注目の「AMD Ryzen AI 9 HX 370」を搭載するミニPCですが、主要ブランドのMINISFORUM、GMKtec、Beelink,AOOSTAR、ACEMAGICの5製品が出揃いましたので、スペックと機能の相違を記載します。5製品ともに基本スペックは概ね同じですが、ポート類、SSDスロット数、追加機能に相違があります。
5製品のスペック比較
5製品のスペックと機能は下表となります(全て、メモリ 32GBのセットモデルで統一しています)。画像での表示ですが、クリック・タッチで拡大できます。なお、主な相違、特徴となる箇所に黄色網掛けしています。
5製品の主な相違を補足すると以下となります。個人的な見解では、機能と後述のデザインの双方にて「MINISFORUM AI X1 Pro」が一歩リードとの認識です。ただし、価格は機能などに応じて、他製品より1万数千円ほど高いもの。
- GMKtec / AOOSTAR / Beelinkの製品のメモリがオンボードであるのに対して、MINISFORUMとACEMAGICの製品は2スロット。必要に応じて、メモリを換装することができます。
- ストレージは、ACEMAGICの製品のみ PCIe 3.0。ただし、PCIe 4.0に対応しています。
- MINISFORUMとACEMAGICの製品は、USB4を2ポート搭載しています。
- MINISFORUM / GMKtec / AOOSTARの製品は、OCulink ポートを搭載。これにより、USB4よりも速い転送速度で、外付けグラボを接続可能です。
- MINISFORUMの製品は、指紋認証・Copilot ボタン・電源をビルトインと、ミニPCとしての機能は全部入り。
- ACEMAGICの製品のみ、筐体の素材を未確認です(公式サイトに明記なし)。
▼OCulink 経由での外付けグラボですが、以下のドッキングステーション「MINISFORUM DEG1」をおすすめします。私は同社の他のミニPC(UM890 Pro)に接続していますが、安定動作しています。また、アルミ製の筐体であり、その質感はすこぶる高いです。なお、別途、電源とグラボを用意する必要があります。

5製品の特徴
5製品の詳細はそれぞれの個別記事に掲載していますが、ここではあらためて、各製品の大きな特徴を記載します。
MINSFORUM AI X1 Pro
前述のとおり、3基のM.2 SSD スロット(空きスロットは2つ)、メモリは換装可能なスロット形式、USB4を2ポートとOCulink ポートを装備、ミニPCとしては珍しく 指紋認証とCopilot ボタンを装備と、全部入りの製品です。
また、サイズは従来モデルのMac Miniとほぼ同じであり、丸みを帯びたデザインとブラックの背面を含めて、Mac miniを意識しているように感じます。
価格は他製品よりも高くなりますが、機能とデザインの双方にて、今回比較の5製品では一歩リードとの認識です。
▼前面にCopilot ボタン、前面と背面にUSB4 ポート、背面にOCulink ポートを備えています。電源をビルトインしていることも特徴の一つです。
M2 Mac mini 実機レビュー、外観編。11年前のインテル Mac miniと比較も。10年以上変わらないデザインは秀逸
▲▼こちらは、M2 Pro Mac miniの背面ですが、ほぼ同じサイズでシルバーに背面のブラックと、「MINSFORUM AI X1 Pro」は、従来モデルのMac miniを意識したデザインのように感じます。
▼製品の詳細記事はこちら。
MINSFORUM AI X1 Pro、Ryzen AI 9 HX370を搭載の「世界初 Copilot+ PC 認証 AI ミニPC」が発売に
▼2025年3月11日現在のAmazon 販売価格は 149,593円。
ACEMAGIC F3A AI 370
どちらかと言えば、エントリークラスの製品を多く展開する「ACEMAGIC」ですが、本製品をはじめ、ハイエンドの製品も展開しています。
セットモデルの基本スペックとしては、M.2 SSDがPCIe 4.0ではなく PCIe 3.0となります。ただし、読み書き 7000MB/sあたりのPCIe 4.0 SSDでもない限りは、PCIe 3.0 SSDと体感できるほどの相違はありません(私の他のPCの使用事例での、感覚的なものです)。
同社のミドルレンジからハイエンドのモデルは、RGBライトを装備する製品が多いのですが、本製品のRGBライトの装備は好みが分かれるところかと思います。
▼「MINSFORUM AI X1 Pro」と同様に、USB4を前面と背面に装備している一方、OCulink ポートは未装備です。
▼製品の詳細記事はこちら。2025年3月11日現在では 公式サイトにて、クーポン利用により 138,990円での販売です。
ACEMAGICより AMD Ryzen AI 9 HX 370を搭載のミニPC「F3A AI 370」が発売に。スロット形式のメモリ、USB4を2ポート搭載
GMKtec EVO-X1
「GMKtec EVO-X1」は、高さがあるために、イメージ画像では他製品よりも大きく見えますが、サイズは 110.19 x 107.3 x 63.2mmと 5製品中 最もコンパクトです。
USB4は1ポートのみとなりますが、同社の製品では搭載事例の多い OCulink ポートを搭載し、MINISFORUMとAOOSTARの製品と同様に、USB4よりも速い転送速度にて外付けグラボを接続することができます。なお、接続に際しては、他製品も共通して、ドッキングステーション・電源・グラボが必要となります。
▼他製品と同様に、メモリとPCIe 4.0 SSDの冷却用にシステムファンを備えています。画像左端の、脱着式のカバーも特徴の一つです。
▼製品の詳細記事はこちら。
GMKtec EVO-X1、Zen5, AMD Ryzen AI 9 HX370を搭載するミニPCの詳細スペック。2つのファンを装備し冷却も万全
▼セールの端境期のために 2025年3月11日現在は割高ですが、セール時には13万円ちょっとでの販売です。
AOOSTAR GT37
AOOSTARはGEM10 / GEM12なとのハイエンド寄りの製品を、他のブランドよりも やや低価格で販売することが多いです。この傾向は「GT37」においても変わらず、OCulink ポートを装備など機能は充実しつつも、Amazonでの価格は 135,100円と高くはない価格設定。
私個人としては、そのデザインにも惹かれます。同社では、OculinkとUSB4の双方の接続に対応する、「Radeon RX 7600XT」をビルトインの外付けグラボ ドッキングステーションを販売しています。以下の画像のとおり、「GT37」のデザインとの統一感があり、私としては「MINISFORUM AI X1 Pro」に次いで魅力に感じます。
▼製品の詳細記事はこちら。
AOOSTAR GT37、Ryzen AI9 HX370を搭載のミニPCが発売に。デザインのよい金属製 小型の筐体に OculinkとUSB4を装備
▼2025年3月11日現在の価格は 135,100円
Beelink SER9
ミニPCの老舗ブランド「Beelnk」の製品は、デザインも含めてオーソドックスなものが多いのですが、「SER9」においても その傾向ば変わらず。ミニPCとしては一般的なサイズの筐体に、2つのスピーカーをビルトインしているこのが大きな特徴です。その一方、Beelinkの他製品では搭載事例の多い、メモリとSSDの冷却用のシステムファンを装備していません。
▼システムファンを未装備ですが、SSDの冷却用にヒートシンクを備えています。Beelinkは他製品においても冷却に十分に考慮しており、システムファンを未装備による影響は それほど大きくないとも思えます。
▼製品の詳細記事はこちら。
Beelink SER9、Ryzen AI 9 HX370を搭載ミニPCのスペックと特徴。2スピーカーをビルトイン
▼2025年3月11日現在の価格は154,000円。2スピーカーをビルトインしていることを考慮しても、他製品より やや割高です。
まとめ
2025年3月12日現在、ミニPCとしてはハイエンドとなる「AMD Ryzen AI 9 HX 370」を搭載する製品の スペックと機能を比較してみました。私個人の好みとしては、デザインと機能に秀でた「MINSFORUM AI X1 Pro」、次いで 機能の割には価格を抑えた「AOOSTAR GT37」。
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