海外では凄まじい販売数のUMIDIGI A5 Pro。それもそのはず、100ドルの価格で、CPUにAnTuTu ベンチマーク 8万越えのHelio P23を搭載し、リアにトリプルカメラ、ガラス製の背面を持つ、Andorid 9.0を搭載のスマホです。
このUMIDIGI A5 ProをBanggoodさんよりレビュー用にサンプル提供いただきましたので、実機レビューします。全般的には、100ドルスマホとしては十分にサクサクな動作で、サブ運用としては十分なうえに背面の質感の高さはかなりのもの。トリプルカメラは期待値・UMIDIGIがアピールするほどではないものの、カメラを多用しない場合にはメイン運用も可能な仕上がりです。
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スペックとシステム情報
まずはスペックのおさらいと実機から抽出したシステム情報です。
上表は、UMIDIGI A5 Proを、UMIDIGI A3 Pro、今後 A5 Proのライバルになる可能性もある リリース直後のDOOGEE N20を比較しています。それぞれの記事は以下を参照。
冒頭にも記載しましたが、UMIDIGI A5 Proの特徴は、100ドルスマホでありながらも、CPUには8コアのHelio P23、リアには旧世代となりますが、イメージセンサーにSONY IMX398による16百万画素をメインとしたトリプルカメラを搭載すること。さらには、A3 Proも同様ですが、ガラス製の背面はかなりの質感の高さとなっています(ただし、重さ 203gと重い)。
以下は、CPU-Zよりも詳細なシステム情報を抽出できる Device info HWによるシステム情報。必要に応じてクリックして拡大のうえ参照ください。
▲プレインストールアプリの情報は割愛しますが、上のストレージ残量はそれなりに複数のアプリをインストールした状況のものです。プレインストールアプリは必要最小限となっています。
▼リアのトリプルカメラの情報。センサーのサイズの情報まで抽出できています。
外観、デザイン
UMIDIGI A5 Proの外観・デザインの特徴は、ガラス製の背面の質感がかなり高いことに、良くないこととしては203gと重いこと。背面については、iPhone XS Maxと同水準と言ってもよいほどの質感となっており、iPhone XS Maxとの比較画像も掲載しています。
▼重厚さはありませんが、かなりしっかりした外箱。左半分を見てわかるとおり、何故か二層構成になっています。
▲保証書・説明書の写真は割愛しましたが、以下の記事のとおりベルギーからの発送であったためか、EU仕様のアダプターに(中国製の場合、EU仕様が多いのですが)、変換アダプター(US仕様=日本仕様)が外付けで梱包されていました。変換アダプターは数百円で購入できるといえ、嬉しい配慮です。
▼しずく型ノッチの採用により、画面占有率の高いディスプレイ(公表値は92.7%)。もちろん、この位置で撮影しても十分な視野角(ディスプレイの詳細は後述)。
▲▼撮影した機材の関係で(上はOPPO R17 Neo、下はiPhone XS Maxで撮影。今回はデジイチは使用せず)、上の写真はホーム画面の色合いが明るめになっていますが、実機は上と下の画像の中間あたりの色合いです。
▼ノッチの部分をiPhone XS Maxと並べて撮影。左がA5 Proですが、通知エリアのアイコンも途切れることなく表示されています。
▼同じくノッチ部分を6.4インチのOPPO R17 Neoと比較。しずく部分のサイズ感は遜色ありません。ちなみに、R17 NeoはUQ mobileのTry UQ mobileでお借りしているのですが、UQ mobileの回線速度・安定性はもちろんのこと、R17 Neoのカメラはかなり良い出来です(Try UQ mobile、端末の詳細はUQモバイル公式サイトを参照)。
背面のよく似た A3 Pro (上)、iPhone XS Max (中央)、A5 Pro (下)を重ねて撮影しました。
▼A3 Pro、A5 Proともに惜しいのが側面の処理。アルミ調というよりもメッキ調に近いですが、背面の質感に比べるとサイドの質感は劣ります。
▼私がイメージ画像で確認していてたとおり、A3 ProとA5 Proのサイドのデザイン・処理は同一です。iPhone XSとより近くなってしまうのですが、もう少しダーク系の色合いだと更によかった。
▼上側に端子類はありません。
▼右サイドの音量ボタン・電源ボタンは同系色でよいイメージです。A3 Proではやや太めに感じた厚みは、ボディ全体が大きくなったこともあり、A5 Proではそれほど厚みを感じません。
▼A5 Pro単体でカメラ・音量ボタンを拡大。カメラの出っ張りはそれほど目立つものではありません。100ドルのスマホながらも、造りの粗さもなく、外観の造り込みはさすがのUMIDIGIです。写真では明確ではありませんが、ガラス製の素材感と輝きはiPhone XS Maxと遜色ありません。
▲やはり惜しいのがサイドの素材と色合い。背面がブラックの場合、ブラックの透明感のサイドが、見せ方としてはより魅力的(とすると、iPhoneと同じになりますが)。
▲▼SIMトレイ部分を拡大。au回線のUQ mobile SIMを挿してみましたが、やはり使えず。詳細は別記事にて。
▲▼背面をiPhone XS Max、A3 Proと並べて撮影。写真ではこの質感の高さが伝わらないのですが、iPhone XS Maxとは色合いが微妙に異なるものの、質感的には遜色ありません。100ドルでこの質感とは恐れ入ります。並べてみると、カメラの出っ張りは、iPhone XS Maxより抑えられています。
▲▼付属するケースは厚すぎず・薄すぎずなのですが、やはりケースを付けると武骨になってしまいます。
▲▼ケースなしの運用の場合には以下のような背面フィルムも販売されおり、A5 Proの背面の素材感を活かすなら、背面のフィルム貼り付けもありです。
▲▼ケース背面。皮調のTPU素材ですが、市販のケースでよいものが見当たらないので、こちらでも十分。
ベンチマークと体感レスポンス
A3 Proの場合には、サブ運用もためらうほどにモッサリすることも多いのですが、A5 Proは十分。私の普段使いでは、遅いと感じることなくサブ運用で十分以上に使用できます。後述のカメラがもう少しよければ、あるいはカメラをそれほど使わない場合には、メイン運用でも活用できそうです。
ベンチマークスコア
▼AnTuTu ベンチマーク v7のスコアは80864。3回ほど計測しましたが、同程度のスコア。A3 Proは4万台のため、かなりの差がついています。私の手持ちの端末で同水準のスコアとなるのが、Snapdragon 625を搭載するXiaomi Redmi 5 Plus。
▼Geekbench 4のスコアは、Single-Coreが816、Multi-Coreが3425。Geekbench 4アプリのランクでは、Single-CoreがNexus 5相当、Multi-CoreがGalaxy Note 4とXiaomi Mi 5との中間あたり。手持ちのNexus 5よりはサクサクと動作するため、参考程度の情報です。
▼自宅のWiFi環境(Nuro 光)、11aでの回線速度は88Mbpsと他のスマホで計測した水準と同じであり安心。A3 proでは46Mbpsでしたが、ここでも差が開いています。
ちなみに、ルーターからの至近距離にもかかわらず、アンテナがフル表示となっていないのは、他のスマホと同様です(iPhone XS Maxはフル表示)。
体感レスポンス
AnTuTu ベンチマーク v7のスコアは8万台ですが、私の使用範囲ではそれほど負荷のかからないアプリで、サクサクと動作するのはスコア 55,000以降。このスコアに照らし合わせても、以下のとおりライトユースではサクサクと動作し、サブ運用としては十分です。
- ホーム画面の遷移は、遅延を感じることなく快適の動作。
- 楽天市場、Amazon、SNS系アプリなどのアプリも、起動、スクロール、画面遷移などの動作は良好。
- 私の動作が重い・軽いを判断する基準の一つにFXアプリがありますが、AnTuTu ベンチマークスコアが5万台のスマホと比べると機敏に動作します。
- Google Chromeのスクロール、タブの選択ともに問題なし。カクツキが全くないわけではないのですが、滑らかです。
- Snapdragon 660クラスのスマホを使用後にA5 Proを操作すると、アプリの起動や切替などで僅かな遅延も感じるものの、A5 Pro単体で使用しているとわからない範囲。
- AnTuTu ベンチマークスコアは、Snapdragon 625と同水準。手持ちのスマホでは、Xiaomi Redmi 5 PlusがSnapdragon 625を搭載しているのですが、A5 Proの動作はRedmi 5 Plusよりも機敏。
- Redmi 5 Plusを今でもサブ運用している私としては(約1年前の半年ほどはメイン運用)、A5 Proのサブ運用には全く抵抗がありません。
ディスプレイ
ディスプレイは十分に鮮やかで視認性のよいもの。特に課題もないのですが、厳しくみると以下の点が惜しいようにも感じます。
- メインのiPhone XS Maxと、同時にテストしている OPPO R17 Neoが有機ELのために感じるところも大きいのですが、全般的に白い背景などが強調されすぎの感覚あり。
- 画面の明るさ調整が極端すぎる。明るさ調整バーの8割ぐらいまでは暗く、それ以降は急激に明るくなるようなイメージ。
- 使用期間 2日ほどのため、後日 異なる見解になるかもしれませんが、太陽光のもとでは視認性が一歩及ばず。やや暗めの感覚もあります。
カメラ
旧世代であるものの、SONY IMX398のイメージセンサーをメインとした16百万画素、8百万画素の120°ワイド、5百万画素のトリプルカメラを特徴とするA5 Proですが、この評価が微妙なところ。
100ドルスマホのために仕方がないと言えばそれまでですが、Amazonのレビューコメントでもあるとおり、「期待値ほどではない」というのが正直なところ。あいにくの雨続きで屋外ではコメントできるほどの写真を撮っていないのですが、その微妙さとは以下です。レンズそのものよりも、チューニングの課題かもしれません。
- 室内ではピントを合わせづらく、また、オートフォーカスはやや遅い。
- オートフォーカスは遅めである一方、写真を撮ってからの保存はあっけないほどに速い(通常モードの場合)。
- また、室内での絵作りは全体的に暗め。
- ここが最も扱いづらいのですが、拡大撮影を行う場合に、拡大・倍率の動きが滑らかではない。1.5倍程度に合わせようと思うと、すぐに2倍あたりまでいってしまいます。
- ボカシについては検証中でノーコメントですが、この価格のスマホでボカシなどの機能で遊ぶことができるのはよいことです。デジタル処理が極端に強いものでもなく、それなりの写真は撮れそうです。
▼屋外での写真は必要に応じて追加しますが、以下は記事での掲載目的で、普段と同じように撮影・圧縮したもの。サイト記事への掲載目的としては十分に実用的。ただし、室内では暗めになるため(以下の写真は下に白い模造紙を置いて、明るくしています)、また、室内でのオートフォーカスは遅いため、記事掲載用に常用するかと言えば「否」です。
バッテリー、その他
4150mAhのバッテリーの大容量のバッテリーはよいものです。Android スマホの場合(Windowsも同様ですが)、プレインストールアプリがバックグラウンドで暗躍しない限りは、バッテリー持ちが機種間で大きく異なるものではないのですが、やはり4150mAhの大容量バッテリーは安心感があります。
一方、この大容量バッテリーやガラス製の背面とも多少は関係しているかと思いますが、203gの重さはさすがにズッシリ感があります。6.3インチクラスでは160g前後の軽量級も多くなるなか、UMIDIGIのスマホは重量級のものが多く、今後の課題の一つでしょう。
現在のところ、指紋認証については精度・速さともに十分。ただし、時間の経過とともに(油脂などの付着の影響?)精度が落ちることもあるため、様子見です。また、補助的な使用となる顔認証においても、現在のところは機能しています。
まとめ
あらためて、UMIDIGI A5 Proの外観・使用感などのポイントを整理すると以下となります。全般的には、100ドル・100ドル未満のスマホとしては、A3 Proはおすすすめし難いレスポンスの遅延を感じるものの、A5 Proはカメラが期待値・UMDIGIがアピールするほどではないとの前提で、外観とレスポンスにおいて十分におすすめできます。
- ガラス製の背面の質感は高く、メイン利用のiPhone XS Maxと比較しても遜色ありません。
- ただし、サイドの質感が背面とアンバランス。203gの重さはズッシリ感があり、UMIDIGIの製品は全般的に重いことが今後の課題か。
- AnTuTu ベンチマークスコアが8万越えのレスポンスにおいては、過度に負荷のかかるゲームなどを行わない限りは、サブ運用としては十分にサクサクと動作します。
- ディスプレイは綺麗である一方、明るさ調整が「暗い、明るい」と極端すぎる感あり。
- カメラについては、室内でのオートフォーカスがやや遅く、暗くなりがち。ただし、サイト記事編集用の写真としては実用的。
▼2019年8月23日時点のBanggoodでの価格は109.99ドル(送料別途 9.27ドル)。画像では小さくて見えませんが、お気に入り数は6706となっており、他のスマホと比較すると圧倒的。注目のほどをうかがい知れます。A3 Proを検討中なら、間違いなくA5 Proをおすすめします。
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