今回レビューする製品は、CPUにHelio G99を搭載する防水防塵タブレット「AGM Pad 1」です。AGMは日本では馴染みのないブランドですが、海外通販のAliExpressでは人気ブランドの一つです。
防水防塵であるものの、一般的なタフネスタブレットのように太いバンパーはなく、470gの重量は一般的な10インチタブレットよりも軽量です。また、Helio G99とメモリ 8GB、UFS 2.2のストレージによりキビキビと動作し、日常使用の防水機能を備えたタブレットとしては程よい購入候補となります。
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AGM Pad 1のスペック
AGM Pad 1のスペックは以下となります。拡張メモリの機能を未搭載であるものの、物理メモリ 8GBに256GBのUFS ストレージと、本製品の特徴となる防水防塵を除いては、このクラスとしては一般的なスペックです。
なお、Amazon プライムビデオ / hulu / Netflixなどの動画配信サービスの視聴を主な用途としている方は、高画質再生可能な「Widevine L1(Android 端末における Widevineとは。概要とL1,L2,L3の相違、L1,L3の画質を実機で確認してみた)」に未対応であることに留意ください。
CPU | MediaTek Helio G99、6nm プロセス、最大 2.2GHz |
GPU | Mali-G57 MC2 |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB UFS |
ディスプレイ | 10.36インチ、解像度 2000 x 1200、IPSパネル、In-cell |
WiFi | 11a/b/g/n/ac |
Bluetooth / GPS | Bluetooth 5.2、GPS搭載 |
LTE | 対応 |
カメラ | リア 8百万画素、フロント 5百万画素 |
バッテリー容量 | 7000mAh、18W 急速充電 |
サイズ(本体) | 250.3 x 160 x 9.0mm、470g |
OS | Android 13 |
その他 | Dual Box 2スピーカー、IP68 / IP69K 防水防塵に対応 |
AGM PAD P1、Helio G99搭載 / 防水防塵に対応の10.36インチ Android タブレットの詳細スペック
▼上の記事にて製品の詳細情報を掲載していますが、IP68 / IP69Kの防水防塵に対応しつつも、250.3 x 160 x 9.0mm / 470gと、一般的な10インチタブレットのサイズであることが最大の特徴です。
実機のシステム情報
続いて、以下の記事にて紹介のアプリ「Device Info HW」を使用し実機から抽出のシステム情報を掲載します。
Android 端末のシステム情報抽出なら「Device Info HW」。無料アプリながらも広告なし、多くの情報を抽出可能
▼最下段に「フラッシュ=UFS」とあり、eMMC(この場合、フラッシュ=EMMC」と掲載)ではなく、高速なUFSであることがわかります。
▼Helio G99は、Cortex-A76 x 2 / Cortex-A55 x 6での動作です。GPUはMali-G57 MC2
▼10.36インチ、解像度 2000 x 1200のディスプレイのリフレッシュレートは 58Hz
▼AnTuTu ベンチなどの複数のアプリをインストールしていますが、ストレージの空き容量は 約218GBと余裕です。
外観
ダブレットは付属のケースに収まった状態で梱包されています。防水防塵でありつつも、タフネススマホ・タブレットのように大きなバンパー付きの製品ではなく、一般的なタブレットと同様の外観です。また、落ち着いたグレイの配色の金属製の背面で、質感、剛性ともに高いです。
なお、防水防塵であるため、USB Type-C ポートとSIM トレイには、しっかりとしたキャップが備わっています。
▼落ち着いた色合いの黄色の外箱です。
▼本体は付属ケースに装着されたうえで、ピッタリと収まったいます。
▼中央の内箱にACアダプター、ケーブルが収納されています。
▼ケース以外の付属品は、EUプラグのACアダプター、SIMトレイピン、USB Type-C to USB-A ケーブル、USB Type-C / イヤホンジャックの替キャップ
▲海外取り寄せの製品のため、Amazonでの販売品のプラグは未確認(EUプラグ or 日本プラグ)ですが、EUプラグの場合にも変換プラグは家電量販店や通販で安価で販売されています。
▼保証書とマニュアルです。マニュアルは多言語表記ですが、日本語はありません。
▼付属ケースの表面は、しっとした感触の触り心地のよいものです。純正品でもあり、質感は高く、各種ボタンやポート・スピーカーの位置も当然ながらもピッタリとフィットしています。
▼ケースの背面は半透明です。
▼10インチクラスの他製品に付属のケースと比較すると、ホルダーの枠の厚みは抑えられています。本体の脱着は、他製品と同様に硬めです。
▼背面は明るいグレイのアルミ製。質感は高いです。上の樹脂のブラックとの色の相違は明らかですが、明らかなツートンもデザインとしてはよいものです。
▲音量ボタン・電源ボタン・スピーカーの防水の作りは、目視では確認できず。
▼写真が暗く識別しにくいですが、1つめの写真のUSB Type-Cポートとイヤホンジャック、2つ目の写真のSIMトレイには防水キャップが備わっています。キャップの開閉は、防水のためにも硬めです。
▼付属のケーブル使用ではありませんが、USB-Cケーブルにて充電中。キャップがあるために、抜き差しは手軽ではないのですが、防水とのトレードオフですね。
▼カメラ周りを拡大。計測していませんが、カメラの出っ張りは目測で 2.5mm程度でしょうか。机上に置くと、多少斜めになります。
▼TFカード、SIMカードトレイのキャップ部分を拡大(実機より明るく映っています)。USB Type-Cポートのキャップも同様ですが、程よく硬いです。防水のため、緩すぎると不安になり、硬すぎると開け閉めに一手間要しますが、どちらかと言えば後者です。
▼付属ケースに装着し立てた状態です。角度調整はできませんが、使用中に倒れることはありません。
▲ケースに装着しても厚みは抑えられています。
ディスプレイ
他のタブレットのレビュー記事でも掲載していますが、UNISOC T606 / T616 / T618やHelio G99を搭載するミドルレンジの10インチタブレットでは、液晶の品質に大きな相違はないように感じます。本製品の液晶も鮮やかで色合いも一般的なよい液晶です。
なお、本製品にはフィルムは未装着、付属してないのですが、そのためか他のタブレットよりもタッチパネルが滑らかです。
▼付属ケースを装着しての撮影。他製品と同様に、周囲のものの映り込みは大きいです。なお、壁紙はブラックと明るい色の相違がわかりやすいよう、ダウンロードしたものに変更しています。
▼明るさはやや控えめのように感じます。私にとって、他のタブレットでは明るさ 70%程度でほどよいのですが、本製品では80%あたりで使用しています。
▼当サイトのトップページを表示して撮影。背景の白がやや際立つようなイメージもありますが、クセのない色合いの液晶です。
▼この角度から見た場合、左上の色合いが多少変化しているかもと感じる程度。視野角は広いです。
ベンチマークスコア
AnTuTu ベンチマーク v10、Geekbench 6、ストレージのベンチマークスコアを掲載します。なお、参考指標として、以下の記事で実機レビュー、10インチクラスとして搭載事例の多い UNISOC T618の「ALLDOCUBE iPlay 50 2023モデル」のスコアも掲載しています。
Alldocube iPlay 50 2023モデル 実機レビュー、低価格ながらもAnTuTu スコアは約29万、鮮やか液晶の10.4型 Android 13タブレット
AnTuTu ベンチ ver 10、3D Liteをダウンロード・インストールする手順
▲▼Helio G99 / AnTuTu ベンチ v10では 通常の3Dを計測できず、3D Liteをインストールしての計測です。スコアは 406,566と、こちらで計測のHelio G99のスコアと同水準です。
▲下の「UNISOC T618搭載のiPlay 50 2023モデル」と比較すると、約10万ほどの差があります。動画視聴やSNS関連の軽いアプリでは 大きく体感できるものではありませんが、僅かなレスポンスの相違の積み重ねが、相応の差になっているイメージです。
▼Geekbench 6のスコアは「シングルコア 724、マルチコア 1985」。2つめの画像は UNISOC T618ですが、シングルコア / マルチコアともに大きな差があります。
Androidでストレージの速度計測なら「CPDT Benchmark」、メモリの速度も計測可能で、機種により大きな相違も
▲▼上の記事で掲載の「CPDT」アプリで計測のストレージの読み書きは、「Write 444MB/s、Read 613MB/s」。製品紹介にストレージの種類(eMMC / UFS 2.1 / UFS 2.2)の記載はありませんが、スコアからUFS 2.2だろうと思われます。なお、PCでのSATA SSDのスコアは500MB/s前後であり、ReadはSATA SSDより高速です。
▼こちらの画像は eMMCを搭載するタブレットの速度ですが、Writeの場合には 444MB/s vs 142MB/sと明らかな差があります。
Android 端末における Widevineとは。概要とL1,L2,L3の相違、L1,L3の画質を実機で確認してみた
▲▼スペックの段落で記載のとおり、Amazon プライムビデオなどが高画質再生(FHD)となる「Widevine L1」には対応せず、L3のSD画質となります。ただし、私としてはSD画質の場合にも、それほど粗さを感じません。
体感レスポンス
私のタブレットの用途は、Web サイトのブラウジング(記事編集、画像編集を含む)、SNSや買い物関連の軽いアプリ、YouTube / Netflx / huluでの動画視聴程度ですが、この範囲での体感レスポンスは以下となります。
- 上記の範囲では(負荷を要するアプリは未使用)、ストレスなくキビキビと動作します。
- 上記に関連し、AnTuTu ベンチスコア 50万のスマホや メイン利用のiPhone 12 Pro Maxと比較しても、(私のライトユースにおいては)遜色ないレスポンスです。
- 下位のタブレットにおいては、スリープからの復帰時の画面表示がもたつくこともありますが、本製品ではその現象もありません。
- レスポンスとは関係ないのですが、ディスプレイにフィルムが装着されていないためか、手元にある他のタブレットと比較すると、スクロールなどが滑らかです。
- ストレージの読み書き速度から察すると、高速なUFS 2.2を搭載しています。体感的には eMMCやUFS 2.1と比較すると顕著な差ではないものの、大容量アプリのインストール時に高速なことを感じます。
LTE接続
サブ回線として運用している「OCN モバイル One」のSIM(ドコモ回線)にて、回線速度を計測してました。OCN モバイル Oneはドコモ傘下となりましたが、「AGM Pad 1」のアクセスポイント・設定(旧SIM情報)がプリセットされており、SIMを挿入後に即利用可能です。
▼千葉市郊外の自宅(電波強度は強くない)での回線速度は、27Mbpsと他のスマホ・タブレットと同水準以上の速度です。
▼OCN モバイル ONEは、NTTドコモとの合併により、新規申し込みを停止しています。繋がりやすさとタブレットでも使用できる汎用性では、私の家族が利用中の「ahamo」、あるいは「Y!mobile」がおすすめです。
スピーカー
上の写真のとおり、スピーカーは横持ちでの両サイドに配置されています。YouTubeやhuluの動画を視聴したうえでの、スピーカーのコメントは以下です。
- 音質としては、高音・低音に偏ることもなく、標準的な音質。スマホで多い シャカシャカした音質ではなく、長時間使用して疲れてしまうこともありません。
- 音量は少し小さいように感じます。音量 3割ほどでは聞き取りづらく、PCで作業中に手元に置いた場合には、7割ぐらいの音量で程よいもの。ただし、音量最大にすると、それなりの大きな音量となり、実用上の課題ではありません。
カメラ
このクラスのタブレットのリアカメラは、13百万画素、あるいは8百万画素を搭載する製品が多いのですが、本製品は後者の8百万画素です。スマホと比較すると低画素であるため、メモ書き代替となりますが、撮影した画像は多少色合いが暗くなる程度で、メモ書き代替としては十分です。オートフォーカスは多少の待ちがあるものの、低画素・UFSストレージもあってか、即保存となります。
防水機能
使用して10日ほどであるため、防水機能においては水に浸しての確認ではなく、水道水を弱めに流してキャップのある部分の防水を確認してみました。結果として、当然ながらも水が入り込むこともなく、防水できています。
なお、キャップのはめ込みが硬いため、水回りの場所での使用はキャップをしっかり閉めるよう注意が必要です。
まとめ
IP68 / IP69Kの防水防塵に対応にして 470gと軽量、Helio G99 / メモリ 8GB / UFS 2.2 ストレージにより キビキビ動作の「AGM Pad 1」。
過酷な条件のもとでの使用には向きませんが、水回りにそれほど気遣いなく使用できることが大きなメリットです。
2023年8月26日現在の価格は、AliExpressが 179.99ドル、Amazonが 24,000円と、他のHelio G99を搭載するタブレットよりも お手頃の価格です。
なお、日本では馴染みのない「AGM」ブランドの製品ですが、AliExpressでは100ドルクラスのスマホから、多機能・ハイエンドなタフネススマホまで、多くの製品が展開されており、人気ブランドの一つです。また、AliExpressでのレビュー数・販売個数から、「AGM Pad 1」の人気も上々のようです。
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