チラホラとレビュー記事も出回っている、ドンキの格安UMPC「NANOTE」。搭載するCPUはAtom Z8350と非力ながらも、金属製ボディを採用し税抜 19,800円と、2台目の弄り用のUMPCとしては大いに魅力的。5/1の発売後、購入すべく、GW後半と本日 5/9に近所のドンキとMegaドンキを3店回るも販売なし、あるいは品切れ状態。
購入できずにがっかりしたような、ホッとしたような複雑な心境に。といのも、私には購入すべきか否かの迷いがあります。今回は、私がこれまでに使用したUMPCを振り返りつつ、「NANOTE」の購入を迷っている理由について記載します。
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前提、私のUMPCの使用履歴
ASUS T90ChiをUMPCと呼んでよいか微妙ですが、私のUMPCの使用履歴をコメントを添えて記載します。先に、使用履歴のまとめ的なものを記載すると、UMPCの購入にあたりポイントとなる事項は以下。このポイントも、「NANOTE」の購入を迷っている理由になります。
ASUS T90Chi
Atom Z3775、メモリ 2GBと、今となっては非力な 8.9インチ 2 in 1。現在も所有していますが、平日の片道2時間20分の通勤時には、CHUWI MiniBookとSurface Goを持ち出しているため、ほとんど出番はありません。しかしながら、快適なタイピング環境を確保するために8.9インチにしたとも思われ、今でもタイピング感のよさを振り返るべく、時々使用したくなります。
▼浅いストロークに軽めのタッチとなりますが、快適なタイピング感のT90Chiのキーボード。CPUのZ3775はモッサリしますが、キーボードのみでも使いたくなります。
▼レビュー記事の事例はこちら。
初代 GPD Pocket
One Mix、MiniBook、Falcon、Peakago、ドンキ Nanoteと変則的なキー配置を持つUMPCが多数ありますが、そのオリジナルが、7インチの初代 GPD Pocket(その他はクローンと言ってよいと思います)。一定期間お借りしたものですが、初めて手にした際には、その質感の高さと精巧な造り、画面の鮮やかさに感動しました。CPUはAtom Z8750(NANOTEより僅かによい程度)と、こちらも今となっては非力、CPUファンも大きかった記憶がありますが、今振り返ってもよい端末です。
▼レビュー記事の事例はこちら。
One-netbook One Mix 2S
購入・到着後、わずか5時間で電源が入らなくなり返品した One Mix 2S。ベンチマークも計測できず、ほとんど使用することなく返品となったため、使用感を語るのは難しいのですが、GPD Pocketと同様に精巧な造りである反面、7インチのサイズと変則的なキー配置でタイピングにはかなりの難があり、タイピングミスが頻発します。
ちなみに、控えめに記載しますが、高スペックを追求し価格的には手の届きにくいところに行ってしまった One Mix。レビューを散見しても 私のOne Mix 2Sと同様に初期不良率が高いと感じる One Mixシリーズは、私としてはパスです(そのため、当サイトではOne Mixの記事は多くありません)。
▼外観のみの実機レビュー記事はこちら。
CHUWI MiniBook
現在利用しているUMPCがこちらのCHUWI MiniBook Core m3-8100Y版(安価なGemini Lake N4100版もあり)。One Mix 3Sと比べると、ディスプレイの解像度を落とし(One Mix 3Sの2.5Kに対し、MiniBookはFHD)、デフォルトのストレージをSATA接続(Core m3-8100YはPCIe SSDに換装可能。One Mix 3SはPCIe SSD)とすることで、Core m3-8100Y版でも5万円台と価格を下げています。
7インチでは難のあるタイピングも、8インチのMiniBookでは快適。キー配置に多少のクセはありますが、慣れると高速タイピングできます。また、ポインティングデバイスの使用感もよく、揺れの激しい通勤電車内では、Surface Goのタッチパッドよりも快適です。また、もちろん Core m3-8100Yのレスポンスは快適です。
▼レビュー記事の事例はこちら。
Magic-Ben MAG1
多くのUMPCは、ディスプレイが360°回転するYOGAスタイルであるのに対し、Magic-Ben MAG1は 8.9インチの通常のクラムシェル型ノート。プロトタイプを一定期間お借りしたものですが、2.5Kのディスプレイは明るく きめ細やかで、Core m3-8100Yのレスポンス、8.9インチのサイズと相まって、快適に作業できます。ただし、キーボードのタイピング感はMiniBookがより快適な感覚。私としては、MiniBoookとともにおすすめできます。
▼実機レビュー記事はこちら。
ドンキ NANOTEの購入の迷い
では、本題の私がドンキ NANOTEの購入を迷っている理由について記載します。格安UMPCとしては魅力的な事項もある一方、格安機としての懸念もあります。また、購入する場合にも、私としては2台目のUMPCとしてサブ利用とする目的です。外部ディスプレイに接続し、メインでも使用できるUMPCとしては CHUWI MiniBookが強くおすすめ。
なお、以降のコメントは以下の実機レビューもかなり参考にしています。Impress Watchの記事は、写真が40枚弱もアップされています。また、ウィンタブの記事としてはタイトルに「おすすめしません」とするのは珍しい。できれば、私も実機レビュー記事を掲載しいたいところですが。。。
- Impress Watch、税別2万円を切る7型UMPC、ドン・キホーテ「情熱価格プラス NANOTE」
- ウィンタブ、ドン・キホーテ NANOTE レビュー - 7インチ激安UMPC、不具合が多いのでおすすめしません。昔ながらの中華ガジェットが好きなら楽しめるかも?(実機レビュー)
格安UMPCとして魅力的なこと
安価なUMPCのため、CPUは非力なAtom Z8350、ストレージは64GB eMMCは仕方がないのですが、以下の事項など、格安UMPCとして、あるいは格安PCとしてもかなり頑張っています。
- 通常のPCとしても、必要最小限のスペックとは言え、7インチのディスプレイ付きで税抜 19,800円の価格はあり得ない。私がよく参照する海外通販サイトの場合、このスペックのミニPCなら1万円程度。7インチのディスプレイ・キーボード付きでこの価格は、今後 中国直販でもあり得ないでしょう。
- ボディは金属製。価格と公式サイトの画像からプラスチック製と思い込んでいたのですが、この価格で金属製とは恐れ入ります。
- ディスプレイの表示は意外と綺麗との評価あり。IPSパネルとなり、上記リンク先記事の双方ともに、ディスプレイの評価は高く、ウィンタブではOne Mix 1Sよりも上質と言い切っています。
- かなりクセのあるキー配置ながらも、タイピング感は意外と普通(よい)との評価。7インチのためタイピングしにくいとの前提ですが。
格安機としての懸念、不具合多し
最近の中国製のPCは(Xiaomiは別格として、それ以外の新興ブランドにおいても)、国産以上の品質の製品が多いのですが、この「NANOTE」の品質は、中国製PCが日本で出回り始めた2015年あたりの品質となるでしょうか。個体差があるようですが、以下などの不具合情報が散見されます。
- 底板のゴム足の高さが揃っていない。
- 底板の組み込みの精度が低く(あるいは内部のパーツに対して、高さが足りない?)、片側が多少盛り上がっている、浮いているとの報告多し。
- ディスプレイフィルムに髪の毛が混入の事例もあり。
- Windows 10のアクティベーションができないとの事例も。
- キーボードの印字の品質がよくない。かなのフォントが不揃い。
- 搭載されているチップが偽装品。
- スピーカーの音質がイマイチ、雑音が多い。
- 充電に要する時間がバラバラ。
- ボディがかなり熱くなる。
- USB Aが不安定。
この価格では、私としては上記の事項は許容範囲、5~7は対応不可能としても(特にキーの印字)、1~4については自分での対応が可能。サイトの記事ネタとしてもよさそうです。なお、8〜10は5月24日に他の記事へのコメントとしていただいた不具合情報です。
▼実機にて上記2の浮きの原因らしきものを確認してみました。
Atom Z8350の体感レスポンス
ドンキ「NANOTE」のスペックは以下となりますが、同一スペックの他のPCでの体感レスポンスについて記載します。全般的には、エントリークラスのApollo Lake / Gemini Lakeと比較しても、モッサリ感は否めず、レスポンスに鈍感な家族も「遅さ」を実感しています。
CPU | Atom Z8350 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB eMMC |
ディスプレイ | 7インチ 高彩度液晶、タッチパネル、解像度 1920×1200 |
WiFi | 11b/g/n |
Bluetooth | 4.0 |
ポート類 | USB Type-C、USB3.0、Micro HDMI、SDカードスロット |
バッテリー容量 | 5000mAh/3.8V |
サイズ | 181 × 113.6 × 19.6 mm、520g |
OS | Windows 10 Home |
▲所有するAtom Z8350搭載機の一部はこちら。記事が古く「ライトユースでは十分」としていますが、Windows 10の更新もあり、今操作すると以下に記載のモッサリ感があります。メモリ 2GB搭載機では、さらにモッサリ感・カクカクした動きが際立ちますが、NANOTEや上の記事のPCはメモリ 4GBであることが救い。
- Webサイト閲覧や軽めのオフィスソフトのサブ的な利用なら大きな問題はないものの、Webサイトの表示で遅延を感じます。
- オフィスソフトでも重い「Libre Office」では遅延が顕著。
- Windows 10更新後のシステムプロセスが走っている際には使用に絶えず。これはApollo Lake / Gemini Lakeでも同様です。
- 高速タイピング時には、画面へのテキストの反映がワンテンポずれることもあります。
購入の迷いのまとめ
私が購入にあたっての最大の悩みは、上記で記載の魅力的な事項・懸念する事項・不具合情報を踏まえて、格安機とは言え、低スペックで7インチの「NANOTE」を何に使うべきかということ。弄り用端末としては大いに魅力ですが。
8インチならタイピングも快適となりますが、7インチの小さな画面で、CPUも非力となれば、キーボードを多用しないWebサイト閲覧や、その軽さを活かして近所のコンビニでも気軽に持ち運び、思い立ったらサイト記事の簡易的な編集程度でしょうか。
ならば、私の場合は CHUWI MiniBookもありますし。ただし、ドンキで在庫を見つければ、衝動買いしそうな予感あり。この記事を記載することで、購入を諦めようと思ったものの、逆に物欲が強くなりました。
初めてのUMPCとしては、以下のCHUWI MiniBookを強くおすすめします。もちろん、NANOTEと比較すると割高ですが、One Mix シリーズと比較するとコスパ度はかなりのもの。
▼Banggoodで販売の、Core m3-8100Y、メモリ 8GB、SATA SSD 256GBのモデル。2020年5月2日時点では、クーポン「BG7ee177」の利用により 499.99ドル
Core m3-8100Y、メモリ 8GB、SATA SSD 256GB
▼Banggoodで検索の、CHUWI MiniBookのその他のモデルはこちら。
▲▼クーポンコードは以下の画像のとおり、各モデル個別ページのスペックの上に赤文字で表示されています。
▼ちなみに、こちらはCHUWI MiniBookとCPU違いの国内販売モデル。表示価格では割高ですが、5/10時点では1万円オフのクーポンを配布しています。
▼2020年5月12日 追記。「NANOTE」のオリジナル製品は以下と思われます。
コメント
店によっては転売防止のために店頭に出さずにレジで受け渡している店舗もあるみたいです。
店舗に行く前に、電話で確認してみるとスムーズかもしれません。
コメントありがとうございます。ドンキのNANOTEで転売防止とは。確かに海外でファンディングを行っていた、同スペックのPeakagoと比較すると、ボディも金属製で価格も安いのですが、私なら転売品を購入するなら、他のUMPCをおすすめしたくなります。