参照ください。PCMARK 10 / 3DMARKのスコアも掲載されています。
▼Geekbench 5のCPUベンチマーク。
▼CINEBENCH R20のスコアはこちら。
他のPCではCINEBENCH R20のスコアの結果にがっかりすることの多いですが、H31Gの場合にはSingle Coreの結果に満足です。
▼ドラクエベンチマークのスコア(標準画質)は「すごく快適」。
上はメモリ 8GB、下は16GBでの計測。CPU・GPU統合型の場合には、メモリ増設によりスコアはアップしますが、本製品(Core i5 9500F)は外付けGPUのため、スコアは誤差の範囲。
▲▼CrystalDiskMark v7によるPCIe SSDのスコアは控えめですが、以下のとおり ドライブの温度はベンチマーク計測時の最大でも66℃に抑えられています。高温になりがちなPCIe SSDですので、安定性などを考慮すると、このスコアもありです。体感的には、Read / Writeともに3000越えのSSDと比較しても、大きな相違を感じるものではありません。
▼一方、ベンチマーク計測時のCPU温度は最大 80℃。許容範囲となりますが、ボディはほとんど熱を持たず、冷却対応に問題はないように感じます。
体感レスポンス
Geforce GTX1050 Tiを活かすほどの作業を行っていないのですが、第8世代のモバイル向けCPUを搭載するミニPCと比較しても、一層 キビキビと動作していることを感じ取れます。後段に記載のとおり、ファンの音量は静音ではありませんが、この快適さの前ではファンの音量も些細なことに感じます。
主にライトユースでの具体的な体感レスポンスは以下です。負荷を要する作業を行っていないため、表現不足ですね。
- Google Chromeのタブの切替、画像の表示など、第8世代のモバイル向けCPUでも快適ですが、さらにキビキビと動作し、タブを切り替えた際の待たされ感は一切ありません。比較対象がよくないですが、Gemini LakeクラスのCPUがかなりの鈍足に思えてきます。
- 300MBクラスのアプリインストールもあっけないほどに短時間で完了。同クラスのPCIe SSDを搭載する、Gemini Lake クラスでは多少の待たされ感もありますが、メモリ・CPUも含めて総合的に機能している感があります。
- 今回は試していませんが、会社で関数大量使用・大容量のExcel / Accessをバリバリこなす端末として、本機と同クラスのPCを候補としていたのですが、十分以上でしょうね。
▼引用した第8世代のモバイル向けCPUを搭載するミニPCは以下。
ファンの音量、発熱
デュアルファンのため、ファンの音量を気にしていたのですが、大きな心配に及ばず。もちろん、ファンありでも静音を特徴とするミニPCほどに静かではなく、ファンは常時回転していますが、このスペックのミニPCとしては許容範囲の音量。
- 常時回転のファンの大きさ(回転数)は、感覚的には2段階。
- 低速の場合にはそれほど気にならないほどの音量ですが、高速回転時には多少気になる音量。
- 他のミニPC(私が所有するミニPCでは、ファン音量が大きめの製品)との比較では、以下の「CHUWI CoreBox」よりも静かで、「NVISEN Y-MU01」との比較では、トップの音量ではH31Gが静か(総合すると、NVISEN Y-MU01がより静か)。
▲▼より正確で感覚に頼らないファン音量の評価ができるよう「騒音計」を物色している私ですが、とりあえずスマホの上記アプリで計測したファン音量は以下。概ね常時 35db前後となっています。一方、上記で引用した「CHUWI CoreBox」の音量は概ね 45db前後。スマホアプリでの測定のため、dbの正確性には欠けると思いますが、相対評価は可能です。
まとめ
ミニPCに「Core i5 9400F / Core i5 9500F / Core i7 9700F」を搭載することのみでも驚愕ですが、さらにNVIDIA Geforce GTX1050 Tiを搭載するとは、当サイトで紹介することの多い「Eglobal」のミニPCでもあり得ない仕様です。
ベンチマークスコアもさることながら、ミニPCとしては大きめのボディサイズにファンを2つ装備することで、冷却対応も万全です。ファン音量がやや大きいものの、このスペックとスチール製の重厚感、さりげない気配りも加えた造りのよさに圧倒されます。
▼公式サイトの販売情報はこちら。ベアボーンも販売されており、 Core i5 9500Fの場合には約6万円
▼こちらは Core i3-9100のベアボーンの事例。GPU統合型で、メモリ・ストレージ・OSは別途用意する必要がありますが、39,980円と格安。手持ちのメモリなどを活かすにはよい選択肢です。
▼こちらは、UHDグラフィックス630を搭載の「H31」
▼ファンの音量についての追加記事。
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