今回 実機レビューする製品は、Dellの13.3インチ ノートPC「Dell Pro 13 Premium」です。複数あるモデルのうち、CPUに Core Ultra 7 268Vを搭載するハイエンドモデルとなります。
パワフルなCPUであることもさることながら、圧巻は2.5K 解像度の液晶。私は14インチ 2.2K 解像度のPCを使用することが多いのですが、本製品の文字の綺麗な表示が際立ちます。
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今回の記事は、デル アンバサダープログラムのモニターに参加し、お借りした端末に基づくものです。
Dell Pro 13 Premium ノートパソコン(PA13250)
Dell Pro 13 Premiumのスペック
Dell Pro 13 Premiumのモデルとしては、CPUにCore Ultra 5 236V、Core Ultra 5 238V、Core Ultra 7 268Vを搭載するモデルがあります。デル アンバサダープログラムのモニターに参加し、お借りしたモデルは、Core Ultar 7 268Vを搭載するハイエンドモデルとなり、メモリは32GB オンボードです。また、13.3インチの液晶は、2.5K 解像度、タッチパネル、100%sRGBの広色域と豪華な仕様です。
CPU | Core Ultra 7 268V、8コア(Pコア 4, Eコア4) 8スレッド |
GPU | Intel Arc 140V |
メモリ | 32 GB LPDDR5x, 8533 MT/s オンボード |
ストレージ | M.2 PCIe 4.0 512GB SSD TLC |
ディスプレイ | 13.3インチ、解像度 2560 x 1600、アスペクト比 16:10、輝度 500 nits、非光沢、タッチパネル、100% sRGB |
WiFi | WiFi 7 |
Bluetooth | 5.4 |
カメラ | 8MP HDR + IRカメラ、TNR、カメラ シャッター、マイク |
ポート類 | Thunderbolt 4 x 2、USB-A 3.2 Gen 1、HDMI、3.5mm ヘッドホンジャック |
サイズ | 295.64 x 208.93 x 16.558~17.95mm、約1.07kg |
OS | Windows 11 Pro |
その他 | マグネシウム製の筐体、Cirrus Logic Smart Amp 搭載ステレオ スピーカー(2W x 2)、60W 電源アダプター |
▼右サイドの①は、オプションとなる SIMカードトレイですが、レビュー機には未搭載です。③と⑥はThunderbolt 4ポート、双方ともに 充電・映像出力に対応しています。
▼「ゼロラティス(Zero-Lattice)」と名付けられたキーボードも特徴の一つです。キーとキーの間が狭く、キーピッチが広くなっています。アイソレーションタイプに慣れている私ですが、短時間のタイピングですぐに慣れ、違和感などはなくタイピングできています。ただし、M1 MacBook Airなどと比較すると、やや窮屈さを感じます。
▲▼上のタッチパッドにマイクなどのアイコンがありますが、Dell Optimizer アプリを通じて、以下のコラボレーション タッチパッドを通じて機能するもの。今回のレビューにおいては試していませんが、「Microsoft Teams またはZoomでの通話中に、タッチパッドで会議コントロールにクイックアクセスできるよう設定します」とあります。
実機のシステム情報
続いて、実機から抽出のシステム情報を掲載します。
▼Windows 11「設定」の「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」です。もちろん、製品情報どおりに、CPUはCore Ultra 7 268V、メモリ 32GB、OSは Windows 11 Pro。
▼13.3インチ 解像度 2560 x 1600の「拡大/縮小」の推奨は200%と、老眼(遠近両用コンタクトを装用)の私にも程よい大きさです。
▼ディスプレイのリフレッシュレートは60Hz。
▼顔認証と指紋認証の双方に対応しています。後の段落にて記載していますが、顔認証の精度は高く、快速です。
以降の画像は、フリーソフト「HWiNFO」から抽出したものです。
HWiNFOの使い方、Windows PCのデバイス詳細情報やCPU温度など、導入必須のフリーソフト。投稿数 約4万件のフォーラムも充実
▼システムの概要です。クリックで拡大できます。
▼CPUのCore Ultra 7 268Vは、Pコア 4 / Eコア 4の8コア 8スレッド、TDP 17W。
▼オンボードのLPDDR5 32GBのメモリは クアッドチャンネルでの動作です。
▼統合型GPUは Intel Arc 140V。後のベンチマークスコアにおいても記載していますが、統合型GPUとしては、高い性能です。
▼NPUの情報です。
▼13.3インチの液晶は、台湾の大手ブランド「AUO」製の型番「B133QAA」。Webで検索したものの、詳細情報を確認できず。
▼512GB SSDの型番は「BG6 KIOXIA」。M.2 PCIe 4.0 SSDです。同SSDは国内通販では販売されていませんが、同型番で 2280サイズと2230サイズがあり、AliExpressでは 2230サイズが販売されています。同サイトでは、Read 4600MB/s、Write 3300MB/sとありますが、後述のベンチマークでは Writeでは指標以上の速度が出ています。
▼オンボードメモリ LPDDR5 32GBの情報です。
外観のチェック
外観について記載します。マグネシウム製の筐体は、当然ながらも質感の高いもの。質量 1.07kgと13.3インチとしては軽量ですが、グレイの色合い、厚みもあり、ややズッシリ感があるように思います。
▼左サイドは左から、HDMI、Thunderbolt 4、ヘッドホンジャック。右サイドのThunderbolt 4も含めて、充電と映像出力に対応しています。
▲この角度から見ると、濃いグレイの配色と相まってマグネシウム製であることを醸し出す、高品質な筐体であることがわかります。
▼右サイドは左から、USB-A 3.2 Gen 1、Thunderbolt 4、ケンジントンロック。
▼サイドとキーボード面の接地部分の精度も高いですね。
▼一般的な形状のヒンジ側です。液晶は180°開きますが、傷防止のためのゴムがあります。
▼サイドと同様にタッチパッド側の接地部分の精度も高いもの。なお、ディスプレイ面の開閉はスムーズです。
▲▼中央のスライダーは、Web カメラのプライバシーシャッターの開閉のもの。
▼サラサラとした触り心地の天板です。天板は油脂や指紋の付着が目に付くことはありません。
▼背面のゴム足は一般的なもの。中央にさりげなく「Pro」のロゴがあります。
▼今回はお借りした端末のため、ネジを外しての内部の確認は行っていませんが、底板はプラスネジ 7本で固定されています。
液晶のチェック
以下の仕様の液晶を搭載していますが、この液晶は特筆すべき品質です。非光沢でありつつも、見え方が鮮やかで光沢のようにも感じます。また、解像度が高く、13.3インチ FHDとの比較のみならず、14インチ 2.2K 解像度の液晶と比較しても、文字のドットが目につかず、精細な表示であることが即わかります。
- 13.3インチ IPS、解像度 2560 x 1600、アスペクト比 16 : 10
- 非光沢、輝度 500 nits、100% sRGB
▼実機は写真よりも鮮やかな表示です。上のベゼルにWeb カメラがあり、上のベゼルはやや太めであるものの、下と左右のベゼル幅は狭いです。
▼IPS パネルですので、この程度の角度では色合いの変化は全くありません。
▼100%sRGBの広い色域ですので、以下の壁紙やその他の写真の色の再現性も上々です。
▼当サイトのトップ画面の表示です。私は色の再現性を目検で確認する場合、自分で撮影した写真・記事の写真を使用することが多いのですが十分なものです。
▼他の壁紙での撮影です。
▼ディスプレイを180度開くことができます。この角度においても、色相が大きく変化することはありません。
キーボードのチェック
キーとキーの間が狭く、キーピッチが広い「ゼロラティス(Zero-Lattice)」と名付けられたキーボードも特徴の一つです。13.3インチとしてはキーボード全体の幅が(両側のスピーカーの幅が広いこともあり)狭く感じ、タイピング時にはやや窮屈さを感じますが、浅いキーストロークに確実な打鍵感があり、よいキーボードです。
- 見た目では浅いストロークに見えますが、程よいストロークがあり、確実な打鍵感があります。
- 前述のとおり、13.3インチとしてはやや窮屈なように感じますが(MacBook 12インチよりも狭いように感じます)、ある程度の使用による慣れでカバーできます。
- 慣れると、リズミカルに高速タイピング可能です。
▼キーの形状は窪みのあるものではなく、フラットです。フラッドですが、窪みのあるキーと比べて、デメリットらしきものは感じません。
▼「ゼロラティス(Zero-Lattice)」キーボードと命名された キーの間隔の狭いキーボードです。アイソレーションタイプよりも 間隔はかなり狭いものですが、違和感なくタイピングできます。
なお、右上に指紋認証のシールがあります。指紋認証の使用前の撮影のため、シールを貼ったままです。
ベンチマークスコア
実機で計測のベンチマークスコアを掲載します。比較対象は、以下の記事にて実機レビューのAMD Ryzen 9 8945HSを搭載するPCです。
MINISFORUM UM890 Pro 実機レビュー、Ryzen 9 8945HS、メモリ 64GBを搭載し、パワフルで静音。OCulinkでの外付けグラボも安定動作
なお、以下の記事にて、Core Ultra 7 258Vを搭載する「ThinkPad X1 Carbon Gen 13」を実機レビューしていますが、Core Ultra 7 268Vを搭載する本製品は、順当にやや高いスコアです。
ThinkPad X1 Carbon Gen 13 実機レビュー、約986gの軽さを即実感、PCIe 5.0 SSDのReadは13,622MB/sと強烈
▼プレインストールのソフト「Dell Optimizer」にて、PCのパフォーマンスモードを切替できますが、以下のベンチマークは「ウルトラパフォーマンス」の設定での計測です。
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは「シングルコア 2012、マルチコア 9289」。これまでに私が実機レビューしたPCにおいては シングルコアで2,000超えとなるCPUは多くなく、これまでに実機レビューしたPCでは上位のスコアです。
なお、2つめに掲載のスコアは 上記のAMD Ryzen 9 8945HSを搭載するPCのものですが、8コア 16スレッドのCPUでもあり、マルチコアのスコア差はやや大きいです。
▼以下の記事にて、これまでに実機で計測したGeekbench 5のスコアを一覧化しています。同水準・上位のCPUの確認などのご参考です。
PC 実機で計測、Geekbench CPU ベンチマークスコアの一覧、サクサクと動作するスコアの指標
Geekbench 6
Geekbench 6のスコアは「シングルコア 2838、マルチコア 11161」。AMD Ryzen 9 8945HSとのマルチコアの差は、Geekbench 5よりも小さいです。ちなみに、Geekbench 5と6では、評価項目とスコア判定のベースとなるPCのスペックが異なり、Geekbench 6は5よりも高いスコアとなります。
Geekbench AI
Geekbench AIについては、コメントを記載できるほどにデータを集めていないため、参考程度の掲載です。
CINEBENCH R23
CINEBENECH R23のスコアは「シングルコア 1995、マルチコア 8122」。AMD Ryzen 9 8945HSよりもシングルコアのスコアは高い一方、マルチコアのスコアは Geekbench 以上に差が大きいです。
▼以下の記事にて、これまでに実機で計測したGeekbench 5のスコアを一覧化しています。同水準・上位のCPUの確認などのご参考です。
CINEBENCH R23、ミニPCやノートPC 35製品で計測のスコア一覧。キビキビ動作のスコアの指標
PCMARK 10
PCMark 10のスコアは 7,293。「一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作向け」の Productivityの指標はスコア 4500ですが、本製品では 10,598と、かなり高いスコアです。AMD Ryzen 9 8945HSのスコア画像の掲載は割愛しましたが、 トータルスコアは6,954です。
3DMARK
3DMark Time Spyのスコアは 3,896となり、AMD Ryzen 9 8945HSのスコアを大きく上回っています。インテル Core Ultra シリーズ2では、統合型GPUの性能が大きく向上しています。
CrystalDiskMark
本製品は、実機のシステム情報の段落にて記載のとおり、「KIOXIA」のM.2 PCIe 4.0 SSDを搭載しています。型番は「BG6」ですが国内販売はなく、AliExpressでは 2230サイズが販売されており、Read 4600MB/s、Write 3300MB/sとあります。
CrystalDiskMarkでの計測では、Read 4850MB/s、Write 4393MB/sとなり、このスペック帯のノートPCとしては標準的、あるいは標準よりやや高いスコアです。
体感レスポンス
GeekbenchやCINEBENCH R23のシングルコアのスコアは高く、在宅勤務でのデータ量・関数が多めのExcelやAccessなどにおいてもサクサクと動作します。
- SSDの読み書き速度は一般的ですが、Windows 11の起動・終了ともに快適。
- なお、電源オフから液晶を開くと自動的に電源オンとなります。今回は試していませんが、BIOSにて制御できると思います。
- Web サイトのブラウジング、動画視聴、在宅勤務などの普段使いでは、M4 Mac miniなど シングルコアのベンチスコアが上位のPCと比較しても遜色ないレスポンスです。
Thunderbolt 4のチェック
左右の両サイドにThunderbolt 4 ポートを1個づつ搭載し、双方ともに充電・給電・映像出力に対応しています。ごく簡易的なチェックとなりますが、映像出力のみ確認しました。
▼私の通常利用と同じく、27インチ 4K モニターへの映像出力です。
▼4K@60Hzにて、安定して映像出力できています。
サウンドのチェック
Cirrus Logic Smart AMP 搭載のステレオ スピーカー(2W x 2)を装備しています。以下は Cirrusの公式サイトですが、「Cirrus Logicは、小さなスピーカから大きなサウンドを引き出す最新のオーディオ技術で業界をリード」と記載されています。
上記を踏まえてのサウンドですが、主にYouTubeとAmazon Musicを聞く範囲では、かなりよい音質です。
- キーボード面にスピーカーがありつつも、液晶側から音声が生じているような感覚もあります。
- スマホや低価格のノートPCのように、シャリシャリ感のある音質ではなく、中高音・低音ともにしっかりとした音質。
- 特に低音の響きが優れているように感じます。ただし、音声を聞きながらキーボードを使用していると、タッチパッド周辺にて音が反響しているのを感じます。
- ある程度まで音量を上げた場合にも、歪みは少ないように感じます。
指紋認証、顔認証のチェック
指紋認証、顔認証に対応している本製品ですが、双方ともに認識精度は高く速いです。8MP HDR + IRカメラの恩恵でしょうか、特に顔認証の精度が高く、使用した期間中、ほぼ顔認証のみで対応できています。
CPU 温度、ファン音量のチェック
「CINEBENCH R23」にてベンチマーク測定時のCPU温度、ファンの音量です。CPU温度はやや高めに推移し、ファン音量も一般的なノートPCよりも大きい音となります。ただし、ベンチ測定後は即静かになり、記事編集やWeb サイトのブラウジングなどでは、ほとんどファン音も聞こえず、全般的には静音と言えます。
▼CPU使用率を100%とした際のCPU 温度は、最大 92℃。高めの温度ですが、これほどまでに負荷をかけることは少ないため、また、通常は静音であるために、気にする必要はないとの認識です。
▼iPhone アプリ「デジベル X」での測定ですが、同じく 負荷をかけた際のファン音量は 平均約47dB。やや喧しさを感じる音量ですが、前述のとおり、負荷を抑えた場合には即静音となります。
まとめ
Dellの13.3インチ ハイエンドノートPC「Dell Pro 13 Premium」のレビュー記事でした。デル アンバサダープログラムのモニターに参加し、お借りした端末に基づくものですが、お借りした端末は、CPUに Core Ultra 7 268V、2.5K 解像度の液晶を搭載するハイエンドモデル。あらためて、使用感などを記載すると以下となります。なお、オンデバイスAIの使用については、後日 別記事にて投稿します。
- マグネシウム製の筐体は、シックなグレイ色と相まって、すこぶる質感の高いもの。
- 2.5K 解像度の13.3インチ液晶も上質。光沢パネルではありませんが、光沢パネルに近い鮮やかさの液晶となり、文字の表示も滑らかです。
- Core Ultra 7 268V、オンボードメモリ 32GBを搭載していますので、普段使いでは 上位機と同様に快速です。
- 負荷をかけた場合には、CPUファンはやや喧しくなりますが、負荷を落とすと即静音となるため、気にするほどではありません。
- 「ゼロラティス(Zero-Lattice)」キーボードと命名された キーの間隔の狭いキーボードは、当初 キーボードの幅が狭く感じたものの、確実な打鍵感があり、短時間の使用(慣れ)によりリズミカルに高速タイピングできています。
- スピーカーの音質も特筆に値します。スマホや一般的なPCのようにシャリシャリした音質ではなく、中高音・低音ともにしっかりしたもの。
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