今回レビューする製品は、コスパに優れた Lenovoのノートパソコンのなかでも、とりわけ低価格な「Lenovo V14 Gen 4」です。
レビューするモデルは AMD Ryzen 5 7430U / メモリ 16GBのモデルですが、最安構成のRyzen 3 7330U / メモリ 8GB モデルにおける2025年4月27日現在の公式ストア価格は 58,938円、Ryzen 5 7430U / メモリ 8GB モデルは 64,251円と割安です。
約1週間ほど 本製品を使用しましたが、樹脂製の筐体ではあるものの、普段使いでは十分なレスポンスであり、キーボードのタイピング感と快適性は同じであり、大量タイピングのサブ機としても向いています。
レビューする製品はこちら
今回のレビューは、Lenovoさんからお借りした製品に基づきます。記載のスペックと価格は 2025年4月27日現在のものです。
Lenovo V14 Gen 4のスペック
レビュー機のCPUは AMD Ryzen 5 7430U、最安構成のRyzen 3 7330Uではありません。低価格な製品ながらも、メリットとなるのが、オンボードの8GB メモリに加え、メモリ空きスロットを備えていること。レビュー機は、オンボード 8GB + スロット 8GBですが、低価格な8GB モデルを選択し、ご自身で増設することもできます。
レビュー機の型番は「82YXCTO1WW」のCTO モデルですが、AMD Ryzen 5 7430Uのメモリ 8GB / SSD 256GB モデルは 64,251円、メモリ 16GB / SSD 512GBのモデルは 89,980円となり、後者はやや割高。このことからも、メモリはユーザーでの増設をおすすめします(ただし、ユーザーで換装・増設した場合には保証対象とならず、自己責任での対応です)。
▼レビュー機のスペックは以下です。
CPU | AMD Ryzen 5 7430U |
GPU | AMD Radeon 610M Graphics |
メモリ | 16 GB DDR4-3200MHz(8GB SODIMM スロット + 8GB オンボード) |
ストレージ | M.2 2242サイズ、512GB PCIe SSD TLC |
ディスプレイ | 14インチ IPS、解像度 1920 x 1080、45%NTSC、輝度 300 nit |
WiFi | WiFi 6E対応 (11ax/ac/a/b/g/n準拠) |
Bluetooth | 5.2 |
ポート類 | USB Type-C 3.2 Gen 1(映像出力、充電に対応)、USB-A 3.2 Gen 1、USB-A 2.0、HDMI、RJ-45 有線LAN |
バッテリー | 2 セル リチウムイオンポリマーバッテリー |
サイズ | 約 324.2 x 215.2 x 19.9mm、約 1.43kg |
OS | Windows 11 Home |
その他 |
スペック、外観の補足は以下です。
- 筐体は樹脂製となり、Lenovoの他の製品と比較すると、ヒンジやキーボードのキーキャップも含めて 質感は劣ります。ただし、これも低価格であることのポイントとなります。
- 液晶のアスペクト比は、上位製品に多く搭載の16:10ではなく 16:9です。このため、16:10に慣れていると、上下の表示領域が狭いことが即わかります。
- Lenovoの低価格の製品のエントリー構成では、液晶か視野角の狭いTN パネルであることも多いですが、レビュー機は視野角の広い IPS パネルです。
- 製品仕様には、USB Type-C ポートが給電・充電に対応することの明記がありませんが、実機にて確認済です。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」。CPUは AMD Ryzen 5 7430U、メモリは16GB、OSは Windows 11 Home
▼14インチディスプレイの「拡大/縮小」の推奨は 150%です。使用しているとやや大きいようにも感じます。
▼指紋認証と顔認証には未対応です。
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
▲▼上の記事にて紹介のフリーソフト「HWiNFO」から抽出のシステムの概要です。クリックで拡大できます。
▼上の画像から CPUの情報を拡大。CPUのAMD Ryzen 5 7430Uは、Zen 3 アーキテクチャ、6コア 12スレッド、7nm プロセス、TDP 15Wの省電力。
▼メモリはオンボード DDR4 8GBに スロット形式の8GB、デュアルチャンネルでの動作です。繰り返しの記載ですが、オンボードメモリのノートパソコンが多いなか、スロットが一つあることが大きなメリットです。
▼GPUは統合型のAMD Radeon Vegaであり、ゲーム向きではありません。
▼スロット側のメモリの型番は、Samsungの「M471A1G44CB0-CWE」
▼PCIe 4.0 x 4 SSD 512GBの型番は「WD PC SN740 SDDPMQD-512G-1101」。2242サイズのSSDです。
外観のチェック
液晶とキーボード以外の外観を記載します。コスパに優れたLenovo ノートパソコンにおいても、とりわけ低価格の製品であり、開封して即 全面が樹脂製の筐体であることがわかります。
樹脂製の筐体であることを認識したうえで割安な製品をお求めの場合には、普段使いでは遅さを感じないレスポンスに快適なキーボードと、よい製品です。ただし、後の段落で記載していますが、このクラス(省電力のCPUを搭載)のPCとしては、CPUファンの音量がやや大きいです。
▼左サイドのポート類は左から、電源コネクタ、USB-A 3.2 Gen1、HDMI、USB Type-C 3.2 Gen1、マイクロホン/ヘッドホン コンボ ジャック。なお、USB Type-Cは映像出力に対応していることを確認済、製品仕様には明記ありませんが、給電・充電にも対応しています。
▼右サイドのポート類は左から、イーサネット・コネクター(RJ-45)、USB-A 2.0
▼左サイドをヒンジ側から。樹脂製の天板は網目の紋様であることがわかります。
▲シンプルなLenovoのロゴは、Lenovoの他のノートパソコンと同じです。
▼ヒンジ側の構成は、IdeaPadやThinkBookなどのLenovoの他のノートパソコンと同じです。
▼底面のゴム足やデザインも、ThinkPadやIdeaPadなどのLenovoの他のノートパソコンと同じです。違いとしては、スピーカーが背面の両サイドではなく、前方のサイドにあること。また、写真ではわかりませんが、ネジはプラスネジではなく、特殊ネジが使用されています(詳細を確認することなく、製品をLenovoさんに返却しましたが、トルクスと記憶)。
▲サイドは前方に向けて斜めの面積が広くなっており、実際の厚みよりも薄く見えます。
▼底面の質感がわかるように拡大。何度も樹脂製と記載していますが、底板の質感は樹脂製であっても、金属製の質感と大きく変わりません。また、天板の質感もわるくないのですが、キーボード面の質感がやや劣ります。
▼スピーカーは、手前の両サイドに配置されています。
▼65Wの電源アダプターが付属しています。Lenovoの多くの他製品も同様ですが、プラグ側のケーブルが太いです。
液晶のチェック
14インチの液晶は、Lenovoの他の14インチ PC エントリー構成と同様に、以下の仕様となります。
- IPS パネル、解像度 1920 x 1080、45%NTSC、輝度 300 nit
全般的には、Lenovoの他製品のエントリー構成のPCと同様に、45% NTSCと色域の狭いもの。このため、写真などの表示では色の再現性が弱く、メリハリにやや乏しい表示です。ただし、オフィスソフトなどがメイン利用の場合には違和感はありません。
- 私は普段、アスペクト比 16:10の14インチ(ThinkPad E14 Gen 5)を使用しているため、16:9の本製品は縦の領域が狭いことを使用して即感じます。
- FHD 液晶の解像度は、2.2K 解像度の14インチと比較しても違いが明確ではなく、文字も綺麗な表示です。
- 色域の関係から、白以外の表示はやや淡さを感じるものの、オフィスソフト・Web サイトなどの表示では、特に違和感はありません。また、家族は 同液晶を搭載する他のPC(IdeaPad Slim 5i Gen 8、実機レビュー記事はこちら)を使用していますが、課題とは認識していないようです。
- 色合いとしては、寒色・暖色に寄らず 中間的色合いです。
▼色域が狭いために多少の淡さを感じますが、明るさは十分で視野角の広い液晶です。
▼当サイトのトップページを表示。上の写真も含めて、写真は圧縮していることもあり、上手く表現されていませんが、文字を拡大してもドットは目立たず、綺麗な表示です。
▼ディスプレイはフラットにすることができます。
キーボードのチェック
キーキャップは明らかに樹脂製であり、Lenovo ThinkBookやIdeaPadなどの上位価格帯の製品と比較すると質感は劣ります(質感が極端によくないとの意味ではなく、樹脂製としては一般的な質感)。一方、キーボードのタイピング感は、上位機に劣らず タイピングしやすいもの。
- キーキャプも含め、全般的に樹脂であることが明確にわかります。
- 一方、他のLenovoのノートパソコンと比較すると、キーへの油脂の付着は目立ちにくい。
- キーの押し込み感と戻り感は、私にとっては ThinkPad(E14 Gen 5や X1 Carbon Gen 12など)よりも好みです。これにより、ThinkPadよりも高速にタイピングできている感覚です。
- 打鍵音は低めの音質であり、静かな部類です。
- タッチパッドは同社の他製品と比較すると小さいのですが、操作に影響はありません。
▼IdeaPadやThinkBookと同様に、Enter キーの横幅は狭いものの、タイピングには全く影響ありません。
▲キーボード右上(写真では左下)に電源ボタンがあります。状態を示すLEDがないのですが、電源ボタン押下時に起動中であるのかわからないことが何度かあり、状態表示のLEDが欲しかったところです。
ベンチマークスコア
AMD Zen 3 アーキテクチャ、Ryzen 5 7430Uを搭載する本製品で計測のベンチマークスコアを掲載します。比較対象は以下の記事にて実機レビューの、Zen 2 アーキテクチャ、8コア 16スレッドのRyzen 7 5700Uを搭載するミニPCです。
NiPoGi E3B ミニPC 実機レビュー、Ryzen 7 5700U、フル機能のUSB-Cを装備。メモリ、SSDの増設も確認してみた
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 1391、マルチコア 5754」。2つめの画像のRyzen 7 5700Uと比較すると、Zen 2 vs Zen 3の世代の違いもあり、シングルコアは本製品が高いスコアです。
▼以下の記事にて、これまでに実機で計測の主だったPCのスコアを一覧化しています。このなか、シングルコアのスコアは、AMD Ryzen 5 5625U、Core i7-1165G7と同水準です。なお、Alder Lake N100との比較では、約4割増しのスコアです。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 1865、マルチコア 6281」。マルチコアのスコアは、2つめのRyzen 7 5700Uと比較すると、Geekbench 5以上の開きがあります。なお、Geekbench 5と6では、スコアの基準となるPCのスペック、評価項目が異なり、Geekbench 6のスコアは5よりも高くなります。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23のスコアは「シングルコア 1378、マルチコア 8279」。マルチコアのスコアは、Ryzen 7 5700Uとほぼ同水準です。
▼以下の記事にて、これまでに実機で計測の主だったPCのスコアを一覧化しています。このなか、マルチコアのスコアは、Core i5-1340Pと同水準です。
CINEBENCH R23、ミニPCやノートPC 35製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
ドラクエベンチマーク
統合型グラフィックスのAMD Radeon 610Mはゲーム向きではないため、ゲーム関連のベンチマークは軽いドラクエベンチマークのみとしました。結果は「とても快適、スコア 8026」。
CrystalDiskMark
搭載するPCIe 4.0 x 4 SSD 512GB、型番「WD PC SN740 SDDPMQD-512G-1101」の、CrystalDiskMarkによる読み書き速度です。Readは 3,704MB/s、Writeは3,110MB/sとなり、このクラスのPCとしては一般的な速度です。
体感レスポンス
私は普段、Ryzen 9 7945HXを搭載する以下のWindows PC、あるいは M4 Mac miniを使用することが多いのですが、ライトユースにおいては、これらのPCとレスポンスに大きな体感差がなく動作します。
MINISFORUM BD795i SE 実機レビュー、16コア32スレッド Ryzen 9 7945HXを内蔵のマザーボード。CINEBENCH R23 マルチコアは驚愕の約33,000
▼以下はライトユースにおける体感レスポンスを記載しています。
- Geekbench 5 / CINEBENCH R23のシングルコアのスコアが 概ね1,000前後以上の他の製品も同様ですが、ブログ記事の編集、画像編集、在宅勤務でのオフィスソフトなどのライトユースでは、上記のハイエンドのPCと大きな差がなく、サクサクと動作します。
- 強いて言えば、ライトユースにて 上記のPCと比較すると、時おり 引っ掛かりを感じる、キビキビさに欠けると感じる程度です。
- Alder Lake N100 / N95を搭載するPCとの比較では、同水準のレスポンス、あるいは本製品が多少の余裕があるように感じます。
- 一方、CPUファンの音量が大きい時間が長いため、作業効率としては やや落ちる感覚です。
スピーカーのチェック
YouTubeとAmazon Musicを視聴した範囲ですが、主観的なスピーカーの音質は 10点満点中 5.5あたりでしょうか。一般的なビジネス向けのスピーカーと同程度です。
- 音量は一般的。PCの前で視聴するには十分です。
- 音量を大きくした場合の音割れは、比較的 抑えられているように感じます。
- 低音の迫力がやや不足し、全般的にスマホのスピーカーと同様に、シャカシャカとした音質です。
USB-C ポートからの映像出力
USB Type-C 3.2 Gen 1の機能の確認です。Lenovoさんからお借りした一週間で、以下の機能を確認、安定動作しています。
- 4K モニターへの映像出力を行い、拡張ディスプレイとしての利用。
- PD対応の上記モニターから、ケーブル1本での映像出力と Lenovo V14 Gen 4への給電と充電。
- USB-C 電源アダプターでの給電と充電。
▼約一週間の使用期間中、上記2の使用がメインでしたが、安定動作しています。
CPU 温度、ファン音量のチェック
CINEBENCH R23のベンチマークで負荷をかけた際のCPU温度は、最大 約81℃と許容範囲ですが、気になるのがCPU ファンの音量です。個体差の可能性もありますが、軽作業時にも喧しく感じることがあります。
▼CINEBENCH R23にて CPU 使用率を100%とした際のCPU 温度は、最大 約81℃。低くはないですが、ベンチ終了後に温度が即下がることも含めて 許容範囲です。
▼CPUに負荷をかけた際のファン音量(iPhone アプリ「デジベル X」にて計測)は、平均 42dBと喧しく感じる水準です。また、軽作業時にも、ファン音量が大きくなる時間が、同スペック帯の他のPCよりも長いことが気になります。
まとめ
14インチ ノートパソコンにて、Lenovoのみならず、他の大手ブランドのとの比較においても、最安価格帯となる「Lenovo V14 Gen 4」。最安構成のRyzen 3 7330U / メモリ 8GB モデルにおける 2025年4月27日現在の公式ストア価格は 58,938円、Ryzen 5 7430U / メモリ 8GB モデルは 64,251円と割安です。
割安ながらも 一般的な用途では サクサクと動作し、液晶も上位機のエントリー構成と同じであり、キーボードのタイピングも快適であることから、コストカットのために 樹脂製の筐体と14インチ液晶のアスペクト比(16:10ではなく 16:9)を前提とした場合には、おすすめできる製品です。
なお、あらためて実機レビューのポイントを記載すると以下となります。
- メモリ 16GBのレビュー機は、オンボード 8GB + スロット 8GBの構成であり、メモリスロットを備えていることも特徴の一つです。
- 樹脂製の筐体は、特にキーボード面は樹脂であることが即わかり、他のLenovoの製品と比較すると質感は劣ります。
- ただし、キーボードのタイピングは、他のLenovoのノートPCと変わらずに快適です。
- ライトユースでの体感レスポンスは、スペックが上位のPCと大きな差はなく動作します。
- 14インチ液晶の明るさと視野角は十分。ただし、色域が狭いために写真や原色系の表示にやや淡さを感じるものの、オフィスソフトでは違和感はありません。
- 個体差の可能性もありますが、負荷をかけた際のファン音量は 同スペック帯のノートパソコンよりも大きく、また、通常時にもやや大きい傾向があります。
レビューした製品はこちら
今回のレビューは、Lenovoさんからお借りした製品に基づきます。記載のスペックと価格は 2025年4月27日現在のものです。
コメント