BMAXよりリリースされているミニPCのなかで、ハイエンドとなるBMAX B4 Pro。CPUに第8世代のCore i3-8145Uを搭載し、ミニPCのデフォルトのストレージとしては珍しく、SATAより高速なPCIe 接続のSSDを搭載しています。このスペックで、Banggoodのクーポン価格は349.99ドル(4万円未満、6/30まで)と、コスパ度もかなりのもの。
今回、このBMAX B4 ProをBanggoodさんよりレビュー用にサンプル提供いただきましたので、外観・使用感などをレポートします。全般的には、キビキビと快適なレスポンスで、よい意味での想定外でWindows 10 Proを搭載し、BMAX B2 Plusと同様のプラスチック製のボディと思いきや、スチール製となり質感高めのミニPCです。
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BMAX B4 Proとスペックとシステム情報
BMAX B4 Proのスペックについては、上記のリンク先記事にて掲載していますが、あらためての掲載です。赤文字については、Banggoodの製品紹介には明記がない、あるいはイメージ画像でなんとなくわかる事項ですが、今回の実機で確認したことです。
CPU | Core i3-8145U、2コア 4スレッド、最大 3.4GHz |
GPU | Intel HD Graphics 620 |
メモリ | 8GB DDR4、空きスロットがあり、増設可能 |
ストレージ | 256GB NVMe SSD (M.2 2280 サイズ、ヒートシンク付)。M.2 2242 SATAの空きスロットあり |
WiFi | 11a/ac/b/g/n |
Bluetooth | 5.0 |
ポート類 | USB Type-C、USB 3.0 x 2、USB 2.0 x 2、有線LAN、HDMI、Mini Display Port |
サイズ | 12.5 x 11.2 x 4.7 cm |
OS | Windows 10 Pro プレインストール |
その他 | ビルトインスピーカー、ボディはスチール製 |
スペックについてのコメントは以下。
- CPUには、第8世代のCore i3-8145U。BMAXのミニPCとしてはハイエンド、一般的にもハイエンド寄りのミニPCです。
- デフォルトのSSDはPCIe 接続。Ge.3での接続ではないために、後述のベンチマークスコアは控えめですが、SATA SSDと比べると大幅ではないにせよ、Windowsの起動などが速いことを感じ取れます。
- 底板を外し、M.2 SSD 2242サイズが取付可能な空きスロットは確認しましたが、マザーボードの一面を見る範囲では、2.5インチ SATA SSD / HDDを取付可能なポートは見当たらず。スペックにも記載がないため、取付不可でしょう。
- 下位モデルのBMAX B2 Plusはプラスチック製のボディでしたが、B4 Proはスチール製となり(一部はプラスチック製)、より質感高くなっています。
- 第8世代のCore i3-8145Uでもあり、CPUファンは備わっていますが、高負荷時でも一般的なノートPCよりもファン音は静か。
システム情報
上記のスペックを補完するうえでのシステム情報です。
▼Windows 10の設定項目の情報ですが、もちろんスペックどおりのCore i3-8145U、メモリ 8GB。
▼こちらはベンチマーク測定時のGeekbench 5の情報ですが、OSはWindows 10 Pro。製品紹介では、Home or Proの情報がないのですが、また、個人利用では Proのメリットを受ける局面も多くないのですが、Proを搭載となると得した気分です。
▲▼下の画像も含め、以下のHWiNFOで抽出した情報です。PCIe / NVMe対応のSSDは、PCIe 4x、NVMe Version v1.3とあるのですが、後述のベンチマークスコアは控えめ。マザーボード側がv.1.3に対応していないのでしょう。
▲こちらは上記 HWiNFOのサマリー画面。
BMAX B4 Proの外観
CPUにGemini Lakeを搭載するBMAX B2 Plusが全面プラスチック製の軽量級であり、製品紹介のイメージ画像から同じボディを採用した製品と思っていたのですが、B4 Proはスチールをメインとて、より質感高く重厚感のあるものです。エントリー機とハイエンド機で素材を上手くすみ分けているようです。
▼B2 Plusも同様でしたが、本体とは不釣り合いの大きな外箱。内部のクッションも含め簡易的なものです。
▼付属品は簡易的な説明書にVESAマウントとネジ。説明書には、2242サイズのM.2 SSDの増設方法の記載があります。
▼ACアダプターは日本(USA)仕様のアダプターのほか、EU仕様のアダプターも付属しています。
▼B2 Plusと同様に、天板にはPUフィルムが貼り付けられている珍しい仕様です。
▼PUフィルムの保護フィルムを剥がした状態。天板はクリア塗装されており、天井が映り込んでいるために写真ではわかりづらいのですが、スマホの背面なみに艶やかです。ここで、やはり気になるのはBMAXの大きなロゴ。そこまで主張しなくてもよいのですが。
▲▼ちなみに、製品情報によるとBMAXのロゴに新バージョンがあるようです。上の写真のロゴは旧バージョン。
▼サイドの前面は、左からイヤホンジャック、USB Type-C、USB 3.0 x 2、電源ボタン。冒頭の写真のとおり、電源オン時に電源ボタンは青く点灯します。
▲写真で気が付く方もいるかと思いますが、側面はスチール製。BMAX B2 Plusがプラスチック製であり、B4 Proのイメージ画像ではB2 Plusと同じボディを採用と想像していたのですが、さすがに上位機でもあり、重厚感のあるスチール製となっています。
▲背面は左から、Mini Display Port、HDMI、USB 2.0 x 2、有線LAN、電源端子。
▲▼ポート部分を拡大。ちなみに、これまでの写真と色合いが異なっていますが、明るい写真は iPhone XS Max、暗めの写真は Xiaomi Redmi Note 8 Proで撮影したもの。当記事で多用している後者の写真がより実機に近いです。
▼他のサイドには、通風用の穴・スリットが多数。一方のサイドには、SDカードスロットがあります。このあたりのデザインと配置は、BMAX B2 Plusと同じです。
▲▼参考までに、B2 Plusを並べて撮影。サイズ・デザインともに似ており、同じOEM元の製品かと思いますが、やはりプラスチック製とスチール製の相違もあり、質感はB4 Proがよいものです。
▲サイドの色が同じ場合、遠くから見ると見分けがつかなくなりそうです。
底板を外し内部の構成を確認
底板を外して驚いたことに、先述のとおり、PCIe (NVME)対応のSSDにヒートシンクが取り付けられています(あらためて製品紹介のイメージ画像をみると、ヒートシンクがありましたが)。発熱の大きなSSDですので、PCとしては当然の装備かもしれませんが想定外でした。さらには、メモリの空きスロットがあり、メモリを増設できます。
一方で、マザーボードの一面を見る範囲では、2.5インチのSSD / HDDを接続するポートが見当たりません。天板の裏面には増設用の枠があるのですが、汎用パーツを利用しているためでしょう。
▼四隅にあるゴム足を剥がすと露出するプラスネジを緩めると、底板を外すことができます。B2 Plusは嵌め込みがきつく、外しにくかったのですが、B4 Proは簡単に外せました。
▼左にヒートシンクが装着されているPCIe SSD、右にメモリスロット。上にCMOS電池もあります。ビルトインスピーカーがどこかに組み込まれているはずですが、この面には見当たらず。
▲▼PCIe SSDの立派なヒートシンクは、イメージ画像の赤に対して実機は黒。SSDを増設しない限りは底板を外す必要性もないため、意識する必要はありませんが参考まで。
▼空きポートありのメモリスロットを拡大。
▼マザーボード一面の見える範囲には、SATA SSD / HDD接続のポートがないのですが、天板裏にはSSD / HDDを固定する枠があります。仕様には「増設可との文言がないため、増設はできないでしょう。なお、天板はプラスチック製です。
▼参考までに、B4 Pro (上)、B2 Plus (下)の写真を並べてみました。
BMAX B4 Proのベンチマークと体感レスポンス
続いてベンチマークと体感レスポンスについて記載します。このクラスともなると大きな負荷のかかることを行わない限りは、上位機との体感レスポンスの相違を体感しにくいのですが、普段使いであれば Core i7-8565Uを搭載し、後付けで高速なPCIe SSDを装着した以下のNVISEN Y-MU01と全く違いがわかりません。
ベンチマークスコア
▼Geekbench 5のCPUベンチマーク。上はCore i3-8145U搭載のBMAX B4 Pro 、下はCore i7-8565Uを搭載のNVISEN Y-MU01。
▲体感レスポンスに直結するシングルコアの差は大きくない一方、マルチコアでは約1.5倍の開きがあります。
▼こちらはGeekbench 4のスコア。
▼ドラクエベンチマークのスコアは「5872、快適」。
▼CrystalDiskMarkによるSSDのベンチマーク。上はBMAX B4 Pro、下はB2 PlusのSSD。
▲Readでは3倍強の差があります。もちろん、体感的に3倍の差は感じないものの、Windows 10の起動や大量ファイルの並び替えなどで威力を感じます。
▼ベンチマークで負荷をかけた際のCPU温度は以下です。Maximumの81°のみが突出しており妙なのですが、その他の値はこんなものでしょう。
その他、CINEBENCH R20のスコアも計測しましたが、デスクトップ向けのCPUのスコアと比較すると下位となることもあり、掲載は割愛します。
体感レスポンス
先述のとおり、普段使いでは Core i7-8565Uを搭載するミニPCと体感できるレスポンスの相違はなく、実にキビキビとしたものです。
- Webサイトの画像表示やタブの切替などキビキビとした動作で、Gemini LakeやApollo LakeなどのエントリークラスのCPUを搭載するPCと比較するとワンテンポ速い。
- 特に画像表示や画像の加工では、サイトを開いて、あるいは画像編集後に即表示されるイメージ。
- 上記においては、Core i7-8565Uと体感差を感じず。この程度の作業では相違を感じるものではないため、使用目的によっては 価格の安い Core i3-8145Uのコスパ度は高いと言えます。
- ベンチマークスコアが控えめな PCIe SSDですが、Windows 10の起動や大容量アプリのインストール、大量のファイルの並び替えなどで、SATA SSDとの相違を感じます。比較すべきではないのですが、eMMCとは明確に異なります。
CPUファン音
私にとって、CPUファンの音量は大きな要素であるため、独立した項目として記載します。スペックの欄でも記載しましたが、BMAX B4 ProのCPUファンはかなり静かです。
ベンチマークで負荷をかけた際などには、普段よりは大きめの音がしますが、それも許容範囲。手元にあるノートPCとの比較では、最大音量は以下のCHUWI MiniBookより静か、あるいは音域としても喧しいとは感じない静けさです。
2つめのリンク先の、Core i7-8565Uを搭載するNVISEN Y-MU01は低負荷時には静かなのですが、高負荷時には大きな音量となります。このため、BMAX B4 ProとNVISEN Y-MU01のどちらを通常利用するかと言えば、B4 Proを選ぶかも。
まとめ
ミドルレンジからハイエンドのミニPCとして、私の評価の高い製品は、Eglobal S200とNVISEN Y-MU01ですが、このBMAX B4 Proも同様に評価できます。Core i3-8145UにPCIe SSD、メモリの空きスロットに加え、製品紹介ではアピールしていませんが、Windows 10 ProにSSDのヒートシンク、スチール製のボディと想定外の仕様もあります。この点では、BMAXの製品紹介でもっと強調してもよいと思われ、キビキビ動作する快適仕様のため、メイン利用も十分に可能なミニPCです。
▼2021年3月28日追記。BanggoodやAmazonでは既に販売していないことから、おそらく終売。AliExpressでは販売されていますが、価格は上昇しています。
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