マウスコンピューターのハイエンドノートとなる「m-Book W シリーズ」。17.3インチにCore i7-9750H、GPUはGeForce GTX 1650を搭載するW890のうち、256GB NVMe 対応のSSDを搭載するW890XN-M2SH2をマウスコンピューターさんからお借りし、約10日ほど使用しましたのでレビューします。
全般的には、ノングレアのIPSパネルは良好、レスポンスはノートPCとしてはこれ以上望むものはないほどに快適、タイピングも他のマウスコンピューター製PC以上に心地よく、ハイエンドのPCをお探しなら候補になる製品です。
なお、記載の仕様や価格は、2020年2月17日時点のものであり、今後 変更となることもあります。
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m-Book W シリーズ
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スペックとシステム情報
お借りしたW890XN-M2SH2のスペックは以下となります。冒頭のとおり、17.3インチに第9世代のCore i7-9750H、GeForce GTX 1650、PCIe接続 NVMe対応のSSDと、マウスコンピューターの製品のなかでも、とりわけハイエンドの製品です。
CPU | Core i7-9750H、6コア 12スレッド、最大 4.50GHz |
GPU | GeForce GTX 1650、インテル UHD グラフィックス 630 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 256GB PCIe NVMe対応 SSD、1TB HDD |
ディスプレイ | 17.3インチ、IPS、ノングレア、解像度 1920 x 1080 (FHD) |
WiFi | 11 ac/a/b/g/n |
Bluetooth | 5.0 |
ポート類 | USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1、USB Type-C(3.1)、HDMI、有線LAN |
Webカメラ | 100万画素 |
キーボード | 日本語キーボード (107キー/ ピッチ約18.2mm / ストローク約1.8mm) |
サイズ | 399.9×282.2×25.9mm、約 2.6kg |
OS | Windows 10 Home 64ビット、タッチパッドに指紋認証搭載 |
先日レビューした、以下のK700と異なる箇所に黄色網掛していますが、例えばキーボードのタイピング感やキーボードのバックライトのチューニングなど、スペック以外にも K700よりも優位な事項が複数あります。このあたりは以降の文面で記載しています。
▼Windowsの設定から抽出のシステム情報
▼HWiNFOで抽出したシステム情報。クリックすると拡大できます。
▲同じく HWiNFOから抽出のデバイスの情報(クリックして拡大できます)。スペック表に記載の事項以外に確認した事項は以下。
- メモリはKingston製
- PCIe SSDはWestern Degital製 (Drive Model: WDC PC SN520 SDAPNUW-256G)
- SATA HDDはSeagate 製(Seagate ST1000LM048-2E7172)
▲▼当サイトでPCの実機レビューを行う際には、必ず掲載しているHWiNFOの情報ですが、メモリやSSDの型番の表示や、CPUの温度の計測できる便利なソフトです。
HWiNFO、Win 10のデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフトの概要。投稿数15,000越えのフォーラムも充実
外観
15.6インチのK700と同様に、外観・デザインをアピールする製品ではないのですが、冷却対応などを考慮したうえで、マウスコンピューターらしい無難な外観となっています。なお、液晶とキーボードは、その使用感を含め後段に記載しています。
▲▼右サイドは左から USB 3.1、USB Type-C 。左右両サイドともに大きな通風孔があります。
▲▼左サイドは左から USB 3.0とUSB2.0。25.9mmと厚みがありますが、全体のサイズ感と冷却を考慮すると妥当な厚みでしょう。
▲▼背面は左から、Mini Displayポート、フルサイズのHDMI、有線LAN、電源。背面の両サイドに大きな通風孔があります。
▼全面プラスチック製ですが、天板とキーボード面はヘアライン加工されています。実機を操作中にはわからなかったのですが、写真を見て気が付くほどのさりげない加工です。
▼全体像。ディスプレイのベゼル幅の実測は、左右 7mm、上 18mm。数値上はそれほと狭いベゼル幅ではないのですが、17.3インチの大きなディスプレイのために数値以上に細く見えます。
▼ディスプレイを最大限拡げた様子。
▲▼背面は冷却対応のために多くのスリットがあります。また、下の画像のように銅製のヒートシンクを備えており、ベンチマークで負荷をかけた際にもCPU温度はそれほど上昇せず(計測したのですが、スクショを紛失)、CPUファンの音量も、GPUにかなりの負荷をかけない限りは静かなものです。
▼電源のサイズがわかるようマウスを置いていますが、本体のサイズからすると電源はコンパクト。
ベンチマーク
CPU、GPUのベンチマークはさすがに Core i7-9750HとGeForce GTX 1650の、ノートパソコン最強の組み合わせで強烈です。
ただし、K700も同様でしたが、PCIe / NVMe対応のM.2 SSDの接続は第2世代となり、第3世代ほどにスコアが伸びません。第3世代対応のSSDも高くはないため、ここは発熱などのリスクを考慮してのことだと思われます。
なお、GeForce GTX 1650を搭載することを特徴とする本製品ですが、GPU系のベンチマークを複数計測したものの、撮影したスクショを削除してしまいました。このため、掲載のベンチマークスコアは少なくなっています。
▼上はGeekbench 5、下はGeekbench 4のCPUベンチマークスコア。
▼こちらは同じくCore i7-9750Hを搭載のK700のGeekbench 5のスコア。誤差の範囲で同水準です。
▼CINEBENCH R20のスコア。普段、エントリークラスのCPUでランキングが底辺のスコアを見慣れた私としては、うれしくなるスコアです。
▼PCMark 10のスコアは4065
▲▼上は本製品、下はK700のPCIe接続 / NVMe対応 M.2 SSDのCrystalDiskMarkのスコア。双方ともに第2世代の接続であり、Read側のスコアはこの程度ですが(第3世代のスコアは3万越え)、本製品のWrite側のスコアが低くなっています。SATA接続と比べて体感できるほどではないものの、やや気がかり。
▼自宅のNuro 光でのWiFi速度は、他のPCと同水準。自宅近辺では最速と謳うNuro 光らしからぬ速度ですが。
▼Google Chromeを20個開いた状況ですが、さすがにCPU・メモリ使用率ともに低くなっています。
ディスプレイの視認性
K700も同様ですが、発色・明るさ・視野角ともにかなり優秀なディスプレイであり、課題などは全くないと認識。
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かなり前にレビューした上記のハイエンド機(現在は販売なし)では、せっかくの他のスペックを台無しにするほどのディスプレイでしたが、W890のディスプレイは以下のとおり安心。
- 発色は暖色・寒色の中間系の色合いですが、自然な発色で良好。
- 上の画像の角度や上から見ても、視野角は良好。
- ノングレアパネルであり、正面から見た場合の映り込みはほとんどありません。
- 明るさも過不足なし。
- 17.3インチでFHDの場合、テキストを拡大するとシャギーさが出てきてもおかしくないのですが、本製品の場合にはそれも感じず。
▼正面から見ると、ディスプレイの視認性のよさ以外にも、大きなディスプレイに実測のベゼル幅 左右 7mmの細さが際立ちます。
キーボードの質感・タイピング感
キーボードの面積が大きすぎ、全体の写真を撮影しにくいために横からの撮影です。全般的には質感もわるくなく、キーピッチは大きくないのですが、タイピング感はK700以上に良好。
質感と機能性
▼キーピッチ約18.2mm / キーストローク約1.8mm、キーサイズ 15mm、ベゼル幅 34mm。テンキーがあり、しかもベゼル幅が太めなため、17.3インチの割にはキーピッチとサイズが小さくなっています。
▲バックライトオフの状態ですが、白の縁取りがよいアクセントに。
キーボードのバックライト、その他のショートカットキーが多様なため、キーを見たのみではショートカットの組み合わせがわからず操作しにくいのですが、以下の立派なソフトが備わっています。
▼LED Keyboardの設定やショートカットのほか、ファンスピードも制御できます。
▼使用目的と周囲の環境などに応じて、静音モード・パフォーマンスモードなど、4種類から選択できます。
▼キーボードにマクロなどを割当可能。
▲キーボードのバックライトの色や明るさ、スリープタイマーも備わっています。
▼こちらはレッドとブルーのバックライトの事例
タイピング感
私が苦手なテンキー付きのキーボード。というのも、記事編集のために大量のタイピングを行うのですが、EnterキーやDeleteキーをタイプする際にテンキーと間違えることがしばしば発生します。
W890でも同様にタイプミスも生じましたが、本格利用の場合には以下のフリーソフトなどで制御できます。
全般的にはタイピングが良好なキーボードですが、より具体的には以下。
- ほどよい弾力性があり入力しやすい。この弾力性により、15.6インチのK700よりも上質な(バタバタ感のない)打鍵感覚。
- キーピッチ 18.2mmはこのクラスとしては小さいように思いますが、千字もタイピングすると、慣れによりリズミカルに軽快にタイピングできます。
- Enterキーなどをタイプする際に、Num Lockなどと間違えることもあるのですが、17.3インチのキーボードであるため、距離感に起因するものか、間違える頻度は15.6インチクラスより少ない感覚。
- 打鍵音はカチャカチャ系ではなく、底打つ音が響くのみ。静かな部類となり、タイピング中に気を遣う必要性はありません。
タッチパッドは多用していないためにコメントは割愛しますが、タッチパッド左上にある指紋認証は、反応しない頻度が手元にある5万円未満の複数のPCよりも多いような。Windows 10の指紋認証の精度は製品によるバラツキが少ないため、指紋の登録がよくなかったのか、たまたまの状況でしょう。
体感レスポンス
私はPCでゲームや動画編集などのパワーを要することを行わないため、本製品のCPUとGPUを最大限に活かしたコメントを記載できないのですが、普段使いでの体感は以下です。ハイエンド機の場合は特に、他のPCと同様のコメントとなっていますので、ご了承ください。
- Webサイト閲覧、オフィスソフト(試したのはフリーのLibre Office)、画像編集など、Core i7-8265Uと比較しても、キビキビと動作することを操作して即感じます。
- Webサイトの画像表示、ブラウザのタブの切替など、タブを切り替えた瞬間・サイトをアクセスした瞬間に即表示されるようなイメージ。
- ライトユースでは、PCIe / NVMe 対応のSSDの恩恵を多く感じず。これが第3世代の接続となると(W890は第2世代での接続)、Windows 10やアプリの起動で、SATA SSDとの相違を感じるのですが。
今回は試しませんでしたが、これほどのハイエンドノートの場合は、動画編集やゲームなどを楽しみたくなります。
なお、レスポンスではないのですが、スピーカーの音質もかなりもの。透き通ったような高音で安価なPCにありがちな音のこもりなどは皆無です。
まとめ
外観・デザインとしては無難なものですが、視野角・色合いともに良好なディスプレイ、レスポンスとも快速、CPUとGPUのファン音も抑えられており、同社のノートPCの人気ランキングでトップてあることも納得の製品です。
私個人としては、PCIe / NVMe 対応のSSDが第3世代での接続であれば万全なのですが、第2世代の接続であることが唯一惜しまれます。ただし、一般的に当製品の第2世代で十分。
公式サイト情報はこちら シリーズ内エントリーの最小構成は134,800円(税別)
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