Apollo Lake N3450、あるいはAtom Z8350を搭載する13.3インチのファンレスノート「AIWO 737A」。このうち、Z8350を搭載する737A2につき、先日の外観レビューに続いて使用感などのレビューです。全般的には高い質感は先の記事のとおりですが、Z8350の搭載により少なからずモッサリした動作を想像していたものの、文書・画像編集などのブログ記事編集・その他のライトユースなら遅さを感じることなく操作できます。
※当記事はGearBestさんより提供いただいた端末に基づくものです。
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AIWO 737A2のスペックのおさらい
AIWO 737A2のスペックについては、以下の記事に記載していますので、おさらい程度に留めます。
上表のとおり、Celeron N3450を搭載するAIWO 737A1、YEPO 737A、Jumper EZbook 3 Proと同サイズ(AIWO 737A2のボディは前者2製品と同じ)で、Z8350、メモリ 4GBを搭載する廉価版の位置付けとなります。
なお、製品名から推測できるとおり、AIWO 737Aは2017年度に勢いのあったYEPO 737Aと同一製品となります(現在はYEPO 737Aの流通量は減少)。
アルミ製ボディで質感の高い外観
外観においては以下の記事にて、Jumper EZBook 3 Proとの比較写真を多数掲載のうえ詳述していますので参照ください。
外観のポイントを記載すると以下となります。
- 天板と底板はアルミ製で、Chuwi、Jumper、TeclastなどのMacBook Airクローン的な端末と同様に質感高く仕上がっています。
- キーボード面のみプラスチック製ですが、そのアルミ調の塗装にプラスチック製と目立つこともありません。
- Z8350搭載機は190ドルほど、Celeron N3450搭載のeMMC 64GB版は200ドル台前半の安価な端末であるため、キーボードにプラスチック感があるものの、キーのプリント印字と印字が目立ちにくいなど、同価格帯のJumper EZBook 3SEと比較すると優位です。
- タッチパッドはザラザラ感が強く、MacBook並みのスベスベしたものが好みの方は違和感を感じると思います。
- 個体差かもしれませんが、底板のヒンジ側のゴム足の高さが足りず、ディスプレイを開いた際にディスプレイ下側がテーブル面に接触し、端末を動かすとキシキシとアルミが擦れる音がします。ゴム足の高さを補強するなどの対応が必要。
▼Jumper EZBook 3 Pro(画像下の明るい色の端末)との比較。EZBook 3 Proはサイドもアルミ製ですが、AIWO 737Aはプラスチック製。双方とも質感の高さはなかなかのもの。
▲▼左右側面ともにポート類の位置関係も同じであり、一見して色違いの端末のようにも見えます。
▼キーボードの質感はわるくはないのですが、安価で提供するためのコストカットか、Jumper EZBook 3 Proと同様に、ボディの質感と比べると、キーボード・タッチパッドの質感はやや落ちます。
- MacBook Air似の、天板・底板にアルミを使用した外観は、Jumper、Chuwiと同様に高い質感。
- 一方、ボディと比較するとキーボード・タッチパッドの質感はやや劣るものの、200ドル前後のPCとしては十分。
ベンチマークスコア
AIWO 737A2はCeleron N3450ではなく、Atom Z8350を搭載するものであり、当CPUのベンチマークスコアは当サイトも含め出回っていますが参考まで。
▲▼CPU温度のモニターもできる便利なフリーソフト「HWINFO」で抽出のシステム情報。必要に応じて拡大のうえ参照くださいませ。
▲▼ドラクエベンチマークのスコアは1204の重い。Apollo Lake N3450では2200程度、Gemini Lake N4100、もしくはN4100相当はいづれも1800前後となることから、旧世代のAtom 8350としては奮闘しているのではないでしょうか。
▼Geekbench 4のスコアは、Single-Coreが847、Multi-Coreは2265
▼128GBのeMMCのベンチマークスコア(CrystalDiskMark)。eMMCとしては並みのスコア。
▲▼eMMCはSamsung MDGAGCとあり、Surface 3にも搭載されていたeMMCのようです(Atomは遅い”はもう古い?――「Surface 3(4G LTE)」の性能を見極める、ITmedia PC USER)
▼ブログ記事編集のライトユースでもキーボード右上に熱を帯びていた(熱いとは感じない程度の熱)ため、先述のHWiNFOでCPU温度を確認してみると最大でも68度であり良好。ベンチマーク測定時にも熱いほどではなかったため、排熱の課題はなし。
体感レスポンス
私は現在、Gemini Lake N4100のミニPCと13.3インチノートをメインとして使用しています。時々 サブ的にAtom Z8350とZ3775の2 in 1を使用することもあるのですが、最近では画像編集などでモッサリ感を感じていたため、正直なところではZ8350のAIWO 737A2の動作には期待をしていませんでした。
がしかし、実際にいつものようにWebサイト閲覧、ブログ記事編集(画像編集含む)、オフィスソフトでまる一日使用してみると、以下のとおり意外にもサクサクと動作します。
- AIWO 737A2と同時にGemini Lake機を使用してみると、AIWO 737A2はさすがにキビキビ感に欠けると感じることもあり。
- 同スペックでほぼ同ベンチマークスコアのChuwi Hi10 Proではモッサリ感のあった操作において、なぜか737A2はHi10 Pro以上にサクサクと動作しています。解像度も同じ、使用しているアプリも同じなのですが、タッチパネルの有無も含め、全体のチューニング(?)らしきものも影響か?
- 私が使用するアプリのなかでは負荷のかかるフリーのオフィスソフト「Libre Office」では、Gemini Lake / 第8世代のCore i7においてもカクカクした動きなのですが、AIWO 737A2では意外とスムーズに動作します。
- eMMCは並みの速度となりますが、PCIe接続のSSDと比較しない限り、eMMCとSSDのレスポンスはそれほど体感できるものではありません。ただし、大容量・大量の画像のコピーなどでは、SATA接続のSSDとの速度差を感じます。
ディスプレイ
13.3インチのIPSパネルとなりますが、以下のとおりこの価格帯としてはよいディスプレイです。
- 発色は素直なクセのない発色。寒色・暖色で分けるとすると寒色系で背景の白が目立つイメージ。
- EZBook 3 Proと比較するとやや暗めのようにも感じますが、 明るさの調整幅は十分。
- 上下左右ともに視野角も十分であり、ワンクラス上の価格帯のディスプレイと比較しても視野角・視認性は遜色ありません。
- 外観的なことですが、左右のベゼル幅が10.5mmと細いことは、見た目のシャープさに貢献しています。
キーボード
質感的にはそれほど高くはないAIWO 737A2のキーボードですが、タイピング感は以下のとおり、何の違和感もなく快適に、かつ高速にブラインドタッチできます。私は13〜14インチクラスの中国製PCをレビューすることが多く、また、ブログ記事を多数投稿していることもあり、キーボードの打鍵感にはこだわりがあるのですが、200ドルクラスのPCとしては上々の打鍵感です。
- 変則的なキーやタイピング時のクセもなく、誤タイピングを招くこともありません。
- ただし、英語キーボードであり、英数・かな切替は後段のリンク先のAlt-IMEを利用していることを前提としています。これにより、左右のAltキーのワンタッチで英数・かな切替を行うことができます。
- キーストロークは浅すぎず深すぎないのですが、どちらかと言えばしっかりとした硬め。このため、2000文字程度 連続してタイピングしているとやや疲れ気味に。
- 打鍵音はややパチパチ音が大きめな部類ですが、国産PCと比べて特に大きな打鍵音ではなく許容範囲。
▼こちらが英語キーボードでは必須と言えるAlt-IME 。Macの英数・かな変換と同様に、スペース両側のAltキーのワンタッチで切り替えることができます。
タッチパッド
前述のとおりザラザラ感の強いタッチパッドであり、安価な端末では「敏感すぎる、操作性がよくない」ことも多いのですが、 AIWO 737A2のタッチパッドは許容範囲の操作性です。
具体的には以下となります。
- ザラザラしたタッチパッドでもあり、すべりがよくないものの、タッチの動きには普通に追従。
- Winodws 10の設定画面にタッチパッドの項目がないこともあり、全ての機能を試していないものの、シングルタップ、スクロールは機能します。
また、私が所有するJumper EZbook 3 Proのバージョン 3、Chuwi Hi10 Proでは、キーボードでのタイピング中にタッチパッドに触れてしまい、思わぬ操作となることが多いのですが、AIWO 737A2ではその現象が比較的少なめです。
ただし皆無ではないため、タッチパッドを無効にしたいのですが、現在のところタッチパッドのオンオフの設定が見つからず。このため、以下のフリーソフトを導入しタイピング時にはタッチパッドを無効化としています。
▼以下のTouchpad Blockerで、タイピング中にタッチパッドに触れてしまうことによる動作を完全に防ぐことはできないのですが、ほどほどに抑制できます。
まとめ
中国製の13.3インチ ファンレスノートして、2017年度にはJumper EZBook 3 Pro、Teclast F7とともに人気のYEPO 737A。そのYEPOの製品と同モデルとなるAIWO 737AのZ8350を搭載するモデル737A2のレビューでした。
質感の高い外観に、ライトユースなら快速とは言わないまでも普段使いとして使用できるPCに仕上がっています。13.3インチクラスで200ドル前後のPCを検討している場合、悩ましいのは僅かな追加コストで購入できるApollo Lake N3450を搭載する737Aとするか、あるいは底値レベルの200ドル前後となるのを待ってJumper EZBook 3 Proとすべきか。Z8350のモデルもわるくはないのですが、SSDへの換装も可能なN3450モデルがよいとの認識です。
▼GearBestでの2018年10月20日時点の価格は189.99ドル。128GB SSDとありますが、eMMCの誤植です。
▼こちらは Apollo Lake N3450を搭載するAIWO 737A1。737A2とは10ドルの差のため、SSDを増設できる737A1がおすすめ
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