今回レビューする製品は、LenovoのデスクトップPC「Lenovo IdeaCentre Tower 14IRR9」。デスクトップとしてはコンパクトな筐体にインテル 第14世代のCPUを搭載しています。
Lenovoさんからお借りしたレビュー機は、CPUにCore i7-14700を搭載するハイエンドモデルですが、エントリー構成のCore i5-14400を搭載するモデルは、メモリ 16GB / SSD 512GB / DVD スーパーマルチドライブを装備しつつも 8万円台半ばでの販売です。
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Lenovo IdeaCentre Tower 14IRR9、公式ストア
スペック
レビュー機の型番は「Lenovo 90X2003WJP」、そのスペックは下表となります。サイズは、約 145 x 288 x 340mmのコンパクトなもの。
CPU | Core i7-14700、P-Core 8 / E-Core 12、合計 20コア 28スレッド |
GPU | Intel UHD Graphics 770 |
メモリ | 16GB DDR5、2スロット |
ストレージ | 1TB SSD M.2 2280 PCIe-NVMe Gen4、空きスロットあり |
WiFi | WiFi6 対応 |
Bluetooth | 5.2 |
ポート類 | USB-C 3.2 Gen1、USB-A 3.2 Gen1、USB-A 2.0 x 3、HDMI、VGA、RJ45 イーサネット、 |
電源 | 310W/AC 100V(50/60Hz)、80PLUS PLATINUM |
サイズ | 約 145 x 288 x 340mm、約5.4kg |
OS | Windows 11 Home |
その他 | USB 有線接続のキーボード・マウスが付属 |
▲▼ポート類の構成です。統合型グラフィックスのために仕方がないとも思いますが、せっかくのデスクトップですので、映像出力はHDMIに加え DisplayPortが欲しかったところです。
▼英語表記ですが、「ハードウェア保守マニュアル」は以下です。マザーボードのレイアウトは48ページ目にあり、PCIe x 16、SATA ポートもあります。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。CPUはCore i7-14700、OSはWindows 11 Home
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
▲▼上の記事にて紹介の「HWiNFO」から抽出のシステム情報。クリックにて拡大できます。
▼上の画像のうち、CPUの情報を拡大。インテル 第14世代 Core i7-14700は、P-Core 8 / E-Core 12の合計 20コア 28スレッド、TDP 65W。
▼マザーボードのチップセットはB760、メモリはDDR5-5600の16GB
▼価格との見合いですが、GPUは統合型のIntel UHD Graphicsであることが寂しいところ。ただし、前述のとおり、PCIe x 16 スロットを備えており、後の内部の構成に記載していますが、ロープロファイルのグラボなら取付可能と思われます(試していないために断定ではありません)。
▼マザーボードの情報です。B760 チップセットのマザーバードの型番は「Lenovo 377E」とありますが、Lenovo 製と思われ、Webで詳細情報を検出できず。ただし、上の「ハードウェア保守マニュアル」の48ページに、マザーボードのレイアウトが記載されています。これによると、公式サイトの仕様に記載のない事項として、以下を備えています。
- PCIe x 16 スロット、PCIe x 1 スロット、SATA コネクター x 2
▲▼主だったパーツの構成を展開しました。
- メモリは Samsung M323R1GB4B0、DDR5 4800MHzの8GB x 2の16GB
- SSDは Samsung MZVL81T0HDLB
- ネットワークモジュールは RealTek RTL8852BE
外観
実機の外観について記載します。単体で撮影していますので 記事内の写真ではサイズ感がわかりませんが、以下のイメージ画像のとおり、サイズ 約 145 x 288 x 340mm、約5.4kgのコンパクトサイズです。一般的なMicro-ATX、あるいはMini-ITXのケースと比較すると幅が小さく、また、奥行きも長くないため、グラボを接続する場合には ロープロファイルの製品となります。
▼ホワイトの清潔感のあるケースです。なお、ファンも含めて RGBライトはありません。
▼前面の上半分を拡大。右上に電源ボタン、その下にポート類があります。ポート類は上から順に、3.5mm コンボジャック、USB Type-C 3.2 Gen1、USB-A 3.2 Gen1 x 2
▼下半分は何もありませんが、内部に吸気用のファンを備えています。
▼左サイドに通気口があります。ケースの素材は、樹脂製の前面パネルを除き スチールです。
▼背面は見やすいよう、横に寝かせて撮影。左上は排気用のファン、電源は写真右にあります。
▼ポート部分を拡大。ライン出力、HDMI、VGA、イーサネット、USB-A 2.0 x 4の構成です。映像出力として、DisplayPortが欲しかったところです。
▼しっかりしたゴム足周りの拡大です。
▼サイズ感のわかるよう、ロジクールのキーボードを並べて撮影しました。比較写真は未掲載ですが、所有するPCでは、自作のMini-ITXのPC(Mini-ITX用のケースを使用)よりもコンパクトです。
内部の構成
内部の構成について記載します。Lenovoさんからお借りした端末ですので、側板を外し確認できる範囲にとどめています。なお、繰り返しの掲載ですが、マザーボードのレイアウトは以下の「ハードウェア保守マニュアル」の48ページ目に掲載されています。
▼全体像です。ファンは、CPUファン、前後のファンの合計 3個です。
▼電源の仕様部分を拡大。310W/AC 100V(50/60Hz)、80PLUS PLATINUMの電源です。
▼横置きでの全体像です。サイズ 約 145 x 288 x 340mmと、特に横幅が小さいのですが、CPUファンとヒートシンクが小さいこともあり、内部の空間は広いです。なお、M.2 SSDは、左上のマルチドライブの下にヒートシンク付きで取り付けられています。
▼PCIe x 16スロットです。電源不要・ロープロファイルを考慮すると、やや上位のグラボの選択肢としては GeForce RTX 3050あたりでしょうか。ちなみに、Amazonで販売の「MSI GeForce RTX 3050 LP 6G、ロープロファイル」のサイズは D 69 x W 174 x H 42mmとあります。
▲右側に2230サイズのWiFi モジュールがあります。アンテナの抜け防止のアダプターもあり、丁寧な作りです。
▼CPUファンを拡大。上側に 2スロットのメモリ、その上のヒートシンク付きのM.2 SSDがあります。
▼背面の排気ファン周りを拡大。先ほど「空間は広い」と記載しましたが、このあたりの構成をみると、CPU ファンとヒートシンクをこれ以上 面積を大きくするのは困難とも思えます。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアです。CPUベンチマークは、以下のCore i7-14700Fを搭載する「Lenovo LOQ Tower 17IRR9」としました。Core i7-14700Fと本製品のCore i7-14700は、主に統合グラフィックス搭載(Core i7-14700には搭載)の有無の相違ですが、マルチコアのスコアは本製品がやや低くなっています。
Lenovo LOQ Tower 17IRR9 実機レビュー、Core i7-14700F / GeForce RTX 4060を搭載する格安デスクトップPC
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 2,053、マルチコア 13,525」。2つめのCore i7-14700Fと比較すると、マルチコアが低めに出ています。
▲▼以下の記事にて、これまで実機レビューしたPCで計測のGeekbench 5のスコアを一覧化しています。上の画像は上位のCPUのスコアですが(本製品のスコアは未掲載です)、Core i7-14700を搭載する「Lenovo IdeaCentre Tower 14IRR9」は、シングルコアでは3番目に高いスコアです。
なお、Core i7-14700 / Core i7-14700Fを搭載する他の製品は順位が下ですが、計測の際の環境(バックグラウンドでのシステム関連プロセスの動作など)により、スコアは変動します。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2,886、マルチコア 14,184」。2つめのCore i7-14700Fのスコアと比較すると、Geekbench 5よりもマルチコアのスコア差は小さいもの。なお、Geekbench 6と5では、ベースとなるPCのスペックと評価項目が異なり、Geekbench 6は5よりも高いスコアになります。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 2,051、マルチコア 18,731」。Geekbench 5と同様に、マルチコアがやや低めに出ています。
▼これまでに実機レビューした 主だったPCのスコアは、以下の記事にて一覧化しています。
CINEBENCH R23、ミニPCやノートPC 35製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
3DMARK
GPUは統合グラフィックスのために、ゲーム向けではありませんが、やはり 3DMARK Time Spyのスコアは933と 低いスコアです。実際に、ベンチマーク中の画像を見ていると、かなりカクカクとした動作です。AMD Ryzenの統合グラフィックスでの動きと比較しても、遅いことが即わかります。
PCMARK 10
PCMARK 10の総合スコアは6403。統合グラフィックスのために「Digital Content Creation」が低いですが、「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityのスコアは 8,583と高いもの(一般的な用途の指標は 4,500です)。
CrystalDiskMark
Samsungの型番「MZVL81T0HDLB」1TB PCIe 4.0 SSDの、CrystalDiskMarkによる読み書き速度は、Read 6191MB/s、Write 4770MB/sと、比較的 速い部類です。CrystalDiskMarkは 最大瞬間風速的な測定となり、実際の運用時の読み書きとは異なりますが、ご参考までの掲載です。
CPU 温度、SSD 温度、ファン音量
PCに負荷をかけた際の CPU 温度、SSD 温度、ファン音量について記載します。一度のみ、CPUのサーマルスロットリングが発動したこともありますが、全般的に良好です。
▼CINEBENCH R23にて、CPU 使用率を100%とした際のCPU 温度の最大は74℃。何度か計測しましたが、80℃未満で収まっています。CPU ファンとヒートシンクのサイズを見ると多少の不安も感じましたが、特に課題を感じません。
▼CrsytalDiskMarkにて計測中のSSD 温度は最大でも50℃台と、こちらも良好です。
▼iPhone アプリ「デジベル X」にて 簡易的に計測のファン音量です。ベンチマーク計測中の、CPU 使用率 100%とした際のファン音量は 平均 33dB。何度か計測し、これより大きくなることもありましたが、ほとんど気にならない音量です。
まとめ
約 145 x 288 x 340mmのコンパクトなデスクトップPC「Lenovo IdeaCentre Tower 14IRR9」の実機レビュー記事でした。Lenovoさんからお借りしたレビュー機は、CPUにCore i7-14700を搭載するモデルですが、エントリー構成のCore i5-14400を搭載するモデルは、メモリ 16GB / SSD 512GB / DVD スーパーマルチドライブを装備しつつも 8万円台半ばでの販売です。
8万円台のPCではハイエンドのミニPCも人気ですが、本製品の場合には当然ながらも拡張性も高く、CPUもインテル 第14世代のデスクトップ向けですので、在宅勤務などの普段使いでは十分です。また、Lenovo 公式ストアのカスタマイズ項目では掲載がありませんが、自作PCの代替として、ロープロファイルのグラボとの組み合わせなどのベースとしても面白そうな製品です。
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