
今回 実機レビューする製品は、13.3インチのWindows ノートPC「VersaPro J UltraLite タイプVN」です。約993g(実測 976g)と軽量であることが最大の特徴ですが、CPUにCore i5-1335Uを搭載し、メモリは16GBのオンボード。普段使いにおいてはサクサクと動作します。
また、キーボードのタイピング感もよく、ThinkPadよりも深めのストロークで確実な打鍵感があり、快適に高速タイピングできています。
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今回のレビューはメーカーからお借りした製品に基づくものであり、記事に記載のスペックと価格は、2025年11月8日現在のものです。レビュー機の構成の場合、以下のオンラインストアに掲載のクーポンコードの利用により、174,350円です。
VersaPro J UltraLiteタイプVN、公式オンラインストア
スペック

スペックは下表となります。下表のスペック以外では樹脂製の筐体ですが、上の画像のとおり、キーボードの裏面には金属製のプレートを装備し補強しています。また、満員電車での圧迫を想定し、耐150kgクラスの頑強設計、76cmからの耐落下試験もクリアしているとのこと。なお、2024年8月に発表のモデルとなります。
| CPU | Core i5-1335U、10コア(Pコア 2 Eコア 8)12スレッド |
| GPU | Intel Iris Xe Graphics |
| メモリ | LPDDR4X 16GB オンボード |
| ストレージ | M.2 256GB PCIe SSD |
| ディスプレイ | 13.3インチ IPS、解像度 1920 x 1200、アスペクト比 16 : 10、非光沢、100%sRGB |
| WiFi | WiFi 6E対応 (11ax/ac/a/b/g/n準拠) |
| Bluetooth | 5.3 |
| ポート類 | USB Type-C 3.2 Gen2 x 2(給電、映像出力対応)、USB-A 3.2 Gen 2 x 2、HDMI、SD カードスロット、有線LAN |
| サイズ | 300.6 × 216 ×18.7mm、約993g |
| OS | Windows 11 Pro |
| その他 | 顔認証に対応 |
▼USB Type-Cを電源ポートとする場合、コネクタへ負荷が生じ破損する事例もありますが(Webで検索すると複数ヒットします)、金属製プレートで補強されています。

▼「外観」の段落にて写真を掲載していますが、薄い筐体にもかかわらず 有線LANポートを備えています。

▼実際使用で感じるメリットの一つが、キーボードのタイピング感がよいこと。ThinkPadと比較するとストロークが深く、確実な打鍵感があります。

▼公式サイトでのスペック上の重量は約993gですが、実測では976gでした。

なお、当モデルはカスタマイズ可能なモデルであり、以下を変更することができます。
- メモリは、8GB、16GB、32GBの三択
- SSDは、256GB、512GB、1TBの三択
- リチウムイオンバッテリーを、MからLに変更可能
- 指紋認証の追加
- マウス、Microsoft Officeの追加
- 保証関連
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」より。もちろん、仕様どおりに、CPUはCore i5-1335U、メモリ 16GB、SSD 256GB、OSは Windows 11 Pro。Homeではなく Proの搭載です。


▼13.3インチ FHDの液晶ですが、拡大/縮小は150%、私にとっては程よいサイズです。

HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
フリーソフト「HWiNFO」利用による Windows PC バッテリー劣化度の表示事例
▲以降の画像は、上の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出したものです。
▼システムの概要ですが、クリックにて拡大できます。
▼上の画像からCPUの情報を拡大。Core i5-1335Uは、Pコア 2 Eコア 8の合計 10コア 12スレッド、TDP 15W、L3 キャッシュは12MB。

▼メモリはLPDDR4 オンボードの16GBとなり、換装・増設できません。

▼統合型GPUは Intel Iris Xe Graphics。この世代の統合型GPUは、AMD Ryzen(Radeon)と比較すると実力は控えめです。

▼液晶は大手ブランド「BOE」の型番「NV133WUM-N67」です、Panelook サイトで確認したところ、100%sRGBの広色域の液晶です。実機の一見ではやや淡い液晶に感じたものの、写真などの表示は実際の色に忠実です。

▼256GBのPCIe 4.0 SSDは「SAMSUNG」ブランドの「MZVL4256HBJD-00BL7」。型番と「ベンチマークスコア」の段落で掲載の読み書き速度から、上の2280サイズのM.2 SSDと思われます。

▼バッテリーの設計容量は 31110mWh。「消耗レベル」の項目がありますが、「HWiNFO」では バッテリーの劣化度を確認することもできます。ちなみに、今回の事例では 劣化度0.3%です。

外観のチェック
液晶・キーボード以外の外観について記載します。写真ではやや明るめのブラックに見えますが、実機はもう少し暗めの艶消しブラックです。筐体の素材は樹脂ですが、低価格な製品のありがちなチープさは感じません。

▲▼左サイドは左から、USB Type-C 3.2 Gen 2 x 2(PD / DP対応)、SD(SDHC/SDXC)メモリーカードスロット、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T 有線LAN。USB Type-Cポートは2ポートとも、充電・映像出力を確認済です。


▲▼右ポートは左から、ヘッドフォン/ヘッドフォンマイク ジャック、USB-A 3.2 Gen2×2(1ポートはパワーオフUSB充電機能付き)、HDMI、ケンジントンロック。

▼天板は ThinkPad ライク(ピーチスキンではありません)な艶消しブラックです。天板・底板ともに、油脂の付着はやや目に付きやすいです。

▼天板・底板ともに樹脂製です。11本のプラスネジで固定されています。上下のゴム足は長いもの、スピーカーは前側に2つ装備しています。

▲2スピーカーは、底板前面の左右に備わっています。

▲▼サイドの形状を見ると、(NECはLenovoの傘下ですので)LenovoのPCと共有化されているように感じます。


▲▼冷却においては、底面から吸気しヒンジ側から排出する仕様です。「CPU 温度、ファン音量」の段落に記載していますが、負荷をかけた際のCPU 温度はやや高めに推移し、サーマルスロットリングが発動することもあります。

▼液晶を開くと本体が持ち上がるリフトアップ構造が採用され、タイピングを考慮しキーボードに角度がつくのと同時に、底面の吸気スペースを確保しています。

液晶のチェック

前述のとおり、13.3インチの液晶は「BOE」の型番「NV133WUM-N67」。以下の仕様です(型番から Panelookサイトでの確認)。
- 13.3インチ、IPS、非光沢
- 色域 100% sRGB、輝度 400 cd/m²
- コントラスト比 1500:1
- 60 Hz リフレッシュレート
約10日間の使用感は以下です。
- 非光沢でもあり それほど鮮やかさは感じませんが、寒色・暖色にも寄らず(僅かに暖色寄りか)、よい発色の液晶です。
- 上記で「鮮やかさは感じませんが」と記載しましたが、逆の意味ではオフィス作業にマッチする落ち着いた色合いの液晶です。
- 100% sRGBの広い色域であり、写真などの色の再現性は高いです。
- アスペクト比 16:10の液晶ですので 縦の表示領域が広く、ブログ記事の編集などで重宝します。
▼広い視野角のIPSパネルですので、この程度の角度では色相の変化はありません。

▼左右のベゼル幅は狭い一方、上のベゼルはベゼル内にWeb カメラが収まっているため、やや太めです。

▼当サイトのトップ画面を表示。私は写真などの色の再現性は、見慣れた当サイトにて確認することが多いのですが、100%sRGBの広い色域でもあり、色の再現性は高いです。


▼ディスプレイは、こちらのようにフラットにすることができます。フラットにした場合にも、色相は大きく変化していません。

キーボードの使用感

これまで多くの13.3インチ Windows ノートPCを実機レビューしてきましたが、本製品のキーボードはかなり快適な部類です。キーピッチ19mm、キーストローク1.5mmのキーボードですが、直近のLenovo ThinkPadよりもストロークは深く 確実な打鍵があり、ThinkPad以上にリズミカルに高速タイピングできています。
- 横幅いっぱいに広がるキーボードにより、キーピッチ 19mmを確保。1.5mmと深めのキーストロークとあわせて、快適なタイピングが可能です。
- キーの押し込み感・戻り感ともに良好。直近のThinkPadはキーピッチが浅くなりましたが、浅くなる前(2019年あたりまで)のThinkPadに近い打鍵感です。
- 上記により、リズミカルで高速なタイピングが可能。
- キートップは上質であるものの、油脂の付着は目立ちやすいです。
- NECはLenovoの傘下でもあり、Lenovo IdeaPadのタイピング感に近いです。

▲▼キー配置に違和感のない、一般的なレイアウトのキーボードです。なお、私はタッチパッドの使用頻度は少ないのですが、良好な使用感です。

▼文中で引用の「直近のThinkPad キーボード」の事例です。
ThinkPad E14 Gen 5 実機レビュー、Core i7-1360P / 2.2K 解像度モデルは快速・快適、タイピング感も上質
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 実機レビュー、約986gの軽さを即実感、PCIe 5.0 SSDのReadは13,622MB/sと強烈
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。省電力のモバイル向けでもあり、ゲーミングのベンチマークにおいては「ドラクエベンチマーク」に留めています。なお、比較対象は 13インチで約 966.5gと、本製品と同様に軽量、以下の記事にて実機レビューの Core i5-1340Pを搭載する「ThinkPad X1 Nano Gen 3」です(終売の製品です)。
ThinkPad X1 Nano Gen 3 レビュー、軽量・キビキビ動作に加え、想像以上に快適タイピング・静音なバランスのよいモバイルPC
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1662、マルチコア 7185」。2つめのCore i5-1340Pを搭載する「ThinkPad X1 Nano Gen 3」とシングルコアは同水準であるものの、マルチコアは大きな差があります。


PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
▲上の記事にて、これまでに実機で計測の主だったCPUのスコアを一覧化しています。このなか、シングルコアのスコアが近いところでは、Core i7-1260P、Core i5-13500H、Core i3-1215U、Core Ultra 5 125Hなどがあります。デスクトップ向けのAMD Ryzen 7 5700Xよりも高く、在宅勤務などの普段使いでは十分です。
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2307、マルチコア 7512」。Geekbench 6と5では、評価項目やスコア判定のベースとなるPCのスペックが異なり、Geekbench 6は5よりも高いスコアとなります。
2つめのCore i5-1340Pのスコアとの比較では、Geekbench 5と同傾向となり、マルチコアのスコアに開きがあります。


CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1459、マルチコア 6838」。計測環境がよくなかったのか、シングルコアのスコアも低めになっています。


CINEBENCH R23、ミニPCやノートPC 35製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
▲上の記事にて、これまでに実機で計測の、主だったCPUのスコアを一覧化しています。このなか、シングルコアのスコアが近いところでは、Apple M1、Core i7-11390Hです。前述のとおり、計測したスコアは実際よりも低くなっている感があります。
PCMARK 10
PCMARK 10の総合スコアは 4,960。Digital Content Creationがやや低く、全般的に高くはないのですが、オフィスワーク向けのシステム推奨の目安は「Productivity = 4,500以上」のところ、本製品は6,713となり、在宅勤務などでは十分です。

ドラクエベンチマーク
Core Ultra シリーズ 2となると統合型GPUの実力も向上していますが、Core i5-1335Uにおいては AMD Ryzenの統合型GPUに敵わず。ゲーム関連のベンチマークは軽めのドラクエベンチマークのみの掲載です。スコアは「普通、4,363」と控えめなスコアです。

CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkでの読み書き速度です。Readは3,368MB/sと標準的ですが、Writeは1,287MB/sとReadと開きかまあります。ただし、体感での影響はありません。

体感レスポンス
私の普段使いでの体感レスポンスを記載します。
- Web サイトのブラウジング、動画視聴、在宅勤務でのデータ量・関数の多い ExcelやAccessなどの普段使いでは、上位機と遜色なく動作します。
- 自作PCで人気のAMD Ryzen 7 5700X(私も所有しています)と比較しても、上記の普段使いでは よりキビキビと動作するイメージです。
- キーボードのタイピングが快適なため、上記のレスポンスとあわせて、作業は捗ります。
サウンドのチェック

上の写真のとおり、2スピーカーは 底板の手前(タッチパッド側)の左右に装備しています。音質をアピールする製品ではなく、サウンドは ノートPCとしては一般的です。
全般的に、低音よりも中高音重視のサウンドであるような感覚です。音量も一般的であり、音量を上げると多少の音割れがありますが、許容範囲です。
USB Type-Cのチェック
フル機能のUSB Type-Cを2ポート装備しています。充電ポートとしても利用するものですので、充電・給電が機能することは当然として、27インチ 4K モニターへの映像出力について確認しましたが、両ポートともに安定動作しています。
▼私はノートPCの場合、上側に外部モニターを接続して使用することが多いです。2つめの画像のとおり、4K@60Hzで出力でき、安定動作しています。


顔認証のチェック

有効画素数92万画素 / HD解像度(7209P)のカメラによる 顔認証に対応しています(指紋認証はオプション扱い)。顔の登録には多少の時間(2,3分)を要しましたが、顔の認証は速く確実で、ほぼ顔認証によりログインできています。
CPU 温度、ファン音量のチェック
記事の編集、Web サイトのブラウジング、動画視聴などにおいては静音なPCです。一方、ベンチマークなどで負荷をかけた場合(CPU 使用率 100%)、CPU温度は100℃近くとなり、サーマルスロットリングが発動した形跡もあります。ただし、通常時には、それほどCPU 温度が上がることなく推移しており、特に懸念する必要はないとの認識です。
▼フリーソフト「HWiNFO」で計測のCPU 温度。負荷をかけた場合の事例ですが、最大温度は 96℃、サーマルスロットリングも発動しているようです。

▼iPhone アプリ「デジベル X」にて計測の、負荷をかけた場合のファン音量です。平均 38dBと喧しく感じるか否かの微妙なところ。

まとめ
2024年8月に発表の13.3インチ 軽量ノートPC「NEC VersaPro J UltraLite タイプVN」の実機レビュー記事でした。Core i5-1335Uを搭載し、メモリは16GBのオンボードですので、普段使いではサクサクと動作し、100%sRGBの液晶とバランスのよいノートPCです。
私が特に評価する事項は、キーボードのタイピング感。Lenovo ThinkPadよりもストロークは深く、確実な打鍵感のもと、リズミカルに高速タイピング可能です。既に終売となりましたが、以下の13インチの軽量ノート「ThinkPad X1 Nano Gen 3」が現在も販売されていた場合、「NEC VersaPro J UltraLite タイプVN」をおすすめするほどに快適です。
ThinkPad X1 Nano Gen 3 レビュー、軽量・キビキビ動作に加え、想像以上に快適タイピング・静音なバランスのよいモバイルPC
ThinkPad X13 Gen 6 スペックのまとめ。約933gの超軽量、エントリー構成でも基本スペックは十分。Gen 5との簡易比較も
レビューした製品はこちら
今回のレビューはメーカーからお借りした製品に基づくものであり、記事に記載のスペックと価格は、2025年11月8日現在のものです。レビュー機の構成の場合、以下のオンラインストアに掲載のクーポンコードの利用により、174,350円です。



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