今回レビューする製品は、CPUにTwin Lake N150を搭載するミニPC「NiPoGi E2」です。メモリ 8GB、SSD 256GBの場合、Amazonでの最安時には 14千円台と、同CPUを搭載する製品のなかでも最安価格帯です。
この価格で、記事編集や画像編集、Web サイトのブラウジング、動画視聴などの普段使いでは、遅さを感じることなく動作します。また、価格の割には、シルバー塗装も含めて筐体は上質であり、背面のロック解除により開く天板も便利な機能です。
レビューする製品はこちら
2025年6月29日現在、Amazonでは クーポン利用により 14,399円で販売中(20%オフクーポンの利用。メモリ 8GB、SSD 256GBの事例)。
NiPoGi E2のスペック
スペックは下表となります。メモリとSSDの組み合わせは、今回レビューのメモリ 8GB / SSD 256GBのほか、メモリ 16GB / SSD 512GBのモデルも販売されています。
なお、N150を搭載するミニPCのなかでも 特に低価格の製品ですので、標準装備のSSDはPCIe 接続ではなく SATA、M.2 SSDの空きスロットがない製品となり、メモリは1スロットです。
CPU | Twin Lake N150、4コア 4スレッド |
GPU | Intel UHD Graphics |
メモリ | 8GB DDR4、1スロット、最大 16GB |
ストレージ | M.2 SATA SSD 256GB、SSDの増設不可 |
WiFi | デュアルバンド |
Bluetooth | 4.2 |
ポート類 | USB-A 3.2 x 2、USB-A 2.0 x 2、HDMI、DisplayPort、RJ45 有線LAN、3.5mm イヤフォンジャック |
サイズ | 100 x 100 x 36mm、270g |
OS | Windows 11 Pro |
▼映像出力は、HDMIとDisplayPortの2系統。私は手元にDPに対応したモニターが多いため、DP出力はありがたいです。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」より。もちろん、Amazonの製品紹介どおりですが、CPUはN150、メモリ 8GB、OSはWindows 11 Pro
▼以降のシステム情報は、以下の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」にて抽出したものです。後の段落で記載のCPU温度においても同ソフトを使用していますが、システムの詳細情報やCPU温度、ノートPCの場合には バッテリーの劣化状況も確認可能な優れたソフトです。
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
フリーソフト「HWiNFO」利用による Windows PC バッテリー劣化度の表示事例
▼システムの概要です。クリックにて拡大できます。
▼上の画像から CPU情報を拡大。Twin Lake N150は、4コア 4スレッド、ベースとなるTDPは6W
▼N150はDDR5 メモリにも対応していますが、本製品のメモリはDDR4 1スロット 8GBです。N150の場合、メモリ 2枚差しの場合にも、シングルチャンネルでの動作となります。
▼統合型のGPUは Intel UHD Graphics。ゲーム向けではありません。
▲▼メモリはDDR4-2666 / PC4-21300の8GB。8GBから16GBに換装する場合の事例として、上のメモリが適合します。なお、私の場合、本製品は記事編集をメインに使用しますが、メモリ 8GBでもレスポンスの悪化を感じないため、8GBのまま 使用する予定です。
▼製造元を確認できませんが、SSDはSATAの256GB。PCIe 3.0 SSDに換装もできますが、N150の制限により、PCIe 3.0 x 1での動作となり 速度が出ないため、SATAで十分です。
Windows 11、ライセンスのチェック
Windows 11 Proのライセンスは、ボリュームライセンスではなく、OEM_DM channelであり 安心です。
▼コマンドプロンプトを起動し、最後の>のあとに「slmgr/dli」をコピペし、キーボードのエンターキーを押下します。
▼結果は「OEM_DM channel」。ボリュームライセンスではありません。
外観のチェック
外観と付属品について記載します。Twin Lake N150のエントリークラス・低価格な製品のため、樹脂製の筐体ですが、15,000円未満の製品から想像するほどの安っぽさはなく、シルバーの塗装とあわせて、この価格としては十分な質感です。
▼シンプルな外箱に収納されています。最近は、上位機においても同様の外箱が増えてきました。コストカットのためにはよいことだと思います。
▼内部もコンパクトにまとまっています。
▼付属品は左上から、日本語表記もあるマニュアル、VESA マウント、AC アダプター、HDMI ケーブル、VESA マウントの取付ネジ。
コンパクトで270gの軽量でもあり、VESA マウントでのモニター背面への取付、省電力を活かして、常時電源オンの利用も便利そうです。
▼コンパクトな電源が付属しています。もちろん、PSEマークが表示されています。
▼Amazonの製品紹介の画像から、ミニPCとしては一般的なサイズを想像していたのですが、100 x 100 x 36mmのコンパクトな筐体です。
▲▼黄色のラベルは「セットアップに時間短縮のために、セットアップ時には WiFi あるいはLANへの接続は避けてください」との表示です。おそらくは、ライセンスと関係してことかと思いますが(前述のとおり、ライセンスはOEM_DM channelでした)。
▼前面のポート類は左から、電源ボタン、USB-A 3.2 x 2ポート、3.5mm イヤホンジャック。電源ボタン右のインジケーターは、電源オンで白く点灯します。
▼背面のポート類は左から、RJ45 イーサネット、HDMI、DisplayPort、USB-A 2.0 x 2ポート、DC。HDMIの上に、天板のロック解除が備わっています。右にスライドすることにより、天板を簡単に開くことができます。
▲▼左右の両サイドは大きな通風孔のみ。写真ではわかりにくいですが、上の画像のとおり、高さのあるヒートシンクが組み込まれています。
▼底板にも大きな通風孔がありますが、こちら側にCPUファンが備わっています。四隅のゴム足など、価格の割にはしっかりとした構造です。
▼あらためての全体像です。実機はより艶やかな塗装です。全般的に、樹脂製でありつつも 価格の割には上質な筐体です。些細なことですが、天板のNiPoGiのロゴも段差がなく 好印象です。
▲▼以下の記事にて実機レビューの、Ryzen 7 5700Uを搭載する同社のミニPCを並べてみました。かなりコンパクトであることがわかります。

内部構成のチェック
続いて、内部構成の確認です。天板を開けると内部のメモリ・SSD スロットにアクセスできますが、前述のとおり、HDMIの上にあるロックを外すと簡単に天板を外すことができます。
▼天板を外しました。2280サイズのM.2 SATA SSDは、「Rayson」なる初めて見るブランドです。
▲右側の天板裏の中央の部分はアルミ製のような、そうでないような微妙なもの。メモリとSSDの熱は こちらを通じて冷却されています。使用中に天板を外して触ってみると、熱を帯びていることがよくわかります。
▼天板の構造がわかるように撮影。取付時には、4つの突起を差し込んでロックします。
▼全体像です、銅色のヒートシンク状のパーツは、金属製ではなく樹脂製の、デザイン要素が大きいもの。ミニPCが流行り出す以前から、同様のデザインの製品は多いです。
▼取り外した DDR4 8GB メモリ、256GB SSDを拡大。SSDは片面実装です。メモリは、ミニPCへの搭載事例が複数ある「KINSOTIN」ブランドの製品です。
▼メモリとSSDの取り外し後。ヒートシンク状の枠の4本のネジを外してみましたが、はめ込みが硬く 取り外しての確認を行なっていません。
ベンチマークスコア
続いて、実機で計測のベンチマークスコアを掲載しますが、ゲーム向きではないあめに、3DMARKなどのゲーム関連のベンチは軽めのドラクエベンチマークにとどめています。
なお、比較対象は以下の記事にて実機レビューの、Alder Lake N100を搭載するミニPCです。全般的に、N100よりも低いベンチマークスコアですが(電源モードは「高パフォーマンス」)、N150 / N100などのエントリークラスのCPUでは、測定時の環境により ベンチマークスコアの変動幅が大きいです。測定結果から、概ね N150はN100と同水準と言ってよいと思います(N95 / N97も同水準)。
GEEKOM AIR12 Lite 実機レビュー、Alder Lake N100 搭載のミニPC、スチール製フレームや底板の作りの良さは上位機並み
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 962、マルチコア 2,734」。一方のAlder Lake N100は「シングルコア 991、マルチコア 2,734」と、特にマルチコアのスコアで差があります。
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 1,228、マルチコア 2,696」と、2つめのAlder Lake N100と比較すると、Geekbench 5と同様に マルチコアはN100が高いスコアです。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 861、マルチコア 2399」。こちらも、2つめのN100よりも低いスコアです。双方ともに、上位機と比較すると マルチコアのスコアが低いですが、これは 省電力の4コア 4スレッドのCPUであることも含めて、許容する必要があります。
PCMARK 10
PCでのアプリケーションの実行におけるパフォーマンスを計測する「PCMark 10」の総合スコアは 2,920。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4,500ですが、本製品は 4,601とクリアしています。
なお、Ryzen 8945HSのハイエンドのPCでは、Productivityは約2倍のスコアです。
ドラクエベンチマーク
ドラクエベンチマークでのFHDでのスコアは「重い、1,797」。やはり、軽量ゲームの場合も厳しいスコアです。
CrystalDiskMark
M.2 SATA SSDの読み書き速度は「Read 547MB/s、Wrtite 482MB/s」と、SATA SSDとしては標準的なスコアです。仮に PCIe 3.0 SSDに換装しても、Alder Lake / Twin Lakeでは PCIe 3.0 x 1での動作となり、読み書きともに 1,000MB/sあたり。この場合、SATA SSDと比較して体感できるほどではありません(SATA SSDで十分です)。
体感レスポンス
全般的な体感レスポンスとしては、上位のPCを使用後に本製品を使用した場合、Chromeの起動やタブの切替などの基本動作においても、キビキビ感に欠けるように感じます。ただし、記事編集などのライトユースにおいて、ある程度の時間を継続して使用すると、上位機とそれほど遜色ない動作であることを体感できます。
- Web サイトのブラウジングや、一般的な画質の動画視聴、記事や画像の編集では、遅さを感じることなく動作します。
- ただし、上記のとおり、基本動作において、若干の引っ掛かりを感じることもあります。
- 他のPCとの比較では、手元にあるAlder Lake N95 / N97 / N100、インテル 第8世代 モバイル向けのCore i5-8250U / Core i5-8350Uと同水準のレスポンスです。
- インテル 第7世代のモバイル向け以前のCPUと比較すると、引っ掛かりなどは大きく軽減されているのが わかります。
- Alder Lakeの前世代ともに言える、Jasper Lake、その前世代のGemini Lakeと比較すると別物のように、本製品での動作が機敏。特に、Windows 11 更新前後のシステムプロセスが走っている際に、本製品ではそれほどレスポンスの悪化を感じません。一方のJasper LakeやGemini Lakeでは、使用を止めたくなるほどに遅い動作になります。
- 普段使いでの SATA SSDは、読み書き 4,000MB/sのPCIe SSDと比較すると、大容量ソフトのインストール時に多少遅いかなと感じる程度。Windowsの起動・終了では遅さを感じません。
CPU 温度、ファン音量のチェック
CPU 温度とファン音量について記載します。室温 25度の環境において、通常の場合のCPU 温度は60度台、CPU 使用率 100%の場合には 最大 90度近くになり、瞬間的に サーマルスロットリングが発動することもあります。
なお、ファン音量はいたって静音、ほぼ聞こえないほどの音量ですが、負荷をかけた際の音量が変わらないのが気になるところ。ファン回転数がそれほど変化しないために、CPU温度が高めに推移しているように思います。
▼CINEBENCH R23にて、CPU 使用率を100%とした際のCPU 温度の最大は 88度。瞬間的に、サーマルスロットリングが発動しています。
▼CINEBENCH R23の計測中には CPU温度が 80度台で推移していますが、これほど負荷をかけることはなく、また、ベンチ計測後には温度が即下がるため、大きな影響ではありません。
▼iPhone アプリ「デジベル X」で計測のファン音量です。CINEBENCH R23のスコア測定時の音量ですが、負荷をかけた際にも極めて静音。ファン音はほとんど聞こえません。
まとめ
Twin Lake N150を搭載する「NiPoGi E2」ミニPCのレビュー記事でした。Amazonでのセール時には 15,000円未満(メモリ 8GB、SSD 256GB モデル)と低価格な製品ですが、記事編集などの普段使いでは、N100を搭載するミニPCと同様に遅さを感じることなく動作します。また、この価格としては、筐体の品質も高いもの。
あらためて、実機レビューのポイントを記載します。
- 100 x 100 x 36mmの筐体は、想像以上にコンパクト。
- コンパクトな筐体でもあり、M.2 SSDの増設はできません。
- メモリは1スロットですが、最大 16GBに換装可能。
- 価格の割には、シルバー塗装も含めて上質な筐体です。
- 背面のロック解除で天板が開く仕様は便利、メモリ・SSD スロットに簡単にアクセスすることができます。
- Windows 11 Proのライセンスは、ボリュームライセンスではなく、OEM_DM channelであり 安心。
- ベンチマークスコアは、Alder Lake N100と比較すると、マルチコアがやや低いスコアです(ただし、環境などに依存、他のN150では異なり傾向とも思います)。
- ハイエンドのPCと比較すると、基本動作において 引っ掛かりを感じることもありますが、Web サイトのブラウジング、ブログ記事の編集などの普段使いでは、概ね上位機とそん色なく サクサクと動作します。
- CPUファン音は、ほとんど聞こえないほどに静か。ただし、負荷をかけた際にも静音であり、CPU温度はやや高めに推移する傾向。
▼メモリ 8GB / SSD 256GB モデル(16GB / 512GB モデルもあり)の、2025年6月29日現在のAmazon 価格は、クーポン利用により 14,399円
コメント